【ピアノ】チョ・ソンジン新譜!さすらい人幻想曲とリストのソナタロ短調

ピアノ
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先日、久しぶりに新宿タワーレコードにいったときに、チョ・ソンジンの5枚目のアルバムが発売されていることを知りました。

遅ればせながら、このアルバムの中からシューベルトの「さすらい人幻想曲」とリストの「ピアノソナタロ短調」について、今回が見ていきたいと思います。

最後までよろしくお願いいたします。

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シューベルト:さすらい人幻想曲 D760

幻想曲ハ長調「さすらい人」は、この曲の第2楽章のテーマがシューベルトの歌曲
「さすらい人」を用いたことから「さすらい人幻想曲」として通称されています。

高度な技巧を要する難曲で、シューベルト自身ですら完璧に弾きこなせず「こんな曲は悪魔にでも弾かせてしまえ」と言ったと伝えられています。

華やかでテクニカルな第1、3、4楽章と、ロマンチックな第2楽章の4楽章で構成されています。

YouTubeで公開されている音源から、名ピアニストの演奏を探ってみましょう。

スヴィヤトスラフ・リヒテル

シューベルト 幻想曲 ハ長調 『さすらい人』 リヒテル Schubert Fantaisie 'Wandererfantasie'

僕の年代だと、レコードではじめて接したピアニストはこのリヒテルやケンプ、ブレンデルという方が多いのではないかと思います。

そんな経緯もあり、この演奏はその当時を思い出させてくれるとともに、リヒテルの偉大さを再認識させてくれました。強固なテクニックと変幻自在な表現力を持って、極限までに高められた集中力で演奏しています。ピアノの調整の影響なのか最初はややベートーヴェンのように聴こえないでもありませんが、聴いているうちにファンタジーの世界に誘われていきます。

ヴィルヘルム・ケンプ

シューベルト:《さすらい人》幻想曲 ハ長調 D760 ケンプ 1967

僕が高校生の頃、ピアノは月一度音大の先生に見ていただいて、それまでの週一度3回のレッスンは同じ曲を先生のお弟子さんに見ていただいていました。そのお弟子先生から「あなたはこの曲、誰の演奏を聴いているの?」と聞かれて「ケンプです」と答えたら「なんでケンプなんか聴いてるの!」と言われたことを今でも覚えています(なんでそういう答えなんですか?と聞きたかったですが、言ったことはありません)。

その頃すでにケンプは全盛期を過ぎて、メカニックに衰えが見えるようになってきていたようです。

この演奏も指周りなど年を感じさせるところがありますが、素朴な木材を丁寧に組み立てて、艶やかに仕上げられたような良さを聴くことができると思います。

マウリツィオ・ポリーニ

♪シューベルト:幻想曲 ハ長調 「さすらい人」 Op. 15, D. 760 / マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ) 1973年11月

ショパンコンクール優勝のあと、しばらく世間の目に触れることがなかったポリーニが「ペトルーシュカ」で衝撃を与えた2年後に録音された名盤の誉高い演奏です。

僕はこの演奏は何度も聴いていますが、正直好みではありません。ダイナミックレンジが広く、特に第2楽章では弱音の美しさや叙情性は凄いなと感じる一方で、冒頭からテンポが遅く、音が大きいことも手伝ってガヤガヤとした印象が拭えず、第4楽章になると聴く方が飽きてしまって集中力を失ってしまうという現象に見舞われてしまいます。

アルフレード・ブレンデル

シューベルト: 幻想曲 ハ長調 D.760《さすらい人》ブレンデル 1988

1988年の演奏ですが、相変わらず若々しくとても達者なのは、さすがブレンデルだと思います。曲の入りから颯爽としていて、一気呵成に終曲まで連れていってくれます。何を弾いても本当にうまい。一方で、この曲は幻想曲の筈だったんだよなと我に返ったりする瞬間があります。

エフゲニー・キーシン

Evgeny Kissin – Schubert – Wander Fantasy in C major, D 760

若いころの鶴瓶師匠のようなアフロになってしまった現在のキーシンですが、これはまだまだあどけなさの残る時代の演奏です。

音楽は決して停滞することなくサクサクと進みますし、メカニックに偏ることがなく、表情も豊かでファンタジックな演奏です。ただ、キーシンのピアノの音、響きは彼好みの調整なのかも知れませんが、キンキンするところがあって個人的にはやや拒絶反応が出てしまいます。

