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昭和の吹奏楽、今回は1970〜80年に一世を風靡した高校吹奏楽界のスーパースターの一角、銚子商業高校です。
小澤俊朗先生を指揮者に戴き、高校生とは信じられないような演奏を披露してくれました。
2006年8月10日 こちらの方が楽しい~日本の吹奏楽’73(優秀団体編)
ショスタコービッチ:交響曲第5番ニ短調より第4楽章(ブリヂストン久留米)
チャイコフスキー:スラブ行進曲(尼崎市吹)
パレ:リシルド序曲(銚子商高)
ジェイガー:シンフォニア・ノビリシマ(富山商高)
ジェイガー:吹奏楽のための交響曲より第4楽章(瑞穂青少年吹)
デュカ:交響詩「魔法使いの弟子」(八戸湊中)
川崎優:わらべ歌(明見中)
ネリベル:アンティフォナーレ(福岡大)
73年の優秀団体編ということで、ブリヂストン、尼吹、銚子商が金賞、あとの5チームは銀賞。オリジナル・邦人作品等収録曲が多彩なせいか、高校編よりも楽しく感じます。
3度目の全日本出場で初金賞の銚子商。
過去2年、初出場時のシベ2、翌年のさまよえるオランダ人と自由曲は既にハイレベルでしたが、この年は課題曲も含め、色彩感と抒情豊かな表現を兼ね備えた見事な演奏でした。
小澤先生も20歳台、時は流れる…
2008年7月18日 1976年第24回全日本吹奏楽コンクール高校の部
前年の大会からややその気配はあったものの、ドビュッシーやラヴェル、イベールなどのフランス音楽が一挙に噴き出した感があり、また金賞常連の今津中、天理高が惜しくも銅賞に終わるという、明らかに一つの転換点であることを示した大会でした。
中でも高校の部は出場全20団体中、金賞3、銀賞3で他の14団体すべて銅賞という厳しい結果。
前述の天理高ほか嘉穂・浜松工・富山商という伝統校が軒並み銅賞、前大会金賞の淀川工・花輪の両校も銀賞に甘んじる一方で、4年連続の銚子商を除いて玉川学園・秋田南両校は初の金賞受賞となりました(この二校もこの年を起点に五年連続金賞の道を突っ走ります)。
課題曲と出演順は以下の通りになっていました。
課題曲
A 即興曲(後藤洋)
B 吹奏楽のための協奏的序曲(藤掛廣幸)
C カンティレーナ(保科洋)
D ポップス描写曲「メイン・ストリートで」(岩井直溥)
関西 淀川工(丸谷明夫) A ハンガリー狂詩曲第2番(リスト)
関東 逗子開成(西野明男) B バレエ組曲「ロデオ」からカウボーイの休日(コープランド)
東北 釜石南(池田肇) C 歌劇「イーゴリ公」からダッタン人の踊り(ボロディン/池田肇)
四国 観音寺一(村山英一) A 歌劇「さまよえるオランダ人」序曲(ワーグナー)
西部 嘉穂(竹森正貢) B リシルド序曲(パレ)
関東 前橋商(大木隆明) B 交響組曲「野人」から(渡辺浦人/大木隆明)
東北 花輪(佐藤修一) B 交響詩「魔法使いの弟子」(デュカ)
東京 玉川学園(高浪晋一) C 「三つの夜想曲」から祭り(ドビュッシー/高浪晋一)
東海 浜松工(遠山詠一) B 朝の歌(増田宏三)
東北 秋田南(高橋紘一) B バレエ音楽「ペトルーシュカ」第4場(ストラヴィンスキー/天野正道)
西部 長崎商(谷口豊) D ロシア聖歌と踊り(ネリベル)
関東 三条商(松崎仁) D 組曲「惑星」から天王星(ホルスト/榊原栄)
北海道 室蘭大谷(児玉宏文) A 歌劇「ローエングリン」エルザの大聖堂への行(ワーグナー)
東海 名電工(松井郁雄) B 歌劇「リエンツィ」序曲(ワーグナー/ゴッドフレイ)
北海道 函館中部(阿部哲治) C 交響曲「メキシコの祭り」第3楽章“カーニバル”(リード)
関西 尼崎東(馬場武彦) C 交響曲第2番終楽章(.シベリウス/馬場武彦)
関東 銚子商(小澤俊朗) B 交響組曲「寄港地」からチュニス~ネフタ、バレンシア(イベール)
中国 出雲(金本克康) A 狂詩曲「スペイン」(シャブリエ)
北陸 富山商(坪島照信) D 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」から(コダーイ/上埜孝)
関西 天理(谷口眞) B 皇太子のための祝典音楽(陶野重雄)
この年の審査員には音楽評論家の大木正興(故人)さんもおられ、筆者のざっとした印象では大きな音はまずダメ(煩いかどうかは関係なさそう)で、特に課題曲Dでエレキベースが耳障りならアウトという気がしました。
これは審査の方向が云々というのではなくて、音楽的な要素が重視された結果なのでしょうね。
ただ、課題曲Bは冒頭のホルンかトランペットでミスをすると後は聴いてやらない!
