【ピアノ/読書】古屋晋一「ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム」

ピアノ
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なぜピアニストは10本の指を自在に操って、超絶技巧でピアノを弾くことができるのか?

本書では、ピアニストの指の動きや楽譜を読む力と脳のメカニズムとの関係について、とてもわかりやすく説明されています。

著者の古屋先生は小さい頃からピアノを弾き、コンクールに入賞されたり、リサイタルを開催する相当なレヴェルだったのですが、大学の頃に手を痛めたことをきっかけに、ピアノと体の動きについて興味を持ち、ご自身の研究フィールドとされたという方です。

今回は、2012年に出版されたこの書籍についてお話していきます。最後までよろしくお願いいたします。

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古屋晋一さんについて

古屋さんは1980年3月、兵庫県西宮市のお生まれです。

大学、研究の経歴は以下の通りです。

1998〜2002年 大阪大学基礎工学部システム科学科 学士(工学)
2002〜2004年 大阪大学大学院人間科学研究科博士前期課程 修士(人間科学)
2004〜2005年 大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程
2005〜2008年 大阪大学大学院医学系研究科博士課程 博士(医学)
2008〜2009年 関西学院大学理工学研究科ヒューマンメディア研究センター 博士研究員
2009〜2011年 ミネソタ大学神経科学部博士研究員
2011〜2014年 ハノーファー音楽演劇大学音楽生理学・音楽家医学研究所 博士研究員

2014年から上智大学理工学部情報理工学科の准教授を務め、2018年度から同大学特任准教授となられるとともに、同年7月からソニーコンピュータサイエンス研究所(SONY CSL)でリサーチャー、2019年からはプロジェクトマネージャーを兼任なさっています。

ピアノ演奏活動歴

2004年 KOBE国際音楽コンクール入賞
2004年 Ernest Bloch音楽祭(Oregon, USA)オーディション合格者によるコンサート出演
2007年 ソロリサイタル「美術館の調べ」(兵庫県立美術館)
2007年 ソロリサイタル(箕面東教会)
2009年 レクチャーコンサート「ピアノを奏でる脳・鑑賞する脳」(兵庫県立美術館)
2012年 レクチャーコンサート(国立精神神経研究センター病院)
2015年 レクチャーコンサート(脳の世紀シンポジウム)
2016年 レクチャーコンサート「音楽と音楽家の脳」(世界脳週間)(奈良女子大付属中等教育学校)

HPはこちらから:http://www.neuropiano.net

「ピアニストの脳を科学する」の概要

10本の指を自在にあやつり、目にもとまらぬ超高速で1分間に数千個もの音符を打鍵するピアニスト。その超絶技巧と驚異の記憶力を支える脳の神秘のメカニズムとは? 医学博士にしてピアニストという異才が、最新の実験成果から明らかにします(春秋社ホームページより引用)。

次のような構成になっています。

第1章 超絶技巧を可能にする脳
第2章 音を動きに変換するしくみ
第3章 音楽家の耳
第4章 楽譜を読み、記憶する脳
第5章 ピアニストの故障
第6章 ピアニストの省エネ術
第7章 超絶技巧を支える運動技能
第8章 感動を生み出す演奏

ピアニストの脳を科学する
古屋晋一著 春秋社(2012年1月20日初版)

(Kindleでも読むことができます)

読後感など(一部ネタバレ)

本のタイトルの「科学する」、そして古屋さんの経歴からは難解なのでは?と思ってしまいますが、「練習して弾けなかったことが弾けるようになると、脳や身体はどう変わるのか」などについて、データに基づき、図も交えながら、ピアノを弾くアマチュアはもちろん、弾かない方にも大変わかりやすく説明されています。

たとえば、第1章「超絶技巧を可能にする脳」の冒頭「ピアニストの指はなぜあれほど速く動くのか?」には、頭の頂点より少し前に指の筋肉に「動け」という指令を送る神経細胞ということが説明されています。しかも、その神経細胞はプロとアマチュアでは動く数が違っていて、要するにプロのほうが数が少ないということなのだそうです。省エネしているということなのだそうです。

また、音色の変化についても、力をこめて弾いたときとやわらかく弾いたときとでは、鍵盤の先についていて弦を叩くハンマーのしなり方がわずかに変化することや、周波数分析の結果、タッチ次第で倍音も変化することがわかったそうです。経験や勘でなんとなくイメージを持っている音色の変え方について、こうやって実証結果が出てくると嬉しくなってきます。

それから、音楽家の脳は感情の伝達に敏感で、他人の話し声に表れる感情の変化を聞き取る能力に優れているそうなので、気をつけましょう!

ピアニストは、感性豊かな芸術家であるとともに、高度な身体能力を持ったアスリートであり、優れた記憶力、ハイスピードで膨大な情報を緻密に処理できる、高度な知性の持ち主です。考えてみると実に不思議な能力を持った、世にもまれな存在なのです。…本書によって、ピアニストの脳と身体のワンダーランドを、著者とともに驚きを持って旅していただければ嬉しいと思います。そして、音楽を愛する人たちが、心身に無理を強いることなく、願うとおりの音楽を真に実現できる一助となれば幸いです。(本書帯掲載、前書きからの抜粋)

まとめ

本書には僕の嫌いな「暗譜」のメカニズムや「感情を込めて」演奏することになど、ピアノを演奏する者にとって興味深いテーマも含まれています。そして、何といっても、経験的になんとなくわかったような気になっていることが、データを使って解明されていることには、言いようのない気持ち良さを感じます。

僕の手許にあるのは2012年4月の「第6刷」で、当時からよく読まれていたように記憶していますが、現在でもKindle化されていることからもそれが継続していることが窺われますね。

なお、どうやったらピアニストのように弾けるのか、ということについて書かれたものではありませんので念のため申し添えます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋

コメント

  1. 聖弥(→ネット名です) より:

    「ピアニストの脳を科学する」書籍紹介大変ありがとうございました。私はクラシックピアノ歴30年以上、以前から読まなければ、と思っていた本で参考になりました。

    現在は本業を持ちつつ、二人のピアニストに師事、モシュコフスキー15の練習曲全てとショパンエチュード(今年は幻想曲予定)、ドビュッシー「水の反映」などに取り組み中です。いつもレッスン記録を興味深く読ませていただいております。楽曲紹介やピアノに取り組まれる誠実なご姿勢に学ばされることが多く、非常に励みになります、ありがとうございます。

    • hirofumi24 より:

      > 聖弥さま

      お読みいただきありがとうございます。
      また過分なコメントを頂戴し恐縮しております。

      本格的にピアノに取り組んでおられて素晴らしいですね。
      僕はご覧の通り、好きな曲を気ままにやっているだけなのですが
      今後ともよろしくお願いいたします。

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