テレビ朝日で2020年3月28日朝放映された「題名のない音楽会」では「ドリーム・デュオ」と題して、わが国を代表する6人の演奏家による3組のドリーム・デュオの共演を聴くことができました。
村治佳織さん(ギター)、宮田大さん(チェロ)、吉田誠(クラリネット)、上野耕平(サクソフォン)、反田恭平(ピアノ)、辻彩奈(ヴァイオリン)の6名によるデュオと、番組冒頭には指揮の沼尻竜典さんと司会の石丸さんもサックスで加わったアンサンブルも演奏されました。
ギターとチェロ、クラリネットとサクソフォーンといった普段滅多に聴くことができない組み合わせもありました。演奏順に番組を振り返ってみましょう。
組曲「くるみ割り人形」より トレパーク
チャイコフスキーのオリジナルを「ギター、チェロ、クラリネット、サクソフォンx2、ピアノ、ヴァイオリン」によるアンサンブル向けに萩森英明さんがアレンジ、沼尻さんのタクトによって演奏されました。
サクソフォン:石丸幹二、上野耕平
ギター:村治佳織
チェロ:宮田大
クラリネット:吉田誠
ピアノ:反田恭平
ヴァイオリン:辻彩奈
演奏はこちら(この動画の3曲目です):https://youtu.be/mmXRS787zKQ
オリジナルはこちら:https://youtu.be/TmQjhwsPRDE
番組とは関係がありませんが、吹奏楽による面白いアレンジが見つかりましたので、ご興味あればどうぞ。
くるみ割り人形より3つのダンスメドレー(ニューサウンズインブラス1993)
鈴木英史編曲、東京佼成ウインドオーケストラ:https://youtu.be/a56jpXKWu6g
君をのせて
このギターとチェロという異色のアンサンブルは、「題名のない音楽会」番組55周年企画での17人編成アンサンブルで共演した際、村治佳織さんのファイナルファンタジー冒頭の美しいソロに惚れ込んだ宮田さんのラブコールにより生まれたそうです。
久石譲さんの原曲を山下康介さんがこのデュオに向けてアレンジされたものを演奏しています。
ギター:村治佳織
チェロ:宮田大
演奏はこちら:https://youtu.be/1bg4I9h3-jk
夢のあとに
今回唯一のオーソドックスなデュオで、よく知られたフォーレの「夢のあとに」が演奏されました。辻さんの「間の取り方・音楽性」に共通点を感じていた反田さんが共演を熱望されたとのことです。辻さんも音楽性が似ているという意識を持っておられたようです。
ピアノ:反田恭平
ヴァイオリン:辻彩奈
演奏はこちら:https://youtu.be/TDL6DJLFZ3Q
ルクレール/ 2台のヴァイオリンのためのソナタ作品3−2 第3楽章
後半2曲はクラリネットとサクソフォンという、吹奏楽などで同じ部に属したり、同じステージに乗ることはあっても、この組み合わせ単独で演奏されることは大変めずらしいですね。
吉田さんが、芸大の後輩ですが、同じ管楽器奏者として、音楽性とテクニック、これまでなかった挑戦をしているパイオニア的な上野さんとの共演を希望されたとのことです。
2曲目のプーランクも含めて成田さんと上野さんで選曲されたそうです。2曲ともにオリジナルをそのまま使用されているようです。
クラリネット:吉田誠
ソプラノ・サクソフォン:上野耕平
演奏はこちら(1曲目です):https://youtu.be/mmXRS787zKQ
オリジナルはこちら:https://youtu.be/pNR038DfUck
プーランク/ 2つのクラリネットのためのソナタ 第3楽章
クラリネット: 吉田誠
アルト・サクソフォン: 上野耕平
演奏はこちら(2曲目です):https://youtu.be/mmXRS787zKQ
オリジナルはこちら:https://youtu.be/pzDuN2Wb3T4
番組ホームページはこちらからどうぞ:https://www.tv-asahi.co.jp/daimei_2017/contents/Broadcast/0225/
まとめ
繊細で音量も小さなギターと1本で堂々と大人数のオケと渡り合う豊かな響きのチェロの異色の組み合わせは、名手2人がお互いに寄り添った素敵な演奏でしたし、ピアノとヴァイオリンという王道のフォーレは叙情性豊かに深く歌われていました。
吹奏楽やオケでクラリネットを吹いていた僕からすれば、クラ1本でサックスとアンサンブルするなんてあり得ない組み合わせと言ってしまうところですが、さすがにこのお2人は息もぴったり合って、バロックでもプーランクでもフランス音楽のエスプリやユーモアがビビッドに伝わる演奏をなさっていました。
今回の「偉人たちが残した言葉」
ふたつの個性の出会いは化学物質の接触のようなもの。もしなにか反応が起きれば、両者が変化する
コメント