1984年度全日本吹奏楽コンクール一般の部は、東北と関東が1枠ずつ増えて、北海道1 東北2 関東2 東京1 東海1 北陸1 関西1 中国1 四国1 九州1の計12団体が出場しました。
この年の課題曲も1976年度から続く全部門共通の4曲が基本とした路線が踏襲されています。
初出場は六本松ウインドアンサンブル、市川交響吹奏楽団、酒田吹奏楽団、小松市民吹奏楽団、甲府南西ユース吹奏楽団とNG吹奏楽団の6団体で、なんと出場団体の半数を占めています。
第33回(昭和60年度、1985年)全日本吹奏楽コンクール
開催日時 1985年10月20日
開催場所 福岡サンパレス
課題曲は4曲(AとDが連盟委嘱作品)で全部門共通でした。
課A : Overture FIVE RINGS (三枝成彰)
課B : 吹奏楽のための交響詩「波の見える風景」 (真島俊夫)
課C : シンフォニック・ファンファーレとマーチ (仲本政国)
課D : ポップ ステップ マーチ (森田一浩)
Aは当時放映されていたNHKの時代劇「宮本武蔵」のオープニングに演奏された曲を吹奏楽曲にアレンジしたものです。
出場団体(自由曲、指揮者)と審査結果一覧
01 九州代表 六本松ウインドアンサンブル 指揮 : 吉浦勝喜 | 🥈銀賞 |
課D : ポップ ステップ マーチ | |
組曲「赤毛のポニー」 :コープランド | |
02 北海道代表 札幌市民交響吹奏楽団 指揮 : 坂井繁 | 🥉銅賞 |
課D : ポップ ステップ マーチ | |
歌劇「運命の力」序曲 :ヴェルディ/M.L.レイク | |
03 東京代表 豊島区吹奏楽団 指揮 : 八田泰一 | 🥇金賞 |
課B : 吹奏楽のための交響詩「波の見える風景」 | |
ディオニソスの祭 :F.シュミット | |
04 四国代表 愛媛ウインドアンサンブル 指揮 : 河上哲夫 | 🥉銅賞 |
課B : 吹奏楽のための交響詩「波の見える風景」 | |
リシルド序曲 :パレ | |
05 東海代表 白子ウインドシンフォニカ 指揮 : 正高一朗 | 🥇金賞 |
課B : 吹奏楽のための交響詩「波の見える風景」 | |
歌劇「運命の力」序曲 :ヴェルディ/藤田玄播 | |
06 中国代表 出雲吹奏楽団 指揮 : 原田実 | 🥈銀賞 |
課B : 吹奏楽のための交響詩「波の見える風景」 | |
サンタ・フェ物語 :グールド | |
07 関東代表 市川交響吹奏楽団 指揮 : 津田雄二郎 | 🥈銀賞 |
課B : 吹奏楽のための交響詩「波の見える風景」 | |
道化師の朝の歌 :ラヴェル/オドム | |
08 関西代表 尼崎市吹奏楽団 指揮 : 辻井清幸 | 🥇金賞 |
課A : Overture FIVE RINGS | |
吹奏楽のための神話(天岩屋戸の物語による) :大栗裕 | |
09 東北代表 酒田吹奏楽団 指揮 : 細田昌 | 🥉銅賞 |
課A : Overture FIVE RINGS | |
パンチネロ :A.リード | |
10 北陸代表 小松市民吹奏楽団 指揮 : 北島章 | 失格 |
課B : 吹奏楽のための交響詩「波の見える風景」 | |
組曲「展覧会の絵」より バーバ・ヤガーの小屋、キエフの大門 :ムソルグスキー/ライゼン | |
11 関東代表 甲府南西ユース吹奏楽団 指揮 : 玄間博 | 🥈銀賞 |
課D : ポップ ステップ マーチ | |
「ハムレット」への音楽 より エルシノア城とクローディアス王の宮中、俳優たちの入場 :A.リード | |
12 東北代表 NG吹奏楽団 指揮 : 中野晃太郎 | 🥈銀賞 |
課A : Overture FIVE RINGS | |
交響曲第1番 より 第1楽章 :シベリウス/ウィルソン |
金賞が3団体、銀賞が5団体、銅賞が3団体と残念ながら失格が1団体出てしまいました。課題曲は「波の見える風景」がもっとも多い6団体、「宮本武蔵」と「ホップステップマーチ」が3団体ずつで、「シンフォニックファンファーレとマーチ」を選択した団体はありませんでした。
尼崎市吹奏楽団は3年連続の金賞、白子ウインドシンフォニカは3度目の出場で初めての金賞を受賞、そして豊島区吹奏楽団は81年以来の出場で2度目の金賞に輝きました。
音源を探る
六本松ウインドアンサンブル
(九州大会)
豊島区吹奏楽団
市川交響吹奏楽団
尼崎市吹奏楽団
まとめ
尼崎市吹奏楽団は全日本復活以来磐石の演奏。この大会でもその安定度は抜群で大人の演奏を披露しており、ぶっち切りの金賞でした。白子ウインドシンフォニカはしっかりとしたアンサンブル、全体の構築感にも優れていて、オペラの幕開けを予感させるような演奏でした。
津田雄二郎さんを指揮者に迎えた市川交響吹奏楽団は、難しい「道化師の朝の歌」の繊細さを見事に表現するとともに、力強く鮮やかな大人のサウンドを響かせた好演でした。次の大会から連続金賞の快進撃が始まります。
初出場の団体が半数を占め、この部門の充実ぶりを示した大会でした。
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