1995年度全日本吹奏楽コンクール職場の部は、北海道1 東北1 東関東1 西関東1 東京1 東海1 関西1 中国1 四国1 九州1 の計10団体が出場しました。
今年度から従来の関東支部が東関東支部(茨城・栃木・千葉・神奈川)と西関東支部(埼玉・群馬・山梨・新潟)に分離しました。各々の支部の代表枠は3とされています。
課題曲は4曲で全部門共通ですが、第41回大会から西暦奇数年はすべてマーチ、偶数年はマーチ以外の作品となりました。
また、課題曲の種別がアルファベットのA~Dからローマ数字のI~IVへ変更されました(課題曲の参考音源がカセットテープからCDへと変更されたことによるものだそうです)。
初出場は沖電気高崎吹奏楽団でした。
また、前年度まで3年連続金賞を受賞したブリヂストンタイヤ久留米吹奏楽団は出場していません。
第43回(平成7年度、1995年)全日本吹奏楽コンクール
開催日時 1995年10月22日
開催場所 和歌山県民文化会館
課題曲Iが朝日作曲賞受賞作品。
課I : 行進曲「ラメセスII世」 (阿部勇一)
課II : スプリング・マーチ (大石美香)
課III : 第1行進曲「ジャンダルム」 (高島豊)
課IV : アップル・マーチ (野村正憲)
出場団体(自由曲、指揮者)と審査結果一覧
01 九州代表 新日鐵大分吹奏楽団 指揮 : 渡辺俊治 | 🥉銅賞 |
課II : スプリング・マーチ (大石美香) | |
歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲 :ヴェルディ/デプレ | |
02 北海道代表 高橋水産吹奏楽団 指揮 : 渡辺明 | 🥈銀賞 |
課II : スプリング・マーチ (大石美香) | |
バレエ音楽「ライモンダ」より :グラズノフ/林紀人 | |
03 西関東代表 沖電気高崎吹奏楽団 指揮 : 村山富喜 | 🥉銅賞 |
課III : 第1行進曲「ジャンダルム」 (高島豊) | |
たなばた :酒井格 | |
04 東北代表 JR東日本東北吹奏楽団 指揮 : 川村浩一 | 🥉銅賞 |
課IV : アップル・マーチ (野村正憲) | |
イギリス民謡組曲 :ヴォーン=ウィリアムズ/F.ライト | |
05 東京代表 ヤマハ吹奏楽団東京 指揮 : 高倉正巳 | 🥈銀賞 |
課III : 第1行進曲「ジャンダルム」 (高島豊) | |
狂詩曲「スペイン」 :シャブリエ/ハインズレー | |
06 関西代表 阪急百貨店吹奏楽団 指揮 : 鈴木竹男 | 🥇金賞 |
課IV : アップル・マーチ (野村正憲) | |
歌劇「ザンパ」序曲 :エロール/サフラネク | |
07 東関東代表 NEC玉川吹奏楽団 指揮 : 稲垣征夫 | 🥇金賞 |
課III : 第1行進曲「ジャンダルム」 (高島豊) | |
歌劇「サルタン皇帝の物語」 より 三つの奇蹟 :リムスキー=コルサコフ/藤田玄播 | |
08 中国代表 NTT中国吹奏楽団 指揮 : 佐藤正二郎 | 🥇金賞 |
課II : スプリング・マーチ (大石美香) | |
スペイン奇想曲より :リムスキー=コルサコフ/ハインズレー | |
09 四国代表 高松市役所吹奏楽団 指揮 : 川元義秀 | 🥈銀賞 |
課II : スプリング・マーチ (大石美香) | |
雅風断章 :櫛田胅之扶 | |
10 東海代表 ヤマハ吹奏楽団浜松 指揮 : 森田利明 | 🥇金賞 |
課III : 第1行進曲「ジャンダルム」 (高島豊) | |
かわいい女 :田村文生 |
金賞が4団体、銀賞が3団体、そして銅賞が3団体という結果でした。
ヤマハ浜松は2年連続(特別演奏を挟んで17年連続)20回目、阪急百貨店が3年連続16回目の金賞を受賞しました。貫禄の2団体ですね。そして、NTT中国が4年ぶり3回目、NEC玉川がなんと14年ぶり2回目の金賞に輝きました。
課題曲は「スプリング」と「ジャンダルム」が各々4団体、「アップル」が2団体によって演奏されました。
音源を探る
阪急百貨店吹奏楽団
アップル・マーチ
歌劇「ザンパ」序曲
NEC玉川吹奏楽団
NTT中国吹奏楽団
ヤマハ吹奏楽団浜松
かわいい女
金賞4団体の演奏が揃いました。
まとめ
阪急百貨店のアップルマーチはスネア・ベードラ・シンバルがきちんと脇を固めた明るく楽しい演奏で、まさにマーチの王道。また、フレーズ毎に音色や響きの色合いが異なり、豪快で大雑把なようで実はとても芸が細かかったりもします。
自由曲の「ザンパ」は、この当時の吹奏楽でも古典の部類の懐かしい曲でした。僕は個人的にこの曲に思い出があります。加古川市の平岡中学校オーケストラによるこの曲の演奏を高校時代に聴きました。僕が裏方として参加していた県の交響楽祭でのことで(このとき、関学のオケを振っていたのは楊鴻泰さんだったはず)、クラリネットのソロが上手い上手いと同級生から囁かれて涙したのでした。というのは大嘘で、ラスト近くの「ドミソソラソソソ・ドミソソラソソソ・ファラララレレレ・レファファファファソソソ」を高速タンギングでどう完璧に吹くかということの方に興味があるという変な学生でした。
無駄話はさておき、この演奏も吹奏楽の喜びがまっすぐに伝わってくる素敵な演奏でした。
さて、トリのヤマハ浜松の課題曲は「ジャンダルム」。個人的には「ラメセス」だろうと思っていたので、完全に裏切られましたが、ヤマハらしいスコアがそのまま浮かんでくるような緻密かつスマートな演奏でした。
そして、自由曲の「かわいい女」は田村文生さんの女性シリーズ第2弾で、ヤマハの委嘱作品ですね。「饗応夫人」は太宰、そしてこの曲はチェーホフだそうです。演奏は圧巻で時折聴こえる「饗応夫人」のような響きも交えつつ、この難解な曲に聴き手を惹きつけてしまうヤマハの魔力には恐れ入ります。確か、課題曲/自由曲合計でほぼ満点に近かったのではなかったでしょうか。点数はともかく素晴らしい演奏でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Viva! 吹奏楽!
👋掰掰👋
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