【吹奏楽・ピアノ】上野耕平・山中惇史 配信小屋Vol.1の演奏曲

ピアノ
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サックスの上野耕平さんとピアノの山中惇史さんの名コンビが、2020年6月10日夜に e+(イープラス)の「Streaming+」でストリーミングコンサートを開催しました。演奏はもちろん、楽しいトークも繰り広げられて、休憩なしの1時間半はあっという間に過ぎていきました。

その演奏曲やトークの内容について見ていきましょう。

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【Streaming+】配信小屋Vol.1 上野耕平×山中惇史

日時: 2020/6/10(水)19:00〜
チケット:https://eplus.jp/ueno-streaming-concert/
見逃し配信:2020/6/17(水) 23:59まで

プログラム

バッハ:G線上のアリア
シューマン:3つのロマンス(オーボエとピアノのための)
バザン/山中惇史編:ロマンス〜歌劇「パトラン先生」
トマジ:バラード
リムスキー=コルサコフ/網森将平編:熊蜂の飛行
ビゼー/山中惇史編:カルメン・ファンタジー for サクソフォン

(アンコール)
モリコーネ/福廣秀一朗編:ニュー・シネマ・パラダイス・メドレー

配信ライヴの模様

15分のカウントダウンのあと、ソプラノサックスとピアノによる「G線上のアリア」でライヴの幕が開きました。

シューマン:3つのロマンス

この曲は名手ホリガーが「ロマン派全体を見渡しても、最も重要なオーボエ作品」と評した作品で、シューマンが愛する妻クララへのクリスマス・プレゼントとして作曲されたと言われています。今回はオーボエパートがソプラノサックスで奏でられました。

バザン/山中惇史編:ロマンス〜歌劇「パトラン先生」

中国製流行病パニックの中におけるストリーミング配信のはしりとなった、2020年4月1日のサントリーホールからの配信でも演奏され、深い感動を僕たちに与えてくれた曲です。そのときのピアノは反田恭平さんでしたが、今回は編曲者の山中さん自身のピアノで聴くことができました。何度聴いても味わい深い曲ですよね。

トークから

このストリーミング配信では、ネットの向こうで視聴する聴衆の皆さんからの反応も見ながら、楽しいトークが展開されました。

お二人とも芸大のご出身ですが、上野さんは5年、山中さんは11年在籍されています。山中さんは作曲科と作曲科大学院で7年、そこからさらにピアノ科に入り直して4年、これまでの人生の1/3を芸大で過ごされたことになります。

山中さんの副科の選択楽器はサクソフォーンで、そのときの担当教官が上野さんの恩師須川展也さん、上野さんの副科はピアノで、担当教官は山中さんの師匠江口玲さんという偶然があったそうです。副科なのに何と豪華なことかと驚きますね。

お二人とも副科の楽器にはネガティブでした。サクソフォーンはアンブシュアで下唇を歯に被せるという不自然さと移調楽器の不思議さ。ピアノは黒鍵と白鍵というカラーリングの怖さがその理由だそうです。

移調楽器の不思議さは、ピアノだけを演奏してきた人はそうなのかも知れませんね。レベルは思いっきり違いますが、僕もクラリネットを始めたときに激しい違和感を覚えましたし、同じクラリネットでもB♭管をA管に持ち替えたときに、短二度下げた楽譜に頭が勝手に変換して戸惑ったことがありました。これは上野さんのおっしゃる通り「慣れ」だと思いますが。

トマジ:バラード

言わずと知れたサクソフォンの名曲ですね。

冒頭のトマジの妻スザンヌ・マラールの「詩」を、上野さんが読まれた通りに書き落としてみました。

夜に 一人の道化師が 憂鬱な話を物語る
彼のように ひょろ長く落ち着いた英国の古い旋律にのって
彼の運命の影は 河岸に沿って曲がりくねる
古くさい冗談が 彼の口の中でまとったタバコの味に 彼は苛立つ
ぶかぶかな衣装とのっぺりした化粧から逃れようとしても ためらいがちに喜びと悲しみの間を行き来するサクソフォーンにしかなれない
彼の絶望が 響きの沼の底へと真っ直ぐに沈んでいくと 道化師はまた仕方なく観客を笑わせる

フランス語原文はこのようになっています。

ARGUMENT

Sur un vieux thème anglais, long, maigre et flegmatique
Comme lui,
Un clown raconte son histoire spleenétique
A la nuit ;

L’ombre de son destin, le long des quais, zigzague,
Et le goût
De mégot qu’en sa bouche ont pris de vieilles blagues
Le rend fou…

Fuir son habit trop large et sa chair monotone
En n’étant,
Entre la joie et la douleur, qu’un saxophone
Hésitant !

Son désespoir au fond d’une mare sonore,
Coule à pic,
Et le clown se résigne à faire rire encore
Le public !

リムスキー=コルサコフ/網森将平編:熊蜂の飛行

これは曲の原型を留めない超難度の曲ですね。
インプロヴィゼーションではなく、その通り記譜されているそうです。カプースチンみたいです。

楽譜が販売されているので、挑戦して動画を送ってください!と上野さんからリクエストが出ました。

ビゼー/山中惇史編:カルメン・ファンタジー for サクソフォン

もう10年くらいのコンビかと思いきや、まだアンサンブルを始めて4年ほどの上野山中ペアのコンサートで頻繁に演奏される、これも難曲。

カルメンの中のどんな曲が使われているのか、僕がわかった範囲で書き落としてみました。

アラゴネーズ
ハバネラ
子どもたちの行進曲
第一幕前奏曲/トレアドール
デュエット(ミカエラとホセ)
花の歌「おまえが投げたこの花は」
セギディーリャ
ジプシーの歌

アンコールはモリコーネ/福廣秀一朗編の「ニュー・シネマ・パラダイス・メドレー」で締め括られました。
第2回も計画されているようですし、会場でのライヴも早く開きたいとおっしゃっていました。

とても内容の濃い90分を楽しみました。

プログラムの音源は?

バザン/山中惇史編:ロマンス〜歌劇「パトラン先生」 リムスキー=コルサコフ/網森将平編:熊蜂の飛行 ビゼー/山中惇史編:カルメン・ファンタジー for サクソフォン モリコーネ/福廣秀一朗編:ニュー・シネマ・パラダイス・メドレー

Listen to


カルメン・ファンタジー for サクソフォン
熊蜂の飛行
モスクワ川の夜明け ~歌劇「ホヴァンシチナ」
家路 ~交響曲第9番新世界より
チャルダーシュ ~歌劇「騎士パズマン」
バザンのロマンス ~歌劇「パトラン先生」
ラプソディー・イン・ブルー
(ボーナス・トラック)
ニュー・シネマ・パラダイス・メドレー

トマジ:バラード

アドルフに告ぐⅡ

藤倉大:ブエノ ウエノ
逢坂裕:ソプラノサクソフォンとピアノのためのソナタ エクスタシス
デュクリュック:ソナタ嬰ハ調
マルタン:バラード
トマジ:バラード

今回のコンサートとは関係ないのですが「ブエノウエノ」は和太鼓の林英哲さんとの共演で、コンサートのときにも空気を一変させました。

まとめ

上野さんは、緊急事態宣言以降、TV放映の数分の収録以外では初めての自室以外での演奏だったそうです。その間に溜まったエネルギーを出し尽くしてくれた素敵なコンサートでした。

ネット配信ならではの「コメント」への反応もあって、例えば「熊蜂」での「ベイス!」という上野さんの叫びについて、「どう叫んだのか」「どういう意味か」など普段のコンサートでは「なんだったんだろうね」と話しながら帰路に着くところ、即座に疑問が解消するというようなこともありました。

ライヴは同じ空気を中で感じることができる素晴らしい機会ですが、そもそもその会場に行けないとか、時間的に厳しかったりすることも多いので「どこでも(いつでも)視聴できる」新しいコンサートの形は、これからまだまだ発展していくのではないでしょうか。

Viva! 吹奏楽!

コメント

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