【台湾/野嶋剛】なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか

台湾
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まず、この中国ウイルスで命を失った家族や友人・知人を持つすべてのみなさまにお悔やみを申し上げます。

野嶋剛さんの新書「なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか」(扶桑社BOOKS新書)を読了しました。今回のウイルス対策における台湾の初動に始まり、一連の対応策に触れているほか、感染症対策と複雑な歴史や国際関係などの台湾社会との関係についても言及しています。

今回はこの新書その概要についてお話ししていきます。最後までよろしくお願いいたします。

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李登輝元総統のご逝去

李登輝元総統がお亡くなりになりました。

1923年生まれの97歳ですから大往生と申し上げたいところですが、僕のような人間でもそこに止まらず「惜しい方が亡くなられた」と思わずにはいられない大きな存在、台湾の象徴でした。

ご年齢がご年齢だけに入院や手術のニュースは何度もあり、そのたびに克服なさってきたので、今回もまた元気な姿を見ることができるに違いないと思っていた節もあり、ご逝去の報せは信じられず、しばし呆然となってしまいました。

新北出身と報じられていますが、今なら台北市内からMRTで30分の淡水の生まれ。台北高等学校から京都大学に進学されて農業経済を学びました。日本名は岩里政男、学徒動員の最中に日本配戦を迎えて台湾に戻りました。よく「22歳まで日本人だった」と仰っていましたよね。

戒厳令下では、農業経済研究者としてキャリアを重ねて台湾大学教授となったところで、その能力を見込まれ49歳のときに行政院政務委員として入閣、その後は蒋経国総統(蒋介石の息子)のもとで、台北市長、台湾省主席、副総統と本省人登用の流れもあり出世していきます。

1987年の蒋経国の急死により代理総統、そして総統に選出されます。総統として、外省人の要人を行政院長に据えることで失脚させるなど政治家とのしての手腕を発揮、権力基盤を整えていきました。1996年には初めての直接選挙で選ばれた「民選」総統になります。

李登輝元総統は日本統治時代純粋培養の日本精神を有する台湾エリートですが、中華文化の教養もあり、戦後の国民党政権下では外省人中心の厳しい台湾政治の中で巧みな処世術も有していました。さらに米国留学によってキリスト教への深い信仰も有していました。親日家などと一言で言えないくらいの人物でした。

日本のことを嬉しそうに話される笑顔を今でも思い出します。改めてご冥福をお祈り申し上げます。

著者 野嶋剛さんについて

1968年生まれ 上智大学新聞学科卒業
朝日新聞政治部、台北支局長、国際編集部次長、AERA編集部などを経て2016年に独立
中国、台湾、香港、東南アジアの問題を中心に活発な執筆活動中

主な著書

イラク戦争従軍記(朝日新聞社)
ふたつの故宮博物院(新潮選書)
銀輪の巨人ジャイアント(東洋経済新報社)
ラスト・バタリオン蔣介石と日本軍人たち(講談社)
台湾とは何か(ちくま新書)
タイワニーズ故郷喪失者の物語』(小学館)

「なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか」の内容

台湾の蔡英文政権の中国ウイルス(いわゆるCOVID-19)の感染拡大を防ぐための2020年5月末までの取組みが時系列に整理されています。

目次

プロローグ  大晦日の 24時間
第一章  世界最速の「水際対策」
第二章  マスク政治学
第三章  台湾の新型コロナウイルス対策を総ざらいする
第四章  「SARSの悪夢」から台湾が学んだもの
第五章  蔡英文政権の強力布陣と「脱中国化」路線
第六章  「疫病の島」から「防疫の島」へ
第七章  中国も WHOも信じなかった台湾
第八章  中国に支配される WHO
第九章  政治への熱意が作った「防疫共同体」
第十章  台湾に学ぶ「アフターコロナ」
あとがき
参考資料 新型コロナウイルス感染症への台湾と日本、世界の動き

今回の中国ウイルス騒ぎの中で、台湾の動きは「マスクアプリ」「天才IT大臣」「中国遮断、検疫などの水際対策」そして「鉄人部長」こと陳時中衛生福利部長の判断力と透明性の高い情報公開など、日本でも当地の動きとの対比の中で注目されてきました。

本書では、日本では表層的かつシンボリックにしか報道されることがないその具体的な動きについて詳述しながら、対中関係や国内政治、複雑な歴史など、感染症対策と台湾社会の関係が整理されています。

今回の対応について「台湾にはSARSの教訓があるから」と一言で片づけれられることが多いのですが、この経験に基づく諸課題について台湾政府が「一から作りかえる」取組を長期にわたって行ってきたことについても実例を挙げながら説明

スピード感溢れる果敢な決断を支えたものとして、中国に対する人的諜報活動の手腕について触れられています。加えて、マスクの実名購入制をアプリ開発で実現した「天才IT大臣」オードリー・タン政務委員や公衆衛生や医療の専門人材について紹介

評判の良くないWHO の中国贔屓と台湾排除の文脈のなかで「一つの中国」への言及

日本では適性を欠いた政治家をトップに頂いていること、今回の専門家会議やテレビのコメンテーターが感染症の専門家に偏っていて、社会全体へのダメージを最小化するための公衆衛生の専門家がいないことなどをチクリと指摘

日台関係の変遷と今後について整理

まとめ

著者の野島さんの作品は僕も多く拝読して、グルメだけではない台湾について勉強させていただいています。

この新書では、中国ウイルス対応のお手本として称賛される台湾の対応について、その複雑な歴史や国際関係も含めてわかりやすく整理されています。

先日、東京のPCR検査陽性者数が400人に迫ったときに、インスタグラムの台湾のフォロワーさんから「外出するときにはマスクをしてね」とメッセージをもらいました。日本政府や東京都の対応が頼りないと思ってなのか、台湾の人の感覚としてその「数」を捉えてのメッセージなのかはわからないのですが、台湾の状況が落ち着いていることをよく示していると感じました。

将来的に制限が解除されて、再渡航した際に現地で迷惑をかけないようにするためにも、ご一読されることをおすすめします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

2020年3月18日、台湾外交部は、中華民国籍ではない旅行者について、中華民国での在留許可があることを証明する居留証、外交公務証明、商務履約証明のいずれかを所持している人などを除いて一律入国を拒否すると発表、外国人は原則入国禁止となっています。

音楽徒然草
1970.01.01
音楽徒然草
https://hirofumi24.com/taiwan_immigration_addendum_rev1
ピアノや吹奏楽など管理人の気になるテーマを深堀りします

それでは台湾🇹🇼でお会いしましょう! 大家台湾見!

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