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日本統治時代に海を埋め立てて高雄港が造られ、その倉庫への輸送を担う鉄道「濱線(はません)」も開通しました。その鉄道は2008年に廃止され、2010年には「打狗鐵道故事館」が開設されて、旧貨物駅のヤードだったところに蒸気機関車も含めて様々な車両が保存されています。
また、倉庫は展覧会やワークショップなどが行われたり、クリエイティブなショップや展示館などのアートなスポット「駁二芸術特区」に生まれ変わりました。この特区に2016年にオープンしたのが、台湾初の鉄道博物館「哈瑪星台湾鉄道館(ハマシン タイワン ティエダオグァン)」です。館内には、縮尺1/87で再現された鉄道風景のジオラマの展示があるほか、館外ではミニ機関車が倉庫の周りを走っていたりと、屋内外で楽しめる施設となっています。
今回購入した、このジオラマに関する書籍の内容にしたがって「5.第二展区(展示エリアージオラマ)」を加筆しました。
ジオラマの製作過程などをイメージしていただければ幸いです。
高雄へのアクセス
台湾新幹線(台湾高鉄) 台北〜左営
台北方面からは南港、台北、板橋から高雄の手前の左営まで乗車することができます。台北駅の始発は6:26、曜日によりますが毎時4〜7本の運行で、台北〜左営の所要時間は停車駅によって最速1時間40分から2時間20分を要するものまで様々です。料金は自由席(定価)で1,445元です。
台灣鉄路 台北〜高雄
台鉄を利用すれば高雄駅まで行くことができますが、最速の普悠瑪號でも3時間35分、一般特急の自強號では4時間50分を要します。自強號は毎時1〜2本走っていますが、普悠瑪號は台北8:00発と13:30発の2本のみです。料金は普悠瑪、自強ともに843元です。
バス 台北(轉運站)〜高雄車站
高雄へ行く長距離バスはバス会社4社によって運行、所要時間は約5時間、車内設備などの違いによってバス会社によって運賃が異なります(國光客運と統聯客運(Ubus)は3列シートで、阿羅哈客運と和欣客運は基本2列の豪華シートです)。
國光客運 530元(全票)
統聯客運(Ubus)530元(全票)
阿羅哈客運 715元
和欣客運 710元
アクセスのまとめ
前日夜から高雄に向かうのであればバス利用は大いにありでしょう。深夜の時間帯でも、バス会社によりますが1時間に1本は運行していますし、渋滞などがないので4時間で高雄まで到着することもあるようです。特に、阿羅哈客運や和欣客運のような2列シートでほぼフルフラットに近いシートでの移動は快適です。
阿羅哈客運時刻表:(三排椅は3列シートバスです)
https://www.aloha168.com.tw/station/time
和欣客運時刻表:
http://www.ebus.com.tw/ebus/images/timline/new/%E9%AB%98%E9%9B%84-%E5%8F%B0%E5%8C%97.jpg
当日入りする場合には高鐡一択かと思います。台鉄では最速列車でも午前中を潰してしまいます。料金が他に比べて高いのですが、外国人限定の3daysパスは2,200元ですので、他に高鐡の利用の予定がある場合はもちろん、台北〜高雄の往復だけで元が取れます。このパスは代理店かネットで事前に購入する必要があります。
KKday、台北ナビ、旅々トラベル、VELTRAなどで取扱いがあります。使い方は次の通りになります。
①高鐵窓口でパスポートを提示して引き換え
②指定席希望であれば窓口で指定
③有人改札から入出札
高鐡の時刻表はこちら:https://www.thsrc.com.tw/UploadFiles/TicketFile/2903b5c3-553c-491d-8ebc-64b7243a2b67.pdf