リスト:ピアノソナタロ短調 S178

それでは、リストのソナタについて見ていきましょう。

マルタ・アルゲリッチ

Martha Argerich plays Franz Liszt – The Piano Sonata in B-Minor S.178

僕もCDを持っていて、もっともよく聴いた若き日の「神」の演奏。メカニックが素晴らしくてこの難曲ですら余裕たっぷりで、スピード感に溢れ、音楽に寸分の淀みすら感じさせない流れのスムーズな、それこそ神がかった演奏だと思います。

一方で、読み聞かせのような流れのためか、個人的には曲の構成感がやや希薄になっているようにも感じます。この曲が「白鍵と黒鍵がバラバラと上から降ってくる」と感じるようになったのも、この演奏を聴き続けた影響でした。

スヴャトスラフ・リヒテル

リスト ピアノ・ソナタ ロ短調 リヒテル Franz Liszt Sonata in B minor

1966年のオールドバラでのライヴ。そのせいなのか、このときの機嫌がよくなかったのか、めずらしく雑で和音の響きの美しさもあまり感じられないのが残念。ミスタッチも多いのですが、後半に進むに連れ、調子が出てきたようです。

ラザール・ベルマン

LAZAR BERMAN plays LISZT Piano Sonata COMPLETE (1975)

デビュー盤(超絶技巧)がピアノの魔術師的な触れ込みだったことを覚えていますが、堅牢な構築感の上にシルクのような響きを湛えたスケールの大きな演奏。テクニックを武器にグイグイいくのかと思いきや、暴力的なところなど微塵も見せず、音楽的な素晴らしさが光ります。

アリシア・デ・ラローチャ

Sonata in B Minor – Liszt – Alicia De Larrocha

このあとの野島盤とともに、僕を「白鍵と黒鍵がバラバラ降ってくる世界」から連れ戻してくれたのが、ラローチャの演奏でした。

強固な全体の構築感の上に、部分部分の細やかなアンサンブルを編み上げていった、スケールの大きさと繊細さを兼ね備えた演奏。曖昧なフレーズなど微塵もなく、スピード感にも溢れる一方で、あの小さな手でよくまぁと思えるくらい重量感もあり、陳腐な表現ですが、羽根をつけた音楽が自在に空を舞っているような素晴らしい演奏です。

野島稔

Grandes Etudes de Paganini, S141/R3b: No. 3 in G-Sharp Minor, "La campanella"

メカニックでも音楽的にも、磨き上げられた細部を組み立てることによってできあがった音楽は、全体としていささかの矛盾もなく現代音楽を聴いているかのようなスピード感があり、良い意味でエッジの効いたクリーンで繊細を兼ね備えた、際立った完成度を湛えた名演だと思います。

アルフレッド:ブレンデル

Liszt Piano Sonata in B minor Alfred Brendel

1992年上野文化会館でのライヴです。指先はバンドエイドのようなもので手当てされていることも画像から見ることができますが、演奏は年齢やそんなことをまったく感じさせない鮮やかな演奏です。これは凄いなと思いました。

クリスティアン・ツイメルマン

LISZT – Sonata in B minor – Krystian Zimerman

メカニックも楽譜の再現度も極めて高く、完璧とはこういうことなんだというような演奏です。迫力も鮮やかさもあってとにかく凄いなと思わせるものがあります。

一方で、年を重ねるに連れ、やや理屈っぽくなっているようなきらいもあるように個人的には感じるところもあります。大好きなピアニストなのですが「ツィマーマンの演奏は面白くない」という声にもうなづいてしまう僕がいたりします。

チョ・ソンジン「さすらい人幻想曲」


(出典:タワーレコードHP)

(収録曲)
1 シューベルト:幻想曲ハ長調 Op.15, D.760「さすらい人」
2 ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1
3 リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178

チョ・ソンジン(ピアノ)

録音時期:2019年6月(1,2) 2019年10月(3)
録音場所:ベルリン(1,2) ハンブルク(3)
録音方式:ステレオ(デジタル)

チョ・ソンジンの「さすらい人幻想曲」は、響きが美しく、とてもしなやかで、そしロマンティック。音楽の推進力もあって、最初から最後までブレンデル同様一気呵成に聴かせますが、変化に富んでとても楽しい演奏だと感じます。

リストのソナタロ短調も音の美しさが際立っていて、色彩感もあり、完成度の高い見事な演奏。なによりもピアノが温かく歌っているのが印象的でした。

まとめ

さすらい人とリストのソナタ、この二曲を久しぶりに大量に聴きました。

当たり前ですが、ピアニストそれぞれの個性あふれる素晴らしい演奏ばかりで、時間の経つのを忘れてしまいました。

チョ・ソンジンの演奏はそれらの中にあっても、きらりと光る素晴らしいもので、次のリサイタルやアルバムがますます楽しみです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋

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