福間洸太朗さんプロデュースの「レア・ピアノミュージック」第4回が2020年10月11日に開催されました。
ピアニスト實川風さんが「チャイコフスキー・ドヴォルザーク・シベリウス 〜交響曲作曲家の隠れたピアノ曲たち〜」をテーマとして選曲、演奏されました。
その模様について振り返ってみましょう。
最後までよろしくお願いいたします。
福間洸太朗プロデュース「レア・ピアノミュージック」
このプロジェクトの概要、スケジュールについては過去のエントリーをご覧ください。
實川風さんのプロフィールとプレトーク
實川さんは千葉県の出身です。
東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京芸術大学を首席で卒業、同大大学院修士課程を修了されました。
その後、グラーツ国立音楽大学ポストグラデュエート課程を修了されています。
おもなコンクールの入賞歴は次の通りです。
2007年 ショパン国際コンクールin ASIA一般部門金賞、ピティナ・ピアノコンペティション特級銅賞・聴衆賞受賞
2008年 名古屋国際音楽コンクール第1位、聴衆賞・ビクター賞・名フィル賞受賞
2008年 第77 回日本音楽コンクールピアノ部門第3位
2013年 サザンハイランド国際ピアノ・コンクール2位
2015年 日本ショパン ピアノコンクール第1位
2015年 ロン・ティボー・クレスパン国際第3位(1位なし)、最優秀リサイタル賞、最優秀新曲演奏賞受賞
2016年 第7回カラーリョ国際ピアノコンクールにて第1位、聴衆賞受賞
福間さんがインタビュアーとなって實川さんとのプレトークが行われました。
質問に先立ち、お二人の出会い(2017渋谷さくらホール「春の祭典」、2019ショパンコンチェルト)についてお話がありました。
質問内容などは以下の通りでした。
🔸今回のプログラムのテーマ、コンセプト
🔸プログラム各曲の概要
🔸特典CDの内容
🔸編曲・作曲について
🔸今後のスケジュール
🔸質疑応答
第4回レア・ピアノミュージックプログラム
日時:2020年10月11日(日)20:00~21:00
チャイコフスキー・ドヴォルザーク・シベリウス 〜交響曲作曲家の隠れたピアノ曲たち〜
シベリウス:ロマンス変ニ長調作品24−9
シベリウス:即興曲ニ短調作品24−1
シベリウス:樹木の組曲 作品75より5.もみの木、4.白樺の木
ドヴォルザーク:8つのユモレスク 作品101より1.変ホ短調、3.変イ長調、5.イ短調、7.変ト長調
ドヴォルザーク/Keller編:スラヴ舞曲集第2巻作品72第2番(通番10番)
チャイコフスキー/Kirchner編:眠れる森の美女よりリラの精(第一幕フィナーレ)
チャイコフスキー:6つの小品作品51より2.ポルカ、4.ナータ・ワルツ、5.ロマンス
プログラム各曲について
プレトークでは、プログラムの各作品について以下のようなお話をされていました。
シベリウス
シベリウスは今回の3人の中で唯一演奏の実績がある作曲家。フィンランドにはひんやりとした空気、透明感を感じる。
10の小品作品24(ロマンス(9番)、即興曲(1番))
https://imslp.simssa.ca/files/imglnks/usimg/1/1e/IMSLP15952-Sibelius_-_10_Pieces,_Op.24_(piano).pdf
樹木の組曲
https://imslp.simssa.ca/files/imglnks/usimg/c/cc/IMSLP240085-SIBLEY1802.20890.4752-39087012831279score.pdf
ドヴォルザーク
今回取り組んだ曲は初めて演奏する作品ばかり(チャイコフスキーも同じ)。スラブ舞曲の編曲者のKellerについては知るところではないが、想像を超えて難しいアレンジになっている。
8つのユモレスク
https://imslp.simssa.ca/files/imglnks/usimg/5/56/IMSLP525580-PMLP22848-SIBLEY1802.14373.87a2-39087012633691_op_101_book_1_(etc).pdf
スラブ舞曲第2巻
https://imslp.simssa.ca/files/imglnks/usimg/4/4a/IMSLP10068-Dvorak-Keller_op72-1_Slavonic_Dances_Book1.pdf
チャイコフスキー
チャイコフスキーのピアノ曲からはピアノらしい響きを活かしたというよりはオーケストラの響きをピアノで表現したかったのではないか?
