いつもこのブログ「音楽徒然草」をお読みいただきありがとうございます。
世界的ピアニストのラドゥ・ルプー(Radu Lupu)が2022年4月17日、スイスのローザンヌで亡くなったという悲しいニュースに接しました。
僕の大好きなピアニストの一人ですが、録音はこの20年ほどなく、体調不良から演奏活動もここ数年行っていませんでした。
ラドゥ・ルプー(Radu Lupu)さんについて
1945年 ルーマニア・ガラツ生まれ
1959年 ブカレスト音楽院でフロリカ・ムジチェスクに師事(リパッティと同門)
1960年 モスクワ音楽院留学、スタニスラフ・ネイガウスらに師事(〜1968年)
1966年 第2回ヴァン・クライバーン国際コンクール優勝
1967年 エネスコ国際コンクール優勝
1969年 リーズ国際ピアノ・コンクール優勝
なお、ヴァン・クライバーン国際コンクールの副賞のコンサート契約を全部断って帰国
グラミー賞2度ノミネート
1996年 シューベルトのソナタアルバムで受賞
1969年 ロンドン・デビュー
(イギリスを本拠として演奏活動)
1972年 米国デビュー
1978年 ザルツブルク音楽祭出演
1993年以降、録音や放送収録、インタビューをすべて拒否、演奏活動そのものも、この数年は体調不良によるキャンセルが増え、2018/2019シーズンで引退
多彩な音色、響きを土台としつつ、その音楽は繊細でとてもエレガントなものでした。
15年ほど前になりますが、過去のブログで僕も以下のような記事を投稿しています。
2007年6月25日 ルプーのシューベルト
柔らかい朝の光を受けて、立ち上る霧とともに輝く夜露に濡れた草原…
ため息が出るほど美しい弱音
端正なフォルテ、その結果強烈な広がりをもつデュナミーク
そして、語りかけるように「歌」が自然に流れてきます。
とても心地良いのですが、決して眠気を誘うような類ではなく、濃密なシューベルトの音楽をリリカルに伝えてくれています。
顔を両手で抱えなくとも、狂気に満ちた表情で髪を振り乱さなくとも、シューベルトを聴くことはできるのだということがよくわかります。
ラドゥ・ルプー~プレイズ・シューベルト(4枚組/60歳記念ボックス)
ソナタ第16番イ短調D845
ソナタ第18番ト長調D894
ソナタ第5番変イ長調D557
2つのスケルツォD593
楽興の時D780(全6曲)
ソナタ第19番ハ短調D958
ソナタ第20番イ長調D959
ソナタ第14番イ短調D784
ソナタ第1番ホ長調D157
ソナタ第13番イ長調D664
ソナタ第21番変ロ長調D960
録音:1971年11月~1991年12月
2007年9月19日 ルプーのシューマン
リパッティとルーマニア繋がり、師も同じくムシチェスクというルプーのシューマン・アルバム。
ルプーならきっとこう入るだろう、静かな水面にゆっくりと落ちるしずくのように始まる「フモレスケ」。
素晴らしかったのは、シルクのような風合いを感じさせる音で、包容力のある優しい父親が遠くから子供たちを見守っているかのような「子供の情景」。
そして、ボクの苦手な「クライスレリアーナ」
僕は、この曲そのものは狂っているようにしか感じられず、やはりその線ならばホロヴィッツなのかなぁと思っていました。
ルプーの演奏はあまりに美しく、そしてどこか醒めているようにも思えます。
シューベルトのときと書いていることが大して変わりませんね。
1995年エジソン賞、そして最優秀器楽レコード賞受賞アルバム。
フモレスケop.20
子供の情景op.15
クライスレリアーナop.16
ラドゥ・ルプー(ピアノ)
二台のピアノのためのソナタニ長調K.448
のだめカンタービレ第1回放送で演奏されたモーツァルトの二台のためのソナタニ長調K.448は、十数年前に米Nature誌に発表され話題となった所謂「モーツァルト効果」に係る実験で使用された作品です。
この曲を36人の学生に聴かせた後、IQテストを行ったところ対照群に比べて有意にその成績が上昇した
何となくそう言われればそんな気もするけれども、根拠は何なのでしょうね。
しかし、Nature誌に掲載されたということは科学的に信憑性があると考えた世界の権威がいたということは間違いないのでしょう。
僕がよく聴くディスクはペライアとルプーによる演奏。
正にこれがかの実験に使用された曲だそうです。
ならばボクのIQも一時的にせよ上昇してもよさそうなものなのに(笑)(以下略)
演奏音源
ラドゥ・ルプー~プレイズ・シューベルト(4枚組/60歳記念ボックス)
フモレスケop.20、子供の情景op.15、クライスレリアーナop.16
二台のピアノのためのソナタニ長調K.448
ラドゥ・ルプー トピック
以下のチャンネルは、ベートーヴェンやブラームス、コンチェルトなど106本の演奏が自動生成されたものです(2022年4月20日現在)。
まとめ
ルプーさんの演奏は僕にとっては神とでもいうべきものでした。
どうぞ安らかにお眠りください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
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