哈瑪星台湾鉄道館へのアクセス
高雄MRT橘線西子湾駅、環状軽軌(ライトレール)哈瑪星駅下車、打狗鐵道故事館を通って徒歩約5分。
高雄MRT、ライトレールの駅から直接アクセスする場合
MRT橘線西子湾駅「2番出口」から徒歩2分
MRT橘線鹽埕埔駅「1番出口」から徒歩5分
環状軽軌(ライトレール)駁二蓬莱駅下車、徒歩2分。
哈瑪星台湾鉄道館入場料
展示エリア
大人:149元
12歳未満の小人・65歳以上:99元
駁二線小火車(ミニ列車)への乗車券
ミニSL:大人 149元、小人など 99元
ミニ電車:大人 149元、小人など 99元
ミニ列車は5インチゲージで、ミニSLはDT650型蒸気機関車が期間限定で実際に石炭蒸気での走行、ミニ電車は高雄ライトレール、CT688型蒸気機関車(動力は電気)、ドイツのBR24型蒸気機関車(同)、日本の新幹線N700系電車(同)が走り、実際に乗車することができます。12歳以下や150cm未満のお子さんは、大人が一緒に乗ることを条件に乗車することができます。
展示エリアとミニ列車は別のチケット(149元)になりますが、展示とミニ列車がセットになった219元のチケットもあります。
館内右手がチケット売場で、チケット購入の際に「展示エリアのみ」「ミニ列車のみ」「展示とミニ列車の両方」の別を係りの方から聞かれます。僕が訪問したときには、日本語を話すスタッフの方は見かけませんでしたが、英語を話す方はおられました。
第一展区(展示エリア)
展示エリアは第一展区と第二展区に分かれています。
この第一展区では、チケット売り場やプラットホームのほか、木製レール、鉄製レール上の台車を引っ張ることで摩擦係数の違いやピンボールで打った球を盤上のフリッパーを動かし、指定の穴に誘導することで分岐器や転轍機などの動力体験ができます。
第二展区(展示エリア)ージオラマ
何といってもこの展示エリアの目玉は第二展区にある台湾鉄道1,083kmのジオラマです。高雄から西部幹線を北上して基隆までと、北廻線、南廻線、宜蘭線、そして平渓線などの支線もジオラマになっています。
台灣百年鐵道縮影
高雄市立歴史博物館から「台灣百年鐵道縮影」という書籍が出版されています(縮影はミニチュアの意味です)。
簡単に内容を見ていきましょう。
第一篇 台灣百年鐵道歴史
第1部では台湾鉄道100年の歴史として、1888年以降の鉄道敷設の歴史と高鐡(台湾新幹線)も含めた代表的な列車などが解説されています。
第二篇 遇見哈瑪星台灣鐵道館
第2部ではこの「哈瑪星台湾鉄道館」についてざっと概観しています。
第三篇 重現台灣百年鐵道風華
第3部では、ジオラマ各々の風景について「ゾーン」(後述します)別に、歴史とその再現について詳しく解説されています。
再現当時のオリジナルの画像も掲載されていますので、第3部を手引きに実際のジオラマを見ると時代背景も含めて大変わかりやすいと思います。
僕も今改めて見て「ああ、そういうことだったのか」という発見が多くありました。
第四篇 奔馳百年的台灣車輌
鉄道創業以来、活躍してきた車両(現役車両も含む)について解説されています。
車両は、蒸気・電気・ディーゼル機関車、高鐵、客車、特急電車、電車から貨車、阿里山鉄道、高雄メトロ、トラムまで多岐にわたります。
ジオラマで走っている模型車両の画像も掲載されています。
第五篇 籌建縮時紀實
第5部ではジオラマの製作過程について解説されています。
この電子書籍の購入方法についてはこちらをご覧ください。
10のゾーン
ジオラマは10のゾーンに分かれています。
(出典:台灣百年鐵道縮影第ニ篇「哈瑪星台湾鉄道館場景導覧圓」)
ゾーン01:高雄 – 高雄港と高雄港駅、高雄駅(旧駅舎)、美麗島駅