低音から高音まで音域は広範囲に渡るオーケストラの曲をピアノ曲にする場合、たとえば「胡桃割り人形」のピアノ版を見てみると、高音と低音を省いて音域が中央に寄っている。ピアノ曲にも同様のものを感じる。
当初予定作品に加えてバレエ作品を追加するかも知れません(眠れる森の美女が追加されました)。
眠れる森の美女(最後の曲です)
https://imslp.simssa.ca/files/imglnks/usimg/7/71/IMSLP91259-PMLP26902-Tchaikowsky_Kirchner_Dornr%C3%B6schen.pdf
6つの小品作品51
https://imslp.simssa.ca/files/imglnks/usimg/7/77/IMSLP583458-PMLP19422-39087012739225score.pdf
ライブの模様
ツイッターから演奏前のつぶやきを拾ってみました。
11日20時より、YouTubeにて「レア・ピアノ・ミュージック」のライブ配信がございます!
どなたでもご覧になれるので、ご自宅などでゆっくり見ていただけたら幸いです。チャイコフスキー・ドヴォルザーク・シベリウス、それぞれの曲目も下のリンクに全曲発表されました(^^)https://t.co/Bb0rAMBhpz
— 實川 風 (@sleeping_now_28) October 9, 2020
終演後のつぶやきです。
https://twitter.com/sleeping_now_28/status/1315297305524793344?s=21
ライヴは定刻にトラブルなく始まり、冒頭に福間さんからあいさつと實川さんの紹介ビデオが流れました。
プログラムについてはプレトークビデオの中から抜粋して解説されました(プレトークから作曲家順を入替え、各々の作曲家の中でもさらに曲順が入替えられています)。
シベリウスの「ロマンス」が演奏され、今回のプログラム全体についての説明がありました。3人とも書きたい曲は管弦楽曲で、ピアノを大きく鳴らすことが得意ではないようで、派手さのない控えめな曲が多く、ピアノリサイタルのプログラムになりにくいのではないかなというお話がありました。
また、それぞれの作曲家ごとに實川さんのトークを挟みながらコンサートが進行されました。
プレトークのときにはチャイコフスキー→ドヴォルザーク→シベリウスの順にお話が進みましたが、本番はシベリウス→ドヴォルザーク→チャイコフスキーの順に演奏されました(直前に見たときにはドヴォルザークが最初に記載されていたようです)。
ドヴォルザークのユモレスクのうち5番はプログラムに6番と記載されており、次の曲に移る前にスタッフの方から異例の質問。5番であることの確認、そして実はこの5番の音の動きは「踊るポンポコリン」を想起してしまうという實川さんから追加の回答もありました。
チャイコフスキーは實川さんの好きな作曲家(ドヴォルザークも弾き終えて「やはり良いですね」とおっしゃっていました)ですが、ピアノ小品は100くらいあるのに「四季」や「ドゥムカ」などを除いてなかなか採り上げにくいというお話がありました。
ドヴォルザークのスラブ舞曲第10番とチャイコフスキーの眠れる森の美女第一幕フィナーレはピアノ連弾や管弦楽曲からのトランスですが、アレンジ原曲にない音が加えられて、スケール感や色彩感において大きな効果を発揮していました。
プログラム全曲の演奏が終了した段階で時刻はすでに21時15分。
さらに、アンコールとしてドヴォルザークのマズルカ作品56から第3番が演奏され、盛りだくさんのコンサートとなりました。
アーカイヴの無料視聴は2020年10月13日までですのでお急ぎください!
まとめ
シベリウス、ドヴォルザーク、そしてチャイコフスキーの別の一面も見ることができた素敵なコンサートでした。
ドヴォルザークのユモレスクの第1番は江口玲さんのファンの集いコンサートで聴いたときに「こんな曲もあるんだ」と思ったものですが、今回3番、5番そして有名な7番を弾いてくださって、ピアノ独自の一面を感じると同時に、オーケストラ作品も含めてドヴォルザークという作曲家の中に流れる芯のようなものも感じられたように思います。
また、当初予定から追加で演奏された「眠れる森の美女」は、實川さんのオリジナルアレンジといって良いくらいにキルスナー編曲原曲に手が加えられていて効果絶大、バレエのシーンが目に浮かぶ素晴らしいアレンジ・演奏に感動しました。
そして、心静かに聴くのにぴったりな今回の小品、實川さんの演奏は心の中に染み入る演奏で、穏やかな気持ちになる素敵な秋の夜長となりました。
次回第5回は女性ピアニスト初登場で、広瀬悦子さんが出演されます。
すでにレアな作品を多く採り上げておられるという印象が強いだけに楽しみに待ちたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
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