ピアニストの福間洸太朗さんがプロデュースする「レア・ピアノミュージック」第1回は、福間さん自身の演奏で2020年7月26日に開催されました。
第2回は8月22日に開催されますが、出演されるピアニスト大瀧拓哉さんのインタビューがYouTubeで公開されています。
今回は大瀧さん、インタビューの内容、そして演奏曲のジェフスキ「不屈の民」変奏曲などについて見ていきますので、最後までよろしくお願いいたします。
福間洸太朗プロデュース「レア・ピアノミュージック」
このプロジェクトの概要、スケジュールについては過去のエントリーをご覧ください。
大瀧拓哉さんについて
大瀧さんは新潟県長岡市の出身です。
長岡高校普通科から愛知県立芸術大学に進み、同大と同大学院を首席で卒業されています。
その後ドイツとフランスに留学されました。
シュトゥットガルト音楽演劇大学大学院修了
アンサンブルモデルン・アカデミー(フランクフルト)修了。
パリ国立高等音楽院第三課程現代音楽科修了。
コンクールの入賞歴は、中部ショパン学生ピアノコンクール金賞、野島稔よこすかピアノコンクール第3位を経て、2016年オルレアン国際ピアノコンクール(フランス)で優勝されました。同時にモーリス・オハナ賞、オリヴィエ・グレフ賞を受賞しています。
レア・ピアノミュージック 大瀧拓哉さんインタビュー
福間さんがインタビュアーとなって以下の質問をなさっています。
🔸この企画への招聘を受けての感想
🔸ジェフスキ「不屈の民」変奏曲との出会い、演奏回数、演奏を聴いた回数など
🔸「不屈の民」変奏曲の構成
🔸現代音楽、今後のレパートリーについての考え方
🔸CD「Bela Bartok and the Virtuosity」
🔸中国ウイルス騒動と音楽・演奏に対する考え方の変化
🔸ドイツ、フランスへの留学
🔸現在の活動
インタビューの詳しい内容については、こちらでぜひご覧ください。
なお、バルトークアルバムの内容は以下の通りです。
ラプソディ RHAPSODY Op.1(1904) BB36
3つのチーク地方の民謡 3 POPULAR HUNGARIAN SONGS Sz.35a(1914-17)
3つのブルレスケ 3 BURLESQUES Op.8c Sz.47 BB55(1921)
2つのルーマニア舞曲 2 RUMANIAN DANCES Op.8a Sz.43 BB56(1910)
3つのエチュード 3 ETUDES Op.18 Sz.72 BB81(1918)
2つのエレジー 2 ELEGIES Op.8b Sz.41 BB49(1908-9)
ジェフスキ「不屈の民」変奏曲
チリのセルヒオ・オルテガによって作曲された政治闘争歌「不屈の民」をもとに36の変奏で構成された変奏曲で、1975年にポーランド系アメリカ人の作曲家フレデリック・ジェフスキによって作曲されました。
この「不屈の民」は1973年9月11日、軍のクーデターによって非業の死を遂げたチリの大統領サルバドル・アジェンデの死を悼み、人々が「El Pueblo Unido Jamás Será Vencido! (団結した人民は決して敗れない!)」と叫んでいるのを、チリの作曲家セルヒオ・オルテガが聴き、曲をつけて歌にしたもので、このメロディをポップグループのQuilapayunが歌ってから、政治的独裁に対する抗議のシンボルとなったのだそうです。
ジェフスキは、オルテガと当時住んでいたイタリアで会っていたそうです。
この作品は、ピアニストのウルスラ・オッペンスの委嘱作品です。アメリカ建国200年記念音楽祭のリサイタルにおけるベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」に組み合わせる作品をリクエストされ、1975年9月から10月にかけて作曲されました。1976年、オッペンスにより初演。
Spotifyでオッペンスの演奏を聴くことができます。
ちなみにジェフスキ自身も3度にわたって自作自演しています。
YouTubeではその一部が公開されています。
また、ポリーニの代役としてこの作品を弾いて話題となった天才ピアニスト、イゴール・レヴィットの演奏もSpotifyで公開されています。
個人的にはこのアムランの演奏で約20年前にこの曲を知りました。
世に知られていない優れた作品を紹介するという趣旨で、続々とディスクを出していたころのアムランのアルバムはすべて購入していたので、偶然この曲を知ることになりました。
アムランの演奏スタイルは、このような「熱め」のバックグラウンドをもった作品とマッチしにくいように個人的には感じますが、この作品のメロディが親しみやすいこともあって、洗練された都会的な演奏となっていると思います。
楽譜は全音から出版されています。
曲の構成
大瀧さんのインタビューをもとにまとめるつもりだったのですが、大瀧さんご自身によるnoteの記事を発見しました。
これに勝るものはあり得ないということでリンク先をご紹介します(有料記事ではありません)。

インタビュー中で説明あった36曲の「6×6」についても、わかりやすく図示していただいています。
これがあれば、初めて聴いたとしても迷子にならずに済みそうですね。
大瀧さんの今後の活動について
レア・ピアノミュージック オンラインコンサート
2020年8月22日(土)20:00開演
ジェフスキ:「不屈の民」変奏曲
新進演奏家育成プロジェクト リサイタル・シリーズTOKYO93 大瀧拓哉ピアノ・リサイタル
2020年8月24日(月)19:00開演(18:00会場)
東京文化会館小ホール
シュトックハウゼン:ピアノ曲IX
ベートーヴェン:ピアノソナタ第32番 作品111
ジェフスキ:「不屈の民」変奏曲
福間さんとのインタビューの中で、レコーディングの話が出ました。
新しいアルバムが発売されるかも知れませんね。
大瀧拓哉・星野紗月ピアノリサイタル(実施済/配信中)
第1部
チャイコフスキー/エコノム:くるみ割り人形
ラヴェル:ラ・ヴァルス
第2部
即興演奏(星野)
マルティン・マタロン:「2つの異なるテンポの構造」について(大瀧)
第3部
ストラヴィンスキー/ワストル:バレエ組曲「火の鳥」
アンコール ボロディン:歌劇「イーゴリ公」よりダッタン人の踊り
どの演奏も素敵ですが、特に「火の鳥」は音の多い超絶技巧のアレンジを物ともせず、起伏に富み、エッジの効いた色彩感あふれる演奏で、正直凄い!と思いました。ぜひ聴いてください。
まとめ
演奏時間が1時間にもおよぶ大曲がいきなり2回目に演奏されるということで、聴く方も不屈の精神力が必要かと心配でした。
このインタビューのおかげで、さらにnoteで作品についての詳説もありますから、大きく門戸は開かれたと言って良いのではないでしょうか。
本番を楽しみに待ちましょう!
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
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