ゾーン02:台南・嘉義 – 台南駅、嘉義駅、媽祖信仰、嘉義製材所と阿里山森林鉄路、糖業鉄路、塩田と塩業鉄路
ゾーン03:雲林・彰化 – 彰化扇形車庫、集集駅、二水駅
ゾーン04:海線・木造駅舎 – 西部幹線海線木造駅舎(追分・日南・神埔・大山・談文各駅)、八卦山と大仏、海岸線と風力発電
ゾーン05:山線・トンネルと橋梁 – 台中駅(2代目駅舎)、西部幹線旧山線勝興駅、龍騰断橋
ゾーン06:台北・新竹 – 旧台北駅(2代目)、新竹駅、台北南門、中華商場、淡水
ゾーン07:基隆 – 基隆駅旧駅舎、基隆港
ゾーン08:平渓支線 – 平渓線とランタン、菁桐炭鉱
ゾーン09:宜蘭・北廻線
ゾーン10:南廻線 – 多良駅、熱気球、客家集落
高雄港駅(夜と夜明け)
製作過程が雲の表情を中心に解説されています。
旧高雄駅(夜と夜明け)
台南駅 (現存駅舎/地下化工事中)
嘉義駅 (駅構内と駅舎)
媽祖信仰
この製作過程は書籍で詳しく解説されています。
台中駅(地上駅時代)
彰化扇形機関庫
新竹駅
台北駅(地上駅時代)
台北駅(淡水線乗り場)後ろに龍騰断橋が見えます
基隆駅
多良駅
ジオラマ全体の製作過程はこちらで。
それぞれ、夜明けから日中、夕暮れ時、夜間がライトの変化によって表現されています。
ランタンフェスティバルも再現されています。
展示車両
車両は実際に走行しているものもあります。
台湾総督府鉄道:
騰雲号
CT270型蒸気機関車
CT150型蒸気機関車
CK120型
DT580型蒸気機関車
DT650型蒸気機関車
DT250型蒸気機関車
台湾鉄路管理局:
R20型
R100型
S300型
E1000型
E200型電気機関車
EMU100型
EMU700型
EMU800型
TEMU1000型
TEMU2000型
DR1000型
DR2200型客車
DR2700型
DR3100型
阿里山森林鉄路:
28tSHAY型蒸気機関車
28tディーゼル機関車
中興号
台湾高速鉄道:
台湾高速鉄道700T型電車
台塩公司(台湾塩業鉄道)
塩鉄8tディーゼル機関車
高雄捷運:
高雄LRT
高雄捷運高運量電車(MRT)
哈瑪星台湾鉄道館の基本情報
名称 哈瑪星台灣鐵道館
住所 高雄市鼓山區蓬莱路99
開館時間 10:00〜20:00(ミニ列車は19:00まで、乗車券販売は18:50まで)(火曜休館)
2019年12月の情報です。
公式サイトなどで最新情報の確認をお願いします。
まとめ
ジオラマは全景を撮ることが難しく、スポットでしか画像がありませんが、高雄からスタートして台湾の西側にある幾つかの都市を経由しながら台北まで、台湾鉄道1,083kmの魅力が凝縮されています。台北駅は地下化される前の1980年代のもので、淡水線のホームがあったり、西門町の中華商場の街並みが再現されていたりして、今の姿からは想像がつきませんが、とても興味深いものとなっていました。
哈瑪星台湾鉄道館の付近は駁二芸術特区として、アートスポットのほかパイナップルケーキの微熱山丘(サニーヒルズ)や台北のステーショナリーショップの禮拝文房具などショッピングエリアとしても楽しめるエリアですので、一度ぜひ訪問してみてください。
2020年3月18日、台湾外交部は、中華民国籍ではない旅行者について、中華民国での在留許可があることを証明する居留証、外交公務証明、商務履約証明のいずれかを所持している人などを除いて一律入国を拒否すると発表、外国人は原則入国禁止となっています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは台湾🇹🇼でお会いしましょう! 大家台湾見!
👋掰掰👋
コメント
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