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昭和の吹奏楽、今回は1960年代から30年以上、その個性を輝かせ続けた秋田県の名門花輪高校です。
花輪高校吹奏楽部 2008年6月3日
東北地方の吹奏楽名門校である花輪高校、古くはクラシックの名曲の丁寧で温かい演奏を聴かせてくれましたが、小林久仁郎先生が赴任されてからはその個性が一層際立ってきました。
花輪高校が採り上げたコンクールの自由曲を、筆者が可能な範囲で調べた一覧は以下の通りとなっています。
(数字は年度、作曲者/編曲者(不明分は記載せず)
69 バッハ:トッカータとフーガニ短調
70 ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」
71 リード:パッサカリア
72 スメタナ:交響詩「モルダウ」
73 リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェへラザード」第2楽章「カレンダー王子の物語」
74 ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」よりプロムナード・小人・リモージュの市場・カタコンベ
75 チャイコフスキー:交響曲第1番ト短調「冬の日の幻想」第1楽章
76 デュカ:交響詩「魔法使いの弟子」
77 シベリウス:交響曲第2番ニ長調第1楽章
78 ラフマニノフ/小林久仁郎:交響曲第1番ニ短調終楽章
79 ショスタコーヴィッチ/小林久仁郎:交響曲第1番ヘ短調終楽章
80 ハチャトリアン/小林久仁郎:交響曲第2番イ短調「鐘」第1楽章
81 プロコフィエフ/小林久仁郎:交響曲第3番ハ短調第1楽章
82 ウォルトン/小林久仁郎:交響曲第1番変ロ短調終楽章*
83 ベルク/小林久仁郎:三つの管弦楽曲作品6からマーチ
84 ハチャトリアン/小林久仁郎:交響曲第3番ハ長調「シンフォニー・ポエム」
85 ガジベコフ/小林久仁郎:交響曲第2番
86 シチェドリン/小林久仁郎:交響曲第2番(管弦楽のための25の前奏曲)から*
87 名取吾朗:吹奏楽のための詩曲「永訣の詩」
88 ハチャトリアン:バレエ音楽「ガイーヌ」から導入部・収穫祭・火焔*
89 四反田素幸:吹奏楽のための幻想曲「壁画」
90 ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」から序奏・終幕の踊り*
91 ルーセル/佐藤正人:バレエ音楽「バッカスとアリアーヌ」
92 ブリス/小林久仁郎:バレエ音楽「チェックメイト」から4人の騎士の踊り・黒の女王の登場・終曲
(アスタリスク*を付した曲は東北大会での演奏、その他の年は全日本へ出場)
76年までが佐藤修一先生、77年は廣田俊介先生、そして78年以降はすべて小林久仁郎先生が指揮をなさっています。
冒頭に小林先生赴任以降の個性の際立ちと書きましたが、禿山やシェヘラザードといった今では珍しくもない曲も、その当時では斬新な選曲として捉えられていたわけですし、神戸大会での「展覧会の絵」もバーバヤーガとキエフの大門ではありませんから、勝手な想像ですが何かしらこだわりの気風のようなものが根付いているのかも知れません。
そして小林先生が棒を振られるようになってからは、ラフマ・ショスタコ・ハチャトリアン・プロコ、果てにはベルクやガジベコフ、ブリスまで。
筆者はハチャトリアンの交響曲2曲が特に印象に残っていて、活き活きとしたエネルギーに溢れる一方でディテイルも丁寧に作られており、何よりも素晴らしいのはその底流に流れる歌心が見事に表れていることです。
この点で、採り上げる曲は異なれども川本高校と共通するものを感じます。
それにしてもシンフォニー・ポエムは完全に自分たちのものにしていましたね。あれがオリジナルだと云われても違和感がまったくありませんから。実際、その後小林版がオリジナルとしてあちこちで演奏されていました。
また、ウォルトンもバンド・ジャーナルの講評で上野晃さんが「このコンクールの白眉」と絶賛されていました(個人的には秋田南の深井史郎、仁賀保の矢代秋雄も素晴らしかった)。
音源など
トッカータとフーガ
禿山の一夜
モルダウ
シェヘラザード
高度な技術への指標
吹奏楽のための練習曲
チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」第1楽章
ラフマニノフ:交響曲第1番終楽章
ショスタコーヴィッチ:交響曲第1番終楽章
ハチャトリアン:交響曲第2番「鐘」第1楽章
プロコフィエフ:交響曲第3番第1楽章
ウォルトン:交響曲第1番終楽章
ベルク:三つの管弦楽曲作品6からマーチ
ハチャトリアン:交響曲第3番「シンフォニー・ポエム」
ガジベコフ:交響曲第2番
シチェドリン:交響曲第2番(管弦楽のための25の前奏曲)*
名取吾朗:吹奏楽のための詩曲「永訣の詩」
ガイーヌ
吹奏楽のための幻想曲「壁画」
三角帽子
バレエ音楽「バッカスとアリアーヌ」
バレエ音楽「チェックメイト」
まとめ
古くは50年ほど前の演奏ですが、繊細さと美しさに裏打ちされた丁寧で歌心溢れる演奏、そして小林先生に代わってからは、加えてインパクトが強い個性が存分に発揮された素晴らしい演奏だと思います。
コンクールを始め、学校吹奏楽のあり方が云々されていますが、生徒さんたちが音楽の素晴らしさを味わえる環境を大切に考えていただきたいと願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
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