音源情報を更新しました。
1983年度全日本吹奏楽コンクール職場の部は、北海道1 東北1 関東1 東京1 東海1 関西1 中国1 九州1の前年度同様の計8団体が出場しました。
この年の課題曲も1976年度から続く全部門共通の4曲が基本とした路線が踏襲されています。
第31回(昭和58年度、1983年)全日本吹奏楽コンクール
開催日時 1983年10月23日
開催場所 宮城県民会館
課題曲は4曲で全部門共通。
B〜Dはいずれも連盟委嘱作品、Aのみが公募入選作品でした。
課A : 吹奏楽のためのインヴェンション第1番 (内藤淳一)
課B : 白鳳狂詩曲 (藤掛廣幸)
課C : カドリーユ (後藤洋)
課D : キューピッドのマーチ(川崎優)
出場団体(自由曲、指揮者)と審査結果一覧
01 中国代表 電電中国吹奏楽団 指揮 : 佐藤正二郎 | 🥈銀賞 |
課A : 吹奏楽のためのインヴェンション第1番 | |
序曲「祖国」 :ビゼー/ゴドフリー | |
02 北海道代表 新日鐵室蘭吹奏楽団 指揮 : 山田達夫 | 🥉銅賞 |
課A : 吹奏楽のためのインヴェンション第1番 | |
歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲 :ヴェルディ/サフラネク | |
03 東北代表 青森県信用組合吹奏楽部 指揮 : 箕輪響 | 🥈銀賞 |
課D : キューピッドのマーチ | |
斑鳩の空 :櫛田胅之扶 | |
04 関西代表 阪急百貨店吹奏楽団 指揮 : 鈴木竹男 | 🥇金賞 |
課C : カドリーユ | |
組曲第4番「絵のような風景」 より 行進曲、ジプシーの祭り :マスネ/ローレンドー | |
05 東海代表 ヤマハ吹奏楽団浜松 指揮 : 原田元吉 | 🥇金賞 |
課B : 白鳳狂詩曲 | |
フェスティヴァル・ヴァリエーション :C.T.スミス | |
06 九州代表 ブリヂストンタイヤ久留米工場吹奏楽団 指揮 : 小野照三 | 🥈銀賞 |
課A : 吹奏楽のためのインヴェンション第1番 | |
歌劇「魔弾の射手」序曲 :ウェーバー/J.カペイ | |
07 東京代表 ヤマハ吹奏楽団東京 指揮 : 高倉正巳 | 🥉銅賞 |
課C : カドリーユ | |
喜歌劇「こうもり」序曲 :J.シュトラウスII世/カイエ | |
08 関東代表 川崎製鉄千葉製鉄所音楽部吹奏楽団 指揮 : 斎藤信昭 | 🥉銅賞 |
課A : 吹奏楽のためのインヴェンション第1番 | |
飛鳥 :櫛田胅之扶 |
課題曲は「インベンション」が4団体「白鳳狂詩曲」が1団体「カドリーユ」が2団体、そしてこの部門では「キューピットのマーチ」を演奏した団体が1つありました。比較的小さな編成であれば合っているようですね。この年は、マーチであればまず外すことのない阪急百貨店が課題曲ではなく、自由曲の中でマーチを演奏しています。
その阪急百貨店は79年以来の5年連続金賞に輝き、翌年は特別演奏となります。2団体の金賞ももう一つはヤマハ浜松、自由曲はなんと「フェスティバル・バリエーション」でした。テクニシャン揃いのこのチームですが、そのど真ん中を攻める選曲はめずらしいのではないでしょうか。
そのほかの結果は銀賞が3団体、銅賞が3団体で、この大会ではブリヂストン久留米が銀賞という結果に終わり、70年のグループ表彰制度が始まって以来続く金賞受賞(特演2回)記録が途絶えました。
音源を探る
阪急百貨店吹奏楽団
組曲「絵のような風景」よりマーチ、ジプシーの祭り
ヤマハ吹奏楽団浜松
阪急のマスネは落ち着いたテンポの大人の演奏でした。絵のような風景の一曲目のマーチは、いわゆる行進曲というよりは、その名を借りてマスネの音楽の中でも「明晰さ、節度、きちんとした厳格さ、形式に適った動き」を表したものなのでしょう。その素朴な感じが非常によく表現された演奏だと思います。ジプシーの踊りでは一転して、華やかなダンスが繰り広げられますが、そんな中でも阪急は芯の通ったがっちりとした演奏を聴かせています。
ヤマハの課題曲は、この難しい曲を見事に演奏していて「和」のリズムの面白さを存分に味わうことができると思います。クラリネットは難しいパッセージが続きますが、朝飯前的に吹きこなしているのはさすがとしか言いようがありません。自由曲のフェスバリは、冒頭のホルンが固かったような印象がありますが、そのあとは落ち着いたテンポで目眩く音の世界でした。
まとめ
この時期の職場の部は出場する団体もほぼ同じという状況で、そんな中でもヤマハ浜松、阪急、ブリヂストン久留米の3団体が気を吐いて頑張ってくれていたという記憶があります。その中でブリヂストンの指揮者は、これまでずっと常任指揮者を務めてこられた小山先生が80歳を迎えて引退されて、指揮者交代の時期を迎えました。この大会では、福岡電波高校が2年連続第1位を受賞されたときの指揮者、小野照三さんが指揮をなさっています。
変化の時代を迎えた職場の部ですが、衰退などということはなく、まだまだ個性的で素敵な音楽を聴かせてくれることになります。
Viva! 吹奏楽!
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