前回「レッスン記11」では、上原ひろみ、カプースチンを通じたジャズの体験、そしてショパンのバラ4への挑戦についてお話しさせ ていただきました。
いったんバラ4を終えたあとは、スペイン組曲やエル・アルバイシン(イベリア)以来のアルベニスに取り組みました。トゥリアーナは途轍もなく高い山でした。
そのあとは心穏やかにシューベルトのソナタを弾いています。
また、バッハはパルティータを一応一通り終えたあと、平均律を勉強することにしました。
今回も最後までどうぞよろしくお願いいたします。
前回までのお話
よろしければこれまでの記事もご覧ください。
第11回「発表会2度目のラヴェル!ソナチネ全楽章」
番外編2「色々あった2度目の大人の発表会」
今回は第11回以降、その次の発表会の準備に本格的に取り掛かりるまでのお話です。
バッハ:パルティータ第6番ジーグ
おまけで○をくださることがある先生ですが、パルティータの最後の曲ということで、きちんと音楽的に仕上げましょうと、細部に至るまでアーティキュレーションの統一、各声部の明確なラインという観点から、様々な指摘を頂戴しました。
この3声の曲では、楽譜に初めて3色で色分けを施してみました。
その効果は多大で、練習そのものには大変助けになりました。
まず3声を別々に、左手・右手に各々1声を割り当てて2声で練習してから、その上で3声を合わせてじっくりと取り組みました。
格闘に近かったのですが、得たものは僕にとって多大なものがありました。
バッハ:平均律第1巻
一通りではありますがパルティータを終えたあとは、平均律第1巻へ。なんだか順番がちょっと違うのですが、大人の趣味ということでご容赦を。
第6番
プレリュード
🔸左手の6小節目「レドシラ」などはひと纏まりに捉えること
🔸レガートに近いノンレガート、かつ拍の意識はきちんと持って弾くこと
🔸10小節目の「ラララソ」は最初のララはひと纏め、ラソはほぼ同じ長さのノンレガートで弾く
フーガ
🔸手首は使わないこと
🔸縦に音と拍を感じた上で、メロディのラインが出来上がっていく
🔸停滞しないで前に進んでいくこと
第21番
プレリュード
🔸Adagioの「3対1」+4分音符は正しい音価、テンポは一定で
フーガ
🔸テーマの弾き方(拍の意識と軽さ)で聴き手を惹きつけることができる
🔸16分音符は4分音符におさめればテンポが安定する
第10番
プレリュード
🔸左手の4拍目を最後まできちんと聴くこと
フーガ
🔸16分音符は粒を揃えて弾くこと
🔸8分音符のフレーズの左右のやり取りは「歌」を感じて
第11番
プレリュード
🔸8分音符の音型は3/8ずつではなく一塊りで掴むこと
🔸その中でそれぞれの音をどれくらいの強さで弾くかを考えて
フーガ
🔸16分音符が続く箇所では流されていかないこと
エル・プエルト〜組曲「イベリア」第1集第2曲
アルベニスのイベリア第1集の2曲目「エル・プエルト(港)」には僕がイメージする絵があります。
それがこの笹倉鉄平の「プエルトバヌス」です。このシルクスクリーンの絵を購入したのは25年くらい前になるでしょうか、香港赴任のときにも持っていきましたし、今なお自宅のリビングにも飾っています。
笹倉さんの絵と云うと、華やかな色使いでキラキラしたものが多く、それはそれで素敵なのですが、いざ飾るとなると個人的にはちょっと落ち着かない感じがします。その点、光が少なく、全体を支配する色もブルーでしっくりと嵌る感じ。そして、何よりも右下に描かれたフルートを吹く少女が印象的です。
アルベニスのエル・プエルトが描くのはどこの港かはわかりませんし、おそらく夜ではなく昼間を描いたもののような気もします。しかし、僕にはこの絵を見ながら、バヌスの港の一日を思い浮かべてみると、アルベニスのこの曲がちょうど被ってきます。
少女が吹いているフルートはもちろんピアノ原曲には出てきませんが、アルボスが編曲した管弦楽版のオブリガートを吹いているように感じがします。
話が大きく横道に逸れましたが、この「エル・プエルト」はイベリア12曲の中で、おそらく最も技術的には平易な曲だろうと思います。だからと云って、僕が簡単に弾けるわけでは決してないのですが。
🔸45小節目のような音型は、16分音符と8分休符を挟んだあとの8分音符とは別のものであることを意識すること
🔸全体に右手/左手のバランスは6.5/3.5くらいで
🔸レガートとスタッカートの区別を明瞭に
🔸休符をきちんと音符として意識すること
🔸デュナーミクをもっともっと意識して音にすること
トゥリアーナ〜組曲「イベリア」第2集第3曲
言わずと知れた難曲中の難曲です。
🔸メロディラインを明確に
🔸リズムは埋もれてしまわないように
🔸交差するメロディーはきちんと浮かび上がるように
難曲のこの曲の中でも最大の難所、闘牛士のマーチ。
🔸左手は8分音符/16分休符で走らないこと
🔸両手の交差を整理して、音を頭に叩きこむこと
最後までこの部分をまとめきれませんでした。
精神的にもスタミナ切れ、落ちないということに精一杯で、音楽の意識はどこかに飛んでいってしまいました。
分不相応な選曲だったことを思い知らされました。
ただ、一方でとても無理と思っていたこの曲をとにかく音にはしたこと、録音までできたことは大きな収穫ではありました。
限界を自分で決めなくて良かったなとは思います。
この曲にチャレンジする機会があったことは幸せでした。
シューベルト:ソナタ第7番第4楽章
🔸それぞれの音型と各々の関係を整理すること
🔸その上でどういった弾き方をすれば良いのかを考えること
🔸同じ音型が続く部分は、聴き手を惹き込むために変化をつけること
🔸ぺダリングも効果をよく考えて
PTNAのHPにあった北村朋幹さんの演奏がとても素敵で、弾いてみたいと思ったのが選曲した理由です。
当時の記録を見ると、気持ち良く弾けたというようなことが書いてありました。
この曲の最後のレッスンでの録音を恥を忍んで掲載させていただきます。
今聴くと「気持ち良く弾いた」というわりには、モコモコして気持ち良くはないですね。
まとめ
バッハの平均律は第1巻のみをバルトーク版の順番で勉強しています。
パルティータはただ無我夢中なだけで曲の大きさに押しつぶされたようなきらいもありました。平均律は曲が短いこともありますが、勉強にもなりますし、僕なりに身についてきた部分も大きいように感じています。
アルベニスのトゥリアーナは本当に大変でした。それよりも聴いていただいた先生の方がもっと大変だっただろうと拝察します。忍耐強く時間をかけてレッスンしていただいたことに感謝するのみです。
次回は発表会についてのお話になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
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