前の「レッスン記12」では、スペイン組曲やエル・アルバイシン(イベリア)以来のアルベニスへの取り組みとシューベルトのソナタ、そしてバッハは平均律を始めたことについてお話しました。
今回は2018年4月の発表会についてお話ししていきます。ソロはショパンのバラード第4番、そしてアンサンブルはA・リードのエル・カミーノ・レアルを演奏しました。
最後までどうぞよろしくお願いいたします。
前回までのお話
よろしければこれまでの記事もご覧ください。
第12回「アルベニス「エル・プエルト」「トゥリアーナ」そしてシューベルトのソナタ」
番外編2「色々あった2度目の大人の発表会」
ショパン:バラード第4番ヘ短調作品52
2018年4月の本番に向けて、2月から準備に入りました。
ちょうど8ヶ月ぶりに先生に聴いていただいたとき、僕なりの整理を振り返ると以下の通りになっていました。
【できたこと】
🔸全体に脱力して、メロディラインと和音の響きを意識して弾けたこと
🔸前回録音時にはただ必死だった58小節目以降がきちんと流れたこと
🔸156小節目までは今できるデュナーミクや抑揚をつけて弾けたこと
🔸167小節目から193節目までは想定した強弱の配分で流れをつけて弾けたこと
【できなかったこと】
🔸156小節目からの左手が乱れたこと(上手い入りを考える必要あり)
🔸194小節目でやや乱れが出てそのまま195小節目に突入、和音で頭が真っ白に
🔸何とか乗り切ったものの、そこで精神的なスタミナが切れてしまったこと
🔸223小節目からのテンポが速くなり乱れが出てしまったこと
🔸ラストの下降音型も速すぎてグチャっとなってしまったこと
相変わらず乱れてばかりという感じがしますね。
先生からは以下の注意がありました。
🔸223小節目から速くなったのは、そのテンポで弾きたいということだから弾けるようにした方が良いこと
🔸弱点(出来の悪かったところ)は明確なので、そこを中心に練習すること
🔸曲の流れとしては、前半が丁寧過ぎて音楽が前に進まないので、3拍目、6拍目の和音の処理に留意すること
3月に入って「良く弾けていて全体に纏まっていたし、細かいところのミスも気をつければ良いというレベル」と先生から言っていただくくらいにはなりました。
音楽的には冒頭の「入り方」と繰り返されるテーマの解釈、全体の構成を見据えた個々の部分の意味づけと弾き分け、ラストの和音のペダリング、そしてヘ短調のテーマの伴奏にあたる左手の和音の弾き方等々アドバイスを頂きました。
ただ、ともかく大曲、そして演奏時間も長いので、途中で集中力が切れてしまうこともあり、自分なりにでも納得のいく演奏がなかなかできない状態が続きました。
暗譜はしたのですが、本番では何が起こるか分からないので、本番用の楽譜を作り、譜めくりの練習もしました。134小節目のカデンツの後で左手が一瞬空くところで左に飛ばすという、僕にとっては初めての離れ技でした。
4月に入っても、幽体離脱のような演奏が続きかなり凹みました。
🔸自分の意識が高いところにいってしまって、ついていけていない感じ、これまで通りで十分
🔸ミスはどうしても気になるけれども、自分が10感じているとしたら、聴いている人は1くらい
🔸全体の構成を見失わず、よく歌い、フレーズの最後までよく聴くこと
🔸前半が緊張のためガチガチになって力んで音量過多、特に左手の和音が大き過ぎて耳障り(触る程度で良い)
4月後半は開き直ったおかげで、これで行けるかなという演奏がコンスタントできるようになり迎えました。
A・リード:エル・カミーノ・レアル
まずは、エレクトーンソロ用の楽譜と吹奏楽のフルスコアを睨めっこしてアレンジすることからスタートしました。
一週間がかりで一応完成したエルカミのピアノパート譜がこちらです。
渡辺睦樹さんのエレクトーンアレンジ譜で原曲から省かれた音をピアノで加える、というコンセプトで書いたため、気づいたらハノンやチェルニー30番の30番みたいな楽譜になってしまいました。パートはフルートとクラリネット、オーボエ、アルトサックスが中心で、ところどころホルンやトランペットを入れています。低音群を入れると左手が安定して楽なんですが、そうすると恐らくうるさくなりそうなので省いています。
その後は、2人で合わせながら、先生に聴いていただいて音を加えたりして進めました。
僕個人の課題としては「滑舌が悪い」こと、フィンガリングの定着度が甘かったことが原因なので、それこそチェルニー並みに練習しました。
こちらの方は、これなら楽しく演奏できそうだなというところまで仕上がったのではないかと思います。
細かいところで気になったところはお互いに確認できたので、エッジの効いた熱狂的な演奏ができたら良いなと本番に臨みました。
バッハ:平均律第1巻第2番
発表会前でしたが、2番のプレリュードとフーガだけは継続して練習しました。
両方とも一度で○をいただいたようです。ショパンで煮詰まった気分転換になっていたのかも知れません。
発表会本番
この発表会から会場は、新しくできた府中のバルトホールに代わりました。
ピアノもこれまでのスタインウェイの古いフルコンから新しいC型になり、リハで弾いたところではホールも音の伸びが良いなと感じました。ペダルは浅い方が良さそうですが、その調整はぶっつけではちょっと無理かなと。
ところが、ここでハプニング。
午前中のソロとアンサンブルのリハを終えた昼休み、なぜこうなってしまったのかがわからないほどモチベーションが下がってしまいました。曲の最後まで弾いている自分の姿が想像できなくなり、このまま弾かずに家に帰れれば良いのにとまで思ってしまうありさま(便所姫(丸山誉子/ピアノの森)さながら)。こんなことはこれまでまったく経験したことがありません。
ステージに上がり、アナウンスもちゃんと聞かないままお辞儀をして・・・気持ちが上滑りする幽体離脱とはまた別の現象で、上の空のまま鍵盤に向かってしまいました。
肝心の演奏の方は、緊張の前半1/3を終えて一旦落ち着いたところで、そんなことなかったのに!という箇所で指が回り切らず右手は完全に落ちてしまい、左手と身体で力でねじ伏せて強引に前に進めたというありさまで、さすがにこの瞬間は止まるかもと思いました。ただ、ここで開き直ったことで、何とかクライマックスまでの高揚、静寂、そして繰り返しの高揚までもっていくことができたように思います。
アンサンブルは、やはり入りはボーっとしてしまって外してしまったりしましたが、徐々に僕のテンションも上がって行き、ファンダンゴでは弾けることができ、気持ち良く爽快に終曲を迎えることができました。ここが合奏のありがたいところだと思います。まさに相棒に感謝!です。
まとめ
発表会を終えたあとの記録を見ると、相当凹んでいたようです。
ふりかえってみると、無謀な目標に挑み続けたことと、その結果を曲がりなりにも発表できたことは、人生の中でもとても充実した貴重な経験だったとつくづく感じます。こんなことは、少なくとも僕の場合は、仕事では絶対に起こらないことです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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