【ピアノ/読書】青柳いずみこ「ピアニストが見たピアニスト 名演奏家の秘密とは」

ピアノ
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井伏鱒二、太宰治らの集った東京・阿佐ヶ谷文士村のなかで生まれ育ったピアニストの青柳いづみこさんは、ピアノ演奏と文筆の二つの世界両方で活躍なさっている類い稀なるアーティストです。

著作はどれも興味深く、面白く読ませる作品ばかりですが、その中から今回は「ピアニストが見たピアニスト」についてお話していきます。

最後までよろしくお願いいたします。

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青柳いづみこさんについて

青柳 いづみこさんは東京杉並の阿佐ヶ谷のお生まれ、育ちです。

お祖父さまは仏文学者青柳瑞穂さんです。
東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て東京芸術大学音楽学部卒業。
フランスに留学し、国立マルセイユ音楽院首席卒業。
東京芸術大学大学院博士課程修了。
安川加壽子とピエール・バルビゼに師事。

大阪音楽大学教授、ドビュッシー研究家。

1989年 論文「ドビュッシーと世紀末の美学」により東京芸術大学より学術博士を授与(フランス音楽の分野で初めての博士号)
1990年 文化庁芸術祭賞受賞
1999年「翼のはえた指」で吉田秀和賞受賞
2001年「青柳瑞穂の生涯」で日本エッセイストクラブ賞受賞
2009年「六本指のゴルトベルグ」で講談社エッセイ賞受賞

2005年に刊行された「ピアニストが見たピアニスト 名演奏家の秘密とは」(白水社)が9刷ののち2010年に中公文庫、2007年刊行の「ピアニストは指先で考える
」(中央公論新社) は6刷ののち2011年に中公文庫重版、2008年刊行の「ボクたちクラシック つながり」(文春新書)は現在までに5刷。
刊行された著書は30冊、最新刊は「阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ」(平凡社)。

1980年 フランスより帰国、東京で初めてのリサイタル開催
1989〜2000年 「ドビュッシー・シリーズ」開催

これまでに9枚のCDが「レコード芸術」誌で特選盤。
リリースされたCDは18枚、DVDブック、CDブック各1冊、監修CD2枚。

作品について

(Amazonより引用)
リヒテル、ミケランジェリ、アルゲリッチ、フランソワ、バルビゼ、ハイドシェック。二十世紀の演奏史を彩る六人のピアニストの隠れた本質を、鋭い観察と筆致で、鮮やかに解き明かす。同じピアニストとしての共感と洞察力ゆえにせまり得た、名演奏家の技と心の秘密。(引用終)

構成は以下の通りとなっています。

「負をさらけ出した人」 リヒテル
「イリュージョニスト」 ミケランジェリ
「ソロの孤独」 アルゲリッチ
「燃え尽きたスカルボ」 フランソワ
「本物の音楽を求めて」 バルビゼ
「貴公子と鬼神の間」 ハイドシェック

ピアニストが見たピアニスト 名演奏家の秘密とは
青柳いずみこ著 白水社2005年刊

読後感など

正真正銘のピアニストである青柳さんが、巨匠やご自分の師匠のこととは言え「同業者」について書いたのだからと、巷の暴露本のように興味本位で読み始めたのですが、あに図らんや、華やかな世界に生きているように見える彼等が実は孤独や恐怖と戦っていたことを知ることになり、僕の浅はかさに恥じ入りました。

「負をさらけ出した人」 リヒテル
「イリュージョニスト」 ミケランジェリ
「ソロの孤独」 アルゲリッチ
「燃え尽きたスカルボ」 フランソワ
「本物の音楽を求めて」 バルビゼ
「貴公子と鬼神の間」 ハイドシェック

まずは、各々のタイトルからそれぞれの巨匠たちの演奏が頭に浮かんできます。

そして、この6人が「暗譜、ピアノで歌うこと、早期教育、即興性、ソロとアンサンブル、ピアノ演奏に対する価値観」といった、ピアニストが抱える問題の代弁者といった設定から、巨匠それぞれの人間的な一面をも知ることができました。

リヒテルが楽譜を見ながら弾いたのは老化によって音程が正しく捉えられなくなり彼の暗譜術が崩壊してしまったため

「氷の巨匠」ミケランジェリが誕生したのは、技術偏重主義の後輩にバカにされないよう自ら「歌」を抑圧していったから

一見テンペラメントの発露と見えるアルゲリッチのピアニズムは、実は幼児期に受けた教育の結果で、何と彼女は速く弾き過ぎないよう練習する必要があるらしい!?(ショパンコンクール本番直前にシューマンのトッカータを3度弾いてブレーキをかけたらしい)

こんな演奏に関する真面目なお話から

コンセルヴァトワールを卒業したバルビゼが、ピガール広場にあるキャバレーでジャズを弾いて暮らしていたところ、デートの日に代役で弾いたフランソワがバルビゼよりもたくさんのチップを貰っていた

という、こんなエピソードまでも書かれています。

どんなもの読んでも、それぞれのピアニストに対する僕の印象は変わらないのではないかと高をくくっていた僕も、

1970年以前のミケランジェリのディスクを片っ端から探し回ったり、「私はシューマンとうまく行くわ」と言うアルゲリッチのクライスレリアーナを聴き返し、バルビゼとフェリスのデュオは聴かないと、とストレートに影響を受けました。

最後のハイドシェックの項にあった「19世紀的解釈と20世紀的原理主義とのせめぎあい」ですが、結局行き着くところは同じなのではないかと思うものの、ピアニストから見れば、それぞれ「旬」があるのでそうも言ってられないのかなと思ったりもしました。

まとめ

単行本には

「アルゲリッチはどうしてソロを弾かないのか?」
「ミケランジェリはなぜ歌を封印してしまったのか?」

と目を引く「帯」がついていました。

期待を裏切ることなく、ぐいぐいと読ませる楽しい作品です。
機会があればぜひ手にとってお読みくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋

コメント

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