台南駅から中山路を進んでいくと突き当たる台南庁庁舎(現台湾文学館)前のロータリーの中に民生緑園文化園区があります。
台南を散策された方ならこのロータリーにぶつからないことはまずないだろうというところです。
その中に湯徳章(日本名:坂井徳章)さんの銅像が設置されています。
台北から台南への行き方
台北から台南へのアクセス手段は、台鉄(鉄道)、高鉄(高速鉄道)とバスの3つです。
台鉄
朝6時以降に台北駅を出発して13時までに台南駅に着く列車は、新自強普悠瑪(特急プユマ)が1本、自強(特急)が3本と莒光(急行)が1本のみです。
プユマの所要時間は3時間08分、特急の所要時間は4時間14~26分(急行も4時間13分/列車番号1の速達タイプ、ただし台北6:10発)、料金はいずれも特急が738元、急行569元です。
高鉄
高速鉄道の台北駅は台鉄と同じところにありますが、台南駅は台鉄の沙崙駅が接続駅で、沙崙駅から台鉄沙崙線に乗換える必要があります(台南駅は沙崙線駅から5つ目、約25分で着きます)。
朝6時以降に台北駅を出発、台鉄に乗換えて台南駅に13時までに着く列車は、高鉄台中~台鉄新烏日間の徒歩移動時間を十分余裕をみて20分とすると、6〜9時台各3本、10時台2本です。
徒歩移動時間込の所要時間は2時間25~45分、高鉄の料金は指定席1,350元、自由席1.305元プラス台鉄料金25元となります。
なお、高鉄には予約時期、列車によって10%、20%、35%の割引料金が設定されています。
バス
バスは台北駅の北にある台北轉運站(バスターミナル)から出ています。
国光バス、統聯バス、和欣バスの3つのバス会社によって運行されていて、いずれも標準所要時間は4時間〜4時間30分です。
台北を6時以降に発車して13時までに台南に着くことが想定されるバスは、国光バス3本(1時間ごと)、統聯バス6本(30分ごと)、和欣バスの3列シートバスは2〜5本(曜日によって異なります、週末は多い)のほか、2列シートの豪華バスが6本(30分ごと)です。
台南での到着場所は国光バスは台南駅ですが、統聯バスと和欣バスは兵工廠轉運站になります。
兵工廠轉運站は台南公園の横、成功路より北の公園北路と公園南路の間にあります。台南駅から遠くはありません。
料金は450〜460元、和欣バスの2列シートバスは630元です。
アクセスのまとめ
台鉄のプユマ(台北8:00発、台南11:08着)が色んな要素で最強かと思います。
ただ、全席指定が基本のため、予約が非常に取りにくいのが難点です。
当日販売120席の無座(自由席、空席があれば座れる)という手もなくはないですが、容赦なく飛ばしますからお薦めしにくいです(関西の新快速や関東の京急の快特を想像してみてください)。
プユマが取れない場合には、乗換の面倒さと料金の高さというデメリットはあるものの、速達性と確実性の点で高鉄が良いと思われます。
外国人観光客限定の乗り放題チケット(3日乗り放題、2,200元)を使えば、台南往復だけで元が取れます。
また、アーリーバードという10%、20%、35%の割引もあります。
時間を読むのが難しいですが、豪華で快適な2列シートのバスを使う手もありそうです。
行きではなく帰りには夜市をエンジョイできるでしょう。
鉄道、バスに限らず車内のエアコン設定温度は寒さの限界を超えますので、夏場でも上に羽織る長袖はもちろん、ブランケットを用意するか、男性は半パンではなく長いパンツを履かれた方が良いと思います。
湯(坂井)徳章さんとは
日本人を父に台湾人を母にもち、早くに亡くなった父の跡を継ぐように警察官となった湯さんは、日本統治下の台湾とご自身のルーツを見つつ日本で勉強することを決意し、苦学の末、高等文官試験法科(今の司法試験に相当)に合格、さらに高等文官試験行政科(今の国家公務員上級試験に相当)にも合格します。
台湾では中学すら出ていないという湯さん、まずは受験資格から取得する必要があったわけですから、本当に凄いことで台湾の新聞でも大きく取り上げられたそうです。
そのまま日本にいればエリート人生だったところ、台湾で人権を守ろうという強い意識のもと、湯さんは台湾に戻って弁護士を開業します。
そんな中で日本が戦争に負け、代わって中国国民党が台湾にやってきます。
そして、1947年に「二二八事件」が起こり、その弾圧から台南市民を守ろうと奔走しますが、当時の陳儀長官が保身のために湯さんを槍玉にあげ、反乱罪で処刑してしまいます。
日本統治時代に大正公園と呼ばれていたこの民生緑園で銃殺されましたが、「目隠しも必要ない」「私には大和魂の血が流れている」と台湾語で叫び、最後に日本語で「台湾人バンザイ!」と叫んで果てたとのことです。
2014年3月13日、当時の頼清徳台南市長は湯徳章の命日にあたるこの日を台南市の「正義と勇気の記念日」に制定することを発表しました(銅像は1998年に作られ、「民生緑園」も「湯徳章紀念公園」と改名されています)。
汝、ふたつの故国に殉ず ―台湾で「英雄」となったある日本人の物語―
門田隆将著
湯徳章紀念公園へのアクセス
台南駅から中山路を直進、約1km、15分の道のりです。
このロータリーに辿りつくよりも、ここから抜ける方が難しいという場所です。
ロータリーの中の公園に入る際、車には十分気をつけてください。
まとめ
台湾の人々はどうして日本のことが好きと言ってくれるのでしょう。
台湾のアンケート調査をみると「最も好きな国」として、日本が圧倒的トップなのだそうです。
「親日」だと一言でいってもそこには歴史があり、その結果としての信頼だということを我々はあまりに知らなさ過ぎるようにも思います。
機会があれば門田さんの作品も読んで、この公園を訪れてみてはいかがでしょうか。
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