音源情報を更新しました。
1981年度全日本吹奏楽コンクール大学の部は、80年度の代表枠に北陸、四国の代表が加わり、北海道 (1) 東北 (1) 関東 (1) 東京 (2) 北陸 (1) 東海 (1) 関西 (2) 四国 (1) 西部 (2) の計12団体が出場しました。
この年の課題曲はすべて連盟委嘱作品で、1976年度から続く全部門共通の4曲が基本とした路線が踏襲されています。
初出場は福岡教育大学、佐賀大学管弦楽団WEの2団体で、西部代表の顔ぶれが入れ替わりました。
第29回(昭和56年度、1981年)全日本吹奏楽コンクール
開催日時 1981年11月3日
開催場所 福井市文化会館
課題曲は4曲で全部門共通。
課A : イリュージョン (鵜沢正晴)
課B : 東北地方の民謡によるコラージュ (櫛田胅之扶)
課C : シンフォニック・マーチ (斉藤正和)
課D : 行進曲「青空の下で」 (坂本智)
課題曲4曲のうちBを除く3曲が公募による入選曲で、採用にあたって「シンフォニックマーチ」は上岡洋一、「青空の下で」は藤田玄播により補作されています。「東北地方の民謡によるコラージュ」は連盟の委嘱により櫛田胅之扶が作曲したもので、「南部牛追い歌」「津軽じょんがら節」「庄内おばこ」「南部二下り甚句」などが素材として使われています。「青空の下で」の最後には短いながらドラムマーチが現れます。
出場団体(自由曲、指揮者)と審査結果一覧
01 東京代表 亜細亜大学 指揮 : 小長谷宗一 | 🥇金賞 |
課D : 行進曲「青空の下で」 | |
バレエ組曲「ロデオ」 より カウボーイの休日 :コープランド/小長谷宗一 | |
02 関西代表 関西学院大学 指揮 : 梅田尚哉 | 🥈銀賞 |
課A : イリュージョン | |
ウェーバーの主題による交響的変容 より III、 IV. :ヒンデミット/藤田玄播 | |
03 四国代表 詫間電波工業高等専門学校 指揮 : 片岡義和 | 🥉銅賞 |
課A : イリュージョン | |
吹奏楽のための交響曲 より 第4楽章 :ジェイガー | |
04 東北代表 岩手大学 指揮 : 小笠原勇美 | 🥈銀賞 |
課C : シンフォニック・マーチ | |
交響組曲「野人」 より 第2、3楽章 :渡邊浦人/及川晃貴 | |
05 関西代表 近畿大学 指揮 : 森下治郎 | 🥇金賞 |
課B : 東北地方の民謡によるコラージュ | |
組曲「道化師」 より プロローグ、パントマイム、リリカルシーン、エピローグ :カバレフスキー/藤田玄播 | |
06 東京代表 駒澤大学 指揮 : 上埜孝 | 🥇金賞 |
課B : 東北地方の民謡によるコラージュ | |
バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より モンターギュ家とキャピュレット家、タイボルトの死 :プロコフィエフ/上埜孝 | |
07 東海代表 三重大学 指揮 : 沖公智 | 🥇金賞 |
課B : 東北地方の民謡によるコラージュ | |
歌劇「グヴァンドリーヌ」序曲 :シャブリエ/M.ハウエル | |
08 北海道代表 北海道教育大学函館分校 指揮 : 寺中哲二 | 🥈銀賞 |
課A : イリュージョン | |
シヴァリー :ジェイガー | |
09 北陸代表 福井工業大学 指揮 : 武曽豊治 | 🥈銀賞 |
課C : シンフォニック・マーチ | |
ノヴェレッテ :スピアーズ | |
10 西部代表 福岡教育大学 指揮 : 三好隆三 | 🥈銀賞 |
課C : シンフォニック・マーチ | |
カディッシュ :マクベス | |
11 関東代表 文教大学 指揮 : 山田敏彦 | 🥈銀賞 |
課B : 東北地方の民謡によるコラージュ | |
セント・アンソニー・ヴァリエーション :ヒル/柳田孝義 | |
12 西部代表 佐賀大学管弦楽団ウィンド・アンサンブル 指揮 : 国府慶作 | 🥈銀賞 |
課B : 東北地方の民謡によるコラージュ | |
アレルヤ!ラウダムス・テ :A.リード |
この大会では金賞が4団体、銀賞が7団体、そして全部門通じて唯一の銅賞が出ました。課題曲は「東北地方の民謡によるコラージュ」が約半数の5団体が演奏、「イリュージョン」と「シンフォニック・マーチ」が3団体ずつ、「青空の下で」が1団体でした。
トップバッターの亜細亜大学は3年ぶりの出場で見事に金賞を受賞、また2年ぶりに出場した三重大学も金賞に輝きました。駒澤大学は磐石の演奏で5年連続金賞を達成しました。近畿大学はこの年から森下治郎さんが指揮者となり、3年連続の金賞を受賞しました。選曲も従来の路線からは変化があり、セッティングもクラリネットとファゴットが雛壇に乗り、その前にフルートとオーボエがいるという、オーケストラのような配置で、木管ソロが聴こえてくるところが通常とは異なります。
なお、神奈川大学は課題曲BとR.シュトラウスの「英雄の生涯」を採り上げましたが、惜しくも関東代表の選からは漏れました。
音源を探る
亜細亜大学
バレエ組曲「ロデオ」よりカウボーイの休日
関西学院大学
近畿大学
駒澤大学
バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より
三重大学
福井工業大学
福岡教育大学
文教大学
亜細亜大学のマーチはいつ聴いても気持ち良いですね。リズムはもちろん、和音も響きも粒も揃っていて、アーティキュレーションなども細かいところまで行き届いていて本当に上手です。大学の部唯一の「青空の下で」でしたが、ほかの団体は採り上げなくて良かったかも知れませんね。コープランドもこの曲の良さが出ているシャープな切れ味のある好演でした。
近畿大学は前年までの硬めのサウンドに真面目な音楽スタイルから大きく変わりました。セッティングも特徴あるものでしたが、それ以上に伸びのあるサウンドと良い意味で遊びのある音楽を聴くことができました。しかし、近大が道化師を演奏したのには驚きました。
駒澤大学は緊張感のある冒頭から聴くものをその音楽の中に惹き込んでいく魔法使いのような演奏でした。これは間違いないという説得力で圧巻の5金達成となりました。三重大学の堅牢なのにどこか霧に包まれたようなサウンドを聴くと安心してしまいますが、この年は音楽も魅力的でした。
まとめ
大学の部も銅賞が1団体出ましたが、ほぼ金銀のみの評価と言って良い結果だったと思います。関学にやや元気がないのが気になりましたが、全体にレベルが上がっていることを実感した大会でした。
翌年は審査方法が変更になり、その第1号となった大学の部