【ピアノ】務川彗悟リサイタル〈振替公演〉@浜離宮朝日ホール

ピアノ
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二度に亘って延期となったピアニストの務川彗悟さんのリサイタルが、2020年9月11日浜離宮朝日ホールで開催されました。

中国ウイルス騒動への対応として、休憩なし70分のプログラムに変更の上、昼、夜2公演(プログラムは同じです)の人数を限定したホールでのリサイタルのみで、オンライン配信はありませんでした。

今回はリサイタルの模様についてお話していきますので、最後までよろしくお願いいたします。

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リサイタルの概要

日時:2020年9月11日(金)14:00〜(昼公演)、19:00〜(夜公演)
場所:浜離宮朝日ホール

〈プログラム〉
ベートーヴェン : ピアノソナタ第30番 ホ長調 Op.109
⭐️デュサパン : エチュード第5番
シューマン : 子供のためのアルバム Op.68より 第30番(無題)
⭐️ショパン : バラード第1番 ト短調 Op.23
⭐️ショスタコーヴィチ : 24の前奏曲とフーガより 第15番 変ニ長調
⭐️ラフマニノフ : コレルリの主題による変奏曲 ニ短調 Op.42

〈務川慧悟よりメッセージ〉(務川彗悟HPから引用)
4月より延期となり、東京と大阪にて8月末に予定していたリサイタル2公演を、熟考と討議の末、再度延期させて頂くことが決まりました。近日の新型コロナウイルス感染の広がり加え、私自身の旅程の事情も鑑みて、出来る限り遅い日程に再度組み直すことが望ましいとの判断となったためです。8月末に予定されていた公演を楽しみにして下さっていた方には、大変に申し訳ありません。
尚、この度の延期に際しまして演奏予定曲目も、自宅で過ごした長い時間を経て「今弾かなければ」と信じるに至った音楽があり、私自身の強い希望により変更を加えさせて頂いています。皆様に私の素晴らしい演奏を…となかなか自身で言うことなどできませんが、しかしこの約1時間の音楽がどれも余りに素晴らしく密度の濃いものであり得ることを、全くもって信じています。

〈当初予定されていたプログラム〉
ヘンデル :シャコンヌ ト長調 HWV435
ラヴェル : 高雅で感傷的なワルツ
⭐️デュサパン : エチュード 第6番
ブーレーズ : アンシーズ(2001年版)
ショパン : ボレロ ハ長調 Op.19
⭐️ショパン : バラード 第1番 ト短調 Op.23
⭐️ショスタコーヴィチ : 24の前奏曲とフーガより 第15番 変ニ長調
⭐️ラフマニノフ : コレルリの主題による変奏曲 ニ短調 Op.42

⭐️は変更のなかった曲目で、当初プログラムからヘンデルのシャコンヌ、ラヴェルの高雅で感傷的なワルツ、ブーレーズのアンシーズそしてショパンのボレロが外れ、ベートーヴェンの30番ソナタとシューマンの子供のためのアルバムに変更されました。

リサイタルに関する肉声メッセージなど

務川さんのメッセージをツイッターで聞くことができました。

また、8月にポーランドとフランスから帰国後に公開された演奏動画にプログラムの曲もあり、リサイタルへの期待が一層高まりました。

リサイタルの模様

僕は14:00開演の昼の部を聴いてきました。
一つ空けて着席することになっていて、僕の座席は左手中ほどでした。


(開演前に撮影したものです)

チケットの半券の裏には「氏名、連絡先電話番号」の記入を求められ、半券は自らもぎって箱の中へ。プログラムは置いてあるものをピックアップして入場します。

プログラムのメッセージは事前のものではなく、新たに書かれたもののようでしたので、画像を掲載しておきます。

そして、ラフマニノフの演奏まで終わったところで、ステージ上で務川さんからお話がありました。

〈僕自身の理解での要約ですのでご容赦ください〉
まずは、今回が東京のコンサートホールでのデビューリサイタルとなりました。

フランスに留学して6年になりますが、フランスにいるとドイツ音楽を弾くのが怖くなります。
自分(務川さん)はドイツ音楽を尊敬していて、歳を重ねたら弾いていきたいと考えていました。
自粛期間中、ホールで演奏することの素晴らしさを改めて認識するとともに、ベートーヴェンのソナタのように緻密かつ大きなスケールで書かれた作品を演奏するためには、弾いていかないと成熟しないということも認識しました。
ベートーヴェンの晩年の作品を弾くのは特に怖いのですが、今回選曲するに至りました。

一見バラバラに見える今回のプログラムも、ベートーヴェンの30番ソナタの第3(2)楽章の変奏曲のテーマは「サラバンド」、そしてラフマニノフのコレルリのテーマも「サラバンド」でまとめたということだそうです。

アンコールは、まず「サラバンド」の流れでバッハのフランス組曲第5番のサラバンドを、そして最後にラフマニノフの楽興の時第3番を祈りのように披露してくださいました。

終演後は密やかにCDが販売されていました。

まとめ

僕個人的には、務川さんは研ぎ澄まされた美しい音、濁りのないクリアなサウンド、そして豊富な音のパレットを備えた現代的なピアニストという印象を持っています。古典から近現代作品に至るまで深く読み込んで、豊富な抽斗の中から必要なパーツのみを取り出して、無駄なく作品を堅牢に構築し、楽曲の個性を表現していくというイメージです。

ショスタコーヴィッチではその現代的な部分が活かされたエッジの効いたスピード感溢れる鮮やかな音楽に痺れましたし、ベートーヴェン、ショパンやラフマニノフでは細かなディテールにまで行き届いた音楽作りで、ロマンティックな音楽に身を任せました。詩人のようであり、哲学者のようでもあり。

そして、深く読み込まれた無駄のない音楽ということからも、これまでサロンでのみ聴いてきたバッハをアンコールで聴くことができたのは本当に良かったと感じています。

なによりもホールの空気を動かすエネルギーが半端なく、音、音楽の中から務川さんの強い意思がビシビシ伝わってきました。その空気を共有できたこと、グルーヴ感を得られたことはこの上ない幸せな時間だったと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋

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