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昭和のスクールバンドシリーズ、今回は、木管の圧倒的な個人技・アンサンブルと力強く明るいサウンドを持ち、輝かしい歴史を誇る伝統校、就実高校吹奏楽部です(一部の演奏は平成です)。
就実高校吹奏楽部 2006年11月26日
吹奏楽コンクールにおける個性的な選曲(自由曲)が光ります。
ヒメネス: ヒナスエラ「ルイス・アロンソの結婚」より間奏曲
マスネ/吉市幹雄編: バレエ音楽「ル・シッド」よりナバーラの踊り、マドリッドの踊り
アルベニス/吉市幹雄編: 「スペイン組曲」よりアラゴン
トゥリーナ/マルクィーナ編: 「幻想舞曲集」より夢、酒宴
アルベニス/吉市幹雄編: 組曲「イベリア」よりエル・プエルト、トゥリアーナ
シャブリエ/カイエ編: エスパナ
エネスコ/吉市幹雄編: ルーマニア狂詩曲 作品11
トゥリーナ/マラート編: 「セヴィーリャ交響曲」より第3楽章「アズナルファラーチェの聖体祭」
79年のヒメネスと87年のエネスコは普門館で、その他の演奏はレコードやCDでで聴きました。
全日本初出場となったヒメネスの2年前には「道化師の朝の歌」、その次の年は一度目のエネスコのルーマニア狂詩曲を採り上げていました。
トゥリーナの「幻想舞曲集」は85年、また後年にも演奏しており、村松先生がこの曲をお好きなのか、何か特別な思い入れがおありになるのかも知れません。
また、スペイン組曲については、ブルゴス指揮ニューヨークフィルによるアルベニスのスペイン組曲のレコードを聴いて虜になった村松先生が、手を尽くすも楽譜を入手できず万策尽きたかと思われた3年後に、来日それも倉敷に来ることを知ってブルゴスと面会、アンコールで演奏したヒメネスとスペイン組曲の楽譜の出版社を紹介してもらったとのことです。
今ではとても信じられませんが、「女性には吹奏楽は無理!」(本当に言われていたのです、特にトランペットは絶対無理とか)と言われた70年代に、福岡の中村学園女子高校が女子高では初めて78年に全日本金賞を受賞、その翌年「彼女たちに続け」と全日本のステージに立った就実高校(この当時は女子高)。
弘前南・秋田南・浜松工・玉川学園・中村学園女子・前橋商と昼休みを挟んで6校連続金賞、終盤も「サロメ」の銚子商や「タラス・ブーリバ」の福工大付属の強烈な演奏のあと、全体のトリから2番目(当時は前後半の別なし)に登場した彼女たちは
中村学園とはまた違った明るく力強いサウンドで伸び伸びとした歌心のある演奏で、緊張感のせいか幾分沈み気味であった普門館の空気を一変させました。
鮮やかで何の衒いもない自然な音楽に会場が共感した瞬間でした。
ル・シッドの冒頭のフルートとイングリッシュホルンのソロの見事なかけ合い、幻想舞曲集では木管群のソロの妙技に加え「艶」を感じさせる音楽作りで、本番を聴いた後輩から「何であんなに上手いのか訳わかりません」とのコメントも聴きました。
筆者も会場で聴いたエネスコが、冒頭のクラリネットが激ウマだっただけでなく、木管から打楽器に至るまで美しくかつ「キレ」のある華麗な演奏に圧倒されました。
筆者が大好きな「イベリア」と「セヴィーリャ交響曲」の年は何と銅賞でした。
いずれも相変わらずの冴えをみせたソロ・アンサンブルでしたし、異彩を放った選曲は「当たり」だと思っただけに(特にカタロニアの栄光(課題曲)とセヴィーリャ交響曲はドンピシャ)、「結果は結果」とはいえ残念に余りあります。
確かにセヴィーリャ交響曲のラストはラッパがバテた感があって、サウンドがやや乾いた感じになってしまったのと、この両年は課題曲も含めた曲作り、特にフレージングが萎縮していた気がして「どうしたのかなぁ?」と思ったことも確かですが、それにしても…。
音源など
ヒナスエラ「ルイス・アロンソの結婚」より間奏曲
バレエ音楽「ル・シッド」よりナバーラの踊り、マドリッドの踊り
スペイン組曲よりアラゴン
幻想舞曲集より夢、酒宴
組曲「イベリア」よりエル・プエルト、トゥリアーナ
エスパナ
ルーマニア狂詩曲 作品11
セヴィーリャ交響曲より第3楽章「アズナルファラーチェの聖体祭」
まとめ
いずれも40年ほど前の演奏ですが、繊細さと美しさに加えて力強さも兼ね備えた個性が存分に発揮された素晴らしい演奏だと思います。
コンクールを始め、学校吹奏楽のあり方が云々されていますが、生徒さんたちが音楽の素晴らしさを味わえる環境を大切に考えていただきたいと願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
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