1996年度全日本吹奏楽コンクール一般の部は、北海道1 東北2 東関東2 西関東2 東京1 東海1 北陸1 関西2 中国1 四国1 九州1 の計15団体が出場しました。
この大会から、中学の部と高校の部が前半/後半に分かれて審査されることになりました。
また、1995年度から従来の関東支部が東関東支部(茨城・栃木・千葉・神奈川)と西関東支部(埼玉・群馬・山梨・新潟)に分離しました。各々の支部の代表枠は3とされています。
課題曲は5曲で全部門共通ですが、第41回大会から西暦奇数年はすべてマーチ、偶数年はマーチ以外の作品となりました。
また、課題曲の種別がアルファベットのA~Dなどからローマ数字のI~IVなどへ変更されました(課題曲の参考音源がカセットテープからCDへと変更されたことによるものだそうです)。
初出場は、伊奈学園高校吹奏楽部OB会吹奏楽団、土気シビックウインドオーケストラ、薔薇崇師ウィンドシンフォニーの3団体でした。
第44回(平成8年度、1996年)全日本吹奏楽コンクール
開催日時 1996年10月20日
開催場所 倉敷市民会館
課題曲IとIVが連盟委嘱作品、Vが朝日作曲賞受賞作品。
課I : 管楽器のためのソナタ (伊藤康英)
課II : 般若 (松浦欣也)
課III : クロマティック・プリズム (松尾善雄)
課IV : はるか、大地へ (上岡洋一)
課V : 交響的譚詩~吹奏楽のための (露木正登)
出場団体(自由曲、指揮者)と審査結果一覧
01 東関東代表 船橋市交響吹奏楽団 指揮 : 吉田裕史 | 🥈銀賞 |
課IV : はるか、大地へ (上岡洋一) | |
バレエ音楽「ライモンダ」 より グランド・アダージョ :グラズノフ/木村吉宏 | |
02 西関東代表 伊奈学園高校吹奏楽部OB会吹奏楽団 指揮 : 萩原亮彦 | 🥉銅賞 |
課IV : はるか、大地へ (上岡洋一) | |
バレエ音楽「四季」 より 秋 :グラズノフ/バンクロフト | |
03 北海道代表 札幌市民交響吹奏楽団 指揮 : 坂井繁 | 🥉銅賞 |
課IV : はるか、大地へ (上岡洋一) | |
歌劇「タンホイザー」 より 大行進曲 :ワーグナー/小田才助 | |
04 関西代表 尼崎市吹奏楽団 指揮 : 辻井清幸 | 🥇金賞 |
課V : 交響的譚詩~吹奏楽のための (露木正登) | |
歌劇「わが友、フリッツ」 より 間奏曲 :マスカーニ/木村吉宏 | |
05 東北代表 大曲吹奏楽団 指揮 : 小塚類 | 🥇金賞 |
課V : 交響的譚詩~吹奏楽のための (露木正登) | |
バレエ組曲「シバの女王ベルキス」 より ソロモンの夢、狂宴の踊り :レスピーギ/木村吉宏 | |
06 北陸代表 ソノーレ・ウィンドアンサンブル 指揮 : 奥田健雄 | 🥉銅賞 |
課II : 般若 (松浦欣也) | |
ビザンチンのモザイク画 より 復活の天使 :チェザリーニ | |
07 関西代表 西宮市吹奏楽団 指揮 : 楊鴻泰 | 🥇金賞 |
課III : クロマティック・プリズム (松尾善雄) | |
舞踏組曲より :バルトーク/仲田守 | |
08 東海代表 浜松交響吹奏楽団 指揮 : 浅田享 | 🥇金賞 |
課V : 交響的譚詩~吹奏楽のための (露木正登) | |
変容(管弦楽のための主題と変奏) :レスピーギ/遠藤幸夫 | |
09 中国代表 福山ウインドオーケストラ 指揮 : 小林泰一郎 | 🥈銀賞 |
課IV : はるか、大地へ (上岡洋一) | |
バレエ音楽「ライモンダ」より :グラズノフ/林紀人 | |
10 東北代表 名取交響吹奏楽団 指揮 : 荒井富雄 | 🥇金賞 |
課V : 交響的譚詩~吹奏楽のための (露木正登) | |
カウボーイ序曲 :J.ウィリアムズ/カーナウ | |
11 東関東代表 土気シビックウインドオーケストラ 指揮 : 加養浩幸 | 🥈銀賞 |
課IV : はるか、大地へ (上岡洋一) | |
舞踏組曲より :バルトーク/佐藤正人 | |
12 四国代表 鏡野吹奏楽団 指揮 : 弘田靖明 | 🥉銅賞 |
課IV : はるか、大地へ (上岡洋一) | |
交響曲第4番 より 第3楽章 タランテラ :A.リード | |
13 西関東代表 三条市吹奏楽団 指揮 : 河本隆吉 | 🥈銀賞 |
課IV : はるか、大地へ (上岡洋一) | |
スペイン組曲 より アラゴン :アルベニス/塩崎美幸 | |
14 九州代表 大牟田奏友会 指揮 : 山本聡 | 🥈銀賞 |
課V : 交響的譚詩~吹奏楽のための (露木正登) | |
交響詩「海」 より 風と海との対話 :ドビュッシー/藤田玄播 | |
15 東京代表 薔薇崇師ウィンドシンフォニー 指揮 : 塩谷晋平 | 🥇金賞 |
課I : 管楽器のためのソナタ (伊藤康英) | |
朝鮮民謡の主題による変奏曲 :チャンス |
金賞が6団体、銀賞が5団体、そして銅賞が4団体という結果でした。
尼崎市吹と浜松交響吹が3年連続で各々15回目、3回目の金賞で、次年度は規程により不出場となります。西宮市吹と大曲吹は2年(西宮市吹は3金不出場を挟んで5年)連続で各々6回目、2回目の金賞を受賞しました。
薔薇崇師WSは初出場で見事金賞、また名取交響吹も初めての金賞に輝きました。
課題曲は「大地へ」が最多で約半数の7団体、「譚詩」が5団体、そして「ソナタ」「般若」「クロマティック」が各々1団体によって演奏されました。
音源を探る
尼崎市吹奏楽団
歌劇「わが友、フリッツ」 より 間奏曲
大曲吹奏楽団
西宮市吹奏楽団
クロマティック・プリズム
舞踏組曲より
浜松交響吹奏楽団
名取交響吹奏楽団
薔薇崇師ウィンドシンフォニー
金賞受賞団体の音源を掲載しました。
まとめ
この大会は課題曲が長いので、自由曲に時間的制約があるのは残念ですが、金賞団体の演奏はどれも聴き応えがありますね。
尼崎市吹のマスカーニはなかなか聴くことのない曲ですが、このチーム独特の分厚く立体的なサウンド、そして抒情性溢れる歌の一方で迫力を兼ね備えた素晴らしい演奏でした。
演奏される機会が少ないという点では、浜松交響吹の第12旋法による変容がその極致ともいえる選曲で、全日本ではこの演奏のみですね。
参加5大会連続の金賞を受賞した西宮市吹、さらりと軽く流れる音楽の中でエッジを効かせているのは、指揮者の楊さんの面目躍如でしょうか。課題曲も自由曲も個性溢れる素敵な演奏でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Viva! 吹奏楽!
👋掰掰👋
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