「レッスン記20」では、寄り道して、青柳いづみこさんの「MERDE!メルド日記」についてお話しました。
今回はドビュッシーの「映像第1集」に戻って、残りの2曲「ラモーを讃えて」と「動き」のレッスンについてお話していきます。
最後までどうぞよろしくお願いいたします。
前回までのお話
これまでの記事もご覧ください。
青柳いづみこのMERDE!メルド日記
「ラモーを讃えて」「動き」レッスン記録
ドビュッシーの映像といえば「水に映る影」が最も有名ですし、この曲さえ弾ければという部分もなくはないのですが、たまたまとはいえドビュッシーはこの3曲を一括りにしていることもあって、全曲のレッスンをお願いしました。
ラモーを讃えて
初回レッスンでは「もう殆ど出来上がっているけれども」
3度の和音の処理がバラけるところがあること
43小節目のアン・アニマンから左手の動きを大事にすること(それぞれの中での<>と全体の盛り上がり)
アーティキュレーションの違いを明確に意識すること
ゆったりしたテンポの中でが、一つ一つの音がブツブツとならないように
全体に横の動きを感じて曲を作っていくこと
など、課題も見つかり、それなりに勉強して2度目のレッスンでは「録音しておけば良かったわね、とても良かった」とおっしゃっていただきました。
赤い○の部分の弾き方、どうしても僕は機械的になってしまうようです。
もう一度通して録音というお話もありましたが、精神的に厳しいなと思い、その次のレッスンで録音。
先生からは「これまですべての録音の中で一番良い演奏でした」とおっしゃって位いただきました。
チアアップとわかっていてもやはり嬉しかったです。
動き
「水に映る影」や「ラモー」とは異なり、捉えどころがなく、とりとめのない曲という先入観がありました。
そこで中井さんの本を開いてみると、この曲は「鐘」なのだそうです。
先生はもっとメカニックに詰めるイメージを持っておられたようですが、この「鐘」のお話をしたところ、音の変化は鐘の倍音の変化として捉え、曲の構成面でも鐘の表情を中心に考えてみるとわかりやすいねということになりました。
それでも、もっとも盛り上がるこの部分はメカニック面で詰めが必要でしたし、左右の弾き分けについても、たとえば、鐘の乱れ打ちの部分の右手のアルペジオは最初を左手で取らず、すべて右手で弾いて安定させるなど工夫してみました。
録音に関する先生からのメールには以下のようなコメントが記載されていました。
テーマの「鐘の音」に合ったとても良い演奏でした👏🎶 場面の切り替えが自然になってきましたね。音のバランスにも気を配れる余裕が出ていらっしゃいました😊 これからもテクニックと音楽性を高め、より進化させてください🎹
僕としては「鐘」「間」「テンポ」をキーワードにさらった結果、何とか録音まで辿り着いたという感じでした。いずれも今できる範囲でコントロールすることができて、全体の構成、各部分の意味づけもそれなりにできていたのではなかったかと思います。
平均律のレッスン状況
この間のバッハの平均律は7番と1番をレッスンしていただきました。
7番のプレリュードはプレアンブルム、コラールとフーガの構成で、家ではそれなりに弾けていると思っていても、レッスンとなると「さぁ弾くぞという感じで力が入ってしまっていたわね」(先生)となってしまい、何度か弾き直してなんとか○になりました。
フーガも初回は「音にはできているけれど」(先生)で、アナリーゼが足りず、結果的に立体的に聴こえない。
16分音符は軽く手の内で弾く(うるさい)
休符を感じること
8分音符の音価を正確に
動きのある8分音符は2拍で感じて
持ち帰ってやり直して、2度目で○になりました。
1番のプレリュードは飛ばそうかというお話もありましたが、やはり全部やりたかったのでレッスンしていただき、そして「1番からこれ(難しい)なの?」というフーガへ。
練習の甲斐があったようで、先生からは「各声部が明確に聴こえていて、よくここまで練習しましたね」とおっしゃっていただきした。
その上で、音楽的な面から以下のご指導がありました。
テーマのド・レ・ミ・ファはファに向かっていること
32分音符は軽く弾いてガチャガチャさせないこと
細かい音符に力が入ってしまうのは癖のようで、なかなかすんなり最初から軽くは弾けず、今でも油断しているとゴチャゴチャする傾向があります。
まとめ
ドビュッシーの映像第1集3曲を通して、それなりに格好がついたのは、僕にとって大きな収穫でした。頑張った甲斐があったと思っています。
そして、ラッキーなことに、この全曲をホールで弾く機会がありました。
次回はその模様についてお話していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
コメント
hirofumi様
今日もためになる記事を大変ありがとうございました
「メルド日記」Amazonに注文、明日あたり届きます。楽しみです!しかし「青柳いずみこのクソッタレ日記」だと途端に品性がた落ち感があるのに「メルド日記」「シャイセ日記」だと何だか格好いい感じです。同様に、自分はクラシックギターも演るのですが、「ラ・クカルーチャ」というメキシコ民謡を弾き語りする度に、「なんでラテンの響きだとゴキブリ(=ラ・クカルーチャ)でさえ何だかオシャレになるのか」と不思議になります。単に日本語の意味バイアスがかかっていないだけなんですが、言葉って面白いですね。
さて映像三曲のレッスン記録、非常に参考になりました。「水の反映」指慣らし前半3分の1終了したところで、まだまだラモーやら運きには行き着いてないですが、とくに「運き」に惹きつけられるものがあり、hirofumiさんのレッスン記録興味深々でした。いつも感じるのですが、一曲一曲丁寧に、真摯に取り組んでいらっしゃり、大変励みになります。「映像」と「平均律」….練習の組み合わせも参考になりました。私もバッハのフーガ、ベートーベンの三大ソナタおさらいと並行しています(今は「月光」)。指がカッチリ系に切り替わる感じです。
映像三部作をホールで弾かれたとは、凄い!素晴らしい!また記事を楽しみにお待ちしております。
> 聖弥さま
いつも丁寧なコメントをいただきありがとうございます。
おっしゃる通り、響きのマジックとでもいうのでしょうか、言葉はとても面白いですね。
ベートーヴェンを弾いていると、演奏の出来はともかくとして、そのガッシリとした音楽をひしひしと感じます。
堅牢な構築感への要求に圧倒されて、その中にある抒情的だったり少しロマンティックな部分を忘れてしまうので、毎回難しいなと。
それでも、その作品を弾く喜びは何ものにも代えがたいと、一方通行の幸せに浸っています(笑)
引き続きよろしくお願いいたします。
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