前回「レッスン記15」では、「大人の発表会」でファリャの「三角帽子」の3つの舞曲を弾かせていただいたことについてお話ししました。
その発表会は、23区内のイタリアンレストランのマスターとシェフそしてお客さんが、ふだん楽しんでいる楽器演奏を披露する場として、その数年前から開催されている発表会です。
その後、ラヴェルの「クープランの墓」を始めたものの、あることをきっかけにドビュッシーの「映像」を弾くことになりました。
今回はそのあたりをお話ししていきますので、最後までどうぞよろしくお願いいたします。
前回までのお話
これまでの記事もご覧ください。
大人の発表会でファリャの三角帽子を弾く
番外編2「色々あった2度目の大人の発表会」
第6回大人の発表会を終えて
大人の発表会のあと、バッハの平均率は14番、そして18番と進みました。18番のフーガにはかなり苦戦しました。
そんなに激しい四声ではないと思ったものの、嬰ト短調という調性と臨時記号の嵐、なかなか馴染めない和音進行、複雑な左右の弾きわけ、など僕には大変でした。
それでも、横のメロディラインがごちゃごちゃしているように感じられる中でも、縦の和音が美しくて素敵な曲だと思い、かなり練習しました。ところが、これで○になる筈と思って臨んだレッスンで、もう一度ということになって凹んだりもしました。
曲の方は何回か前の発表会以来、久しぶりにラヴェルを弾きたいということで「クープランの墓」に挑戦しました。
当初の予定では、トッカータはのっけから無理だと対象外で、プレリュード。当初の予定では、フォルラーヌ、リゴードン、メヌエットと取り組みつもりだったのですが、ちょうどその頃に発行されたのが、青柳いずみこさん監修の「ドビュッシーピアノ曲の秘密」ムック本でした
青柳いずみこ監修/ドビュッシー ピアノ曲の秘密
おそらくドビュッシー没後100年のドビュッシーイヤー記念なのだと思います。とても興味深い内容のムック本が2018年に発行されました。
音楽之友社HPの内容紹介
ドビュッシーのピアノ曲への理解を深めるために、作曲家の魅力に多方面からアプローチする一冊。ピアニスト・ドビュッシー研究者・文筆家の青柳いづみこを監修者とし、ドビュッシーの生涯に沿って全ピアノ曲を紹介するほか、青柳いづみこによる、さまざまな分野の著名人との対談を掲載。付録DVDでは、ドビュッシーのピアノ曲をおしゃれに弾きこなすための技法を青柳がレクチャー。
目次
●クロード・ドビュッシー その生涯と全ピアノ曲(伊藤制子)
●日本におけるドビュッシー演奏のパイオニア 安川加壽子の功績(青柳いづみこ)
●青柳いづみこ ドビュッシーをめぐる対話
中山七里(作家)
パスカル・ドゥヴァイヨン(ピアニスト)
田中カレン(作曲家)
飯森範親(指揮者)
高階秀爾(美術評論家)
鈴木 晶(舞踊評論家)
平山素子(ダンサー・振付家)
加藤正人(ピアノ調律師)
●ドビュッシーとゆかりあったピアノ(筒井はる香)
●〈付録DVD連動記事〉ドビュッシーをおしゃれに弾くために(工藤啓子)
モネなどの絵画の印象派と一括りにして語られ(少なくとも僕は音楽の授業ではそう聞きました)、またラヴェルとも一括りにされることも多いドビュッシーの音楽。
まず、実際に聴く機会が多かった高校時代、「海とダフニスが一緒なわけないだろ?」とラヴェルとの一括りには違和感を覚えました。個人的には、ラヴェルはとても知的というかしっかりと計算されたものを感じるのに対して、ドビュッシーは頭で考えるというよりも情的な感じがしました。
僕の感覚的なものはともかく、この二人の違いについては論じられたものに接する機会も多かったのですが、絵画の「印象派」との括りについてはもやもやしたものがありました。
同じクロードだからなんじゃないの?的な冗談はさておき、ドビュッシーの「映像」のディスクのジャケットに「モネの庭(池)」の画像が使われていたりして、その刷り込みもあるせいか、なんとなく一括りのままでいたような気がします。
このムック本では、そのあたりも解き明かしてくれています。
付録DVD ドビュッシーをおしゃれに弾くために(青柳いずみこ)
僕は正直、この「おしゃれ」に惹かれて購入したという部分もあります。
内容は以下の通りで、とても示唆に富んだものです。
【演奏】月の光(抜粋)〜ベルガマスク組曲
ドビュッシー作品の背景
演奏に求められる技法
1 ショパンの技法
2 クラブサン奏法
3 和音
4 各レベルの弾き分け
5 ペダリング
6 他のジャンルからの引用
まとめ〈亜麻色の髪の乙女〉をめぐって
【演奏】 亜麻色の髪の乙女〜前奏曲第1集
僕レベルではなかなか使いこなせないところもありますが、知っているのとそうではないのでは違うのではないかと思います。
クープランの墓は中断して映像第1集へ
クープランの墓はプレリュードの録音まで見ていただいて、そのあとはドビュッシーの映像第1集3曲すべてに挑戦することにしました。
それにともなってようやく日の目をみた書籍があります。また、新たにガイドブック的なものも購入しました。
まとめ
ドビュッシーは聴くのは好きでも、演奏する、特にピアノでとなると尻込みしてしまっている部分もあり、実際にトライしたこともあったものの中途半端に放置してしまっていました。
次回は別の書籍についてもお話したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
コメント
hirofumi様
ためになる記事、大変ありがとうございました。
私はちょうど今、青柳いずみこさんのご著書「ドビュッシーとの散歩」を読了し、「ドビュッシー〜想念のエクスプラトニズム〜」を読んでいるところです。本当に文才溢れる方ですね。しかし、今回ご紹介くださったご著書は存じ上げず、早速注文しました。興味深い内容ですね。
「月の光」先日先生に見ていただいた所です。ずっと弾き続けてきた曲なので既に発表会に出せるレベルでは仕上がってはいますが、何度弾いても奥深く、深掘りしたくなります。いずみこさんの「おしゃれに」のワザ、是非知りたい所です。同じ曲が、ちょっとしたコツで表情を変え、「おしゃれに」なる….本当にクラシック音楽は楽しいです。
映像三曲とは凄いですね!私は「水の反映」を指慣らし中です。モシュコフスキー15の練習曲の1番の譜読みした時と酷似した感覚を味わっています(→つまり、最初は譜読みが容易でない、でも一度指が覚えたら名曲なのでスラスラ)
また、練習ブログ楽しみにしております。
> 聖弥さま
コメントいただきありがとうございます。
青柳先生の「ドビュッシーとの散歩」は子供の領分から前奏曲集、練習曲まで網羅されていて、それぞれの楽曲のイメージが湧いてくる手放せない書籍ですね。
今回ブログに掲載したムック本は、僕も銀座のヤマハかどこかで偶然に見かけたものです。ひょっとすると知らないまま通り過ぎてしまったかも知れず、ラッキーな出会いでした。
映像はどうせやるなら全曲、ということで半ば意地でした(笑)水に映る影はもちろん大変でしたが、僕は運動でも相当苦労しました。
今後ともよろしくお願いいたします。
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