そんなところもあったような気もします(BJ誌に講評を書かれた先生からは特にそのような印象を受けました)。
銅賞の前橋商の自由曲は個性的だし、浜松工の自由曲もとても格調高かったし、それに天理高だって自由曲はやはりさすが天理だと思わせるものがあったのに、「選曲ミスの範疇」(前述のBJ先生)とバッサリ切り捨てられています。
この大会はソロ奏者の活躍も目覚しいものがありました。
寄港地第2楽章のソロを吹いた銚子商のオーボエの方はもちろんですが、同じ銚子商のアルト・サクソフォーンもとても魅力的な音でした。
花輪高の「魔法使いの弟子」のグロッケンシュピールは格好良かったし、セクションとして浜松工や淀川工のクラリネットは図抜けていましたし、秋田南高の「熊を連れた農夫」に至っては驚異的というほかありませんでした。
2017年7月18日 アルベニス:イベリア
(前略)70年代黄金時代を築き、当時高校の部史上初の5金特演、その後もサロメ、2度目のディオニソスともう凄いとしか言えない演奏を聴かせてくれた銚子商業高校が、ディオニソスの次の年に関東大会で金賞も取れずに全日本に出られなかった翌年、復活をかけての選曲でした。
結果は4校のみの金賞は受賞したものの、惜しくも関東代表には選ばれませんでした(市立川口が4年連続、習志野が2年連続、柏が初代表となり世代交代となりました)。
セヴィーリャの聖体祭の前半とエル・プエルトの組み合わせで、アルボスが管弦楽にアレンジしたものを、小澤先生が吹奏楽にアレンジなさったようです。
(略)
アルベニスの曲は吹奏楽にアレンジすると、その良さが消えてしまうようなところもあるように思います。
それが作品がもつ性格なのか、アレンジのせいなのかはよくわかりません。それでも「もっと明るく」とBJで評された銚子商の演奏は、高い水準にあったと今でも思います。(以降略)
音源など
シベリウス:交響曲第2番ニ短調作品43第4楽章
歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
吹奏楽のためのアラベスク
リシルド序曲
吹奏楽のためのシンフォニア
トッカータとフーガニ短調BWV565
吹奏楽のための練習曲
歌劇「運命の力」序曲
吹奏楽のための協奏的序曲
交響組曲「寄港地」よりチュニスからネフタ、ヴェレンシア
吹奏楽のためのバーレスク
ディオニソスの祭
行進曲「友情の絆」
歌劇「預言者」よりたいまつの踊り第3番ハ短調
ラプソディ
グリーティングス
プレリュード
楽劇「サロメ」より七つのヴェールの踊り
吹奏楽のための「花祭り」
ディオニソスの祭
東北地方の民謡によるコラージュ
道化師の朝の歌
序奏とアレグロ
組曲「イベリア」よりセヴィーリャの聖体祭、エル・プエルト
まとめ
いずれも50年ほど前の演奏ですが、スーパースターの名を欲しいままにしたともいえる素晴らしい演奏ばかりです。
コンクールを始め、学校吹奏楽のあり方が云々されていますが、生徒さんたちが音楽の素晴らしさを味わえる環境を大切に考えていただきたいと願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
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