いつもこのブログ「音楽徒然草」をお読みいただきありがとうございます。
2021年秋に開催された第18回ショパンコンクールから早くも一年が経ちました。
この大会も青柳いづみこさんが17回大会に続いて「ショパン・コンクール見聞録」でレポートされています。
その概要などについてお話ししていきます。
青柳いづみこさんについて
青柳いづみこさんは東京杉並の阿佐ヶ谷のお生まれ、育ちです。
お祖父さまは仏文学者青柳瑞穂さんです。
東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て東京芸術大学音楽学部卒業。
フランスに留学し、国立マルセイユ音楽院首席卒業。
東京芸術大学大学院博士課程修了。
安川加壽子とピエール・バルビゼに師事。
大阪音楽大学教授、ドビュッシー研究家。
1989年 論文「ドビュッシーと世紀末の美学」により東京芸術大学より学術博士を授与(フランス音楽の分野で初めての博士号)
1990年 文化庁芸術祭賞受賞
1999年「翼のはえた指」で吉田秀和賞受賞
2001年「青柳瑞穂の生涯」で日本エッセイストクラブ賞受賞
2009年「六本指のゴルトベルグ」で講談社エッセイ賞受賞
2005年に刊行された「ピアニストが見たピアニスト 名演奏家の秘密とは」(白水社)が9刷ののち2010年に中公文庫、2007年刊行の「ピアニストは指先で考える
」(中央公論新社) は6刷ののち2011年に中公文庫重版、2008年刊行の「ボクたちクラシック つながり」(文春新書)は現在までに5刷。
刊行された著書は30冊、最新刊は「阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ」(平凡社)。
1980年 フランスより帰国、東京で初めてのリサイタル開催
1989〜2000年 「ドビュッシー・シリーズ」開催
これまでに9枚のCDが「レコード芸術」誌で特選盤。
リリースされたCDは18枚、DVDブック、CDブック各1冊、監修CD2枚。
このブログでも以下の4つの著作について紹介されていただきました。
ピアニストが見たピアニスト 名演奏家の秘密とは
ドビュッシーとの散歩
青柳いづみこのMERDE!メルド日記
ピアニストたちの祝祭 唯一無二の時間を求めて
ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く
ショパン・コンクール見聞録 革命を起こした若きピアニストたち
本書の帯の記載を引用します。
五年に一度行われ、世界三大音楽コンクールで最も権威があるショパン・コンクール。若きピアニストの登竜門として有名なその第18回大会は、日本そして世界中でかつてない注目を集めた。
デビュー以来「一番チケットが取れないピアニスト」反田恭平が51年ぶりに2位、前回大会も活躍した小林愛実が4位とW入賞。彼らと予選・本選を戦ったピアニストたちは、皆レベルが高く個性的で、コンクールの既存の価値観を覆すような演奏を見せつけた。
これまでと大きく変わった今大会の現場では何が起こっていたのか?音と音楽を自在に操る著者が検証する。(引用終)
目次
一 「リアル・ショパン」を求めて
ー 第一回ショパン国際ピリオド楽器コンクール
天地がひっくり返るような・・・・/ダブルエスケープメントの開発/ピリオド楽器、それぞれの個性/問われる審査員のコンセプト/新たな道
二 二人のサムライ
ー 反田恭平と川口成彦の「傾向と対策」
モダンの常識はピリオドの非常識/「傾向と対策」/ショパンの鼓動を感じさせる演奏/セルフ・マネジメント
三 審査員をも屈服させた天然ガルガルと哲学者ガジェヴ
ショパン・トーク/歌うガルシア・ガルシア/「死の先」を表現するガジェヴ
四 ダン・タイ・ソン・チルドレン
教師はポリス?/カイミン・チャン、ユートン・スン、JJ・ブイ/パーフェクトでパーソナルなブルース・リウ/「フォービズム」の出現?/ファツィオリの魅力
五 小林愛実のピアニッシモと西陣織のトレス
脱皮/コンクールにかける思い/『二四の前奏曲』/よき仲間たち
六 分断される審査員たち
コンセンサスの不在/採点方法への提言/相反するショパン観
七 天は二物を与えたまいし
進藤美優/沢田蒼梧/角野隼斗/いかに自然な表現をしていくか
八 プレッシャーと戦ったポーランド勢
ひげクマくん/取材拒否の二人/「個性」を前面には出さないが・・・・
九 動画配信の落とし穴
ー ネット時代の新たな問題点
配信への「記録的な」関心の高さ/生演奏とのギャップ/牛田智大の場合/楽器メーカーのコンクール/ショパン自身が動画配信していたら・・・・?
一〇 ふたたび「リアル・ショパン」
ショパンは何を伝えようとしたか/伝説の生き証人/ショパン解釈の難しさ/「自分らしさ」のコンクール
エピローグー本当のスタート
あとがき
内容についてはネタバレになりますので、詳しくは触れることはできませんが、この目次をご覧になると内容のイメージが湧くのではないでしょうか。
今回、青柳さんは予備予選を聴いておられず、また本選も第一次予選の途中から、そして直接のインタビューもままならないことなどから、前回のラウンド毎のレポートではなく、コンテスタントやテーマに焦点をあててまとめられています。
審査員云々のくだりは興味深いものがありました。
個人的には「〇〇さんはカプースチンでも弾いていれば良い」とか「流行病でみんな明るい演奏を待望していた」などと大会終了後コメントなさっていたライターの方の発言はいまだに信じられませんが、そのような発言の背景なども推し量ることができるような気もしました。
ショパン・コンクール見聞録 革命を起こした若きピアニストたち
青柳いづみこ著 集英社新書
Kindle版は10月24日からの配信の予定とされています
まとめ
本書はまだ記憶に新しい18回大会の模様を、コンテスタントの皆さんに焦点を当てつつ詳細に伝えてくれています。
ピリオドコンクールが開催されるようになった今、この歴史ある大会の意義はこれから示されていくことになるのでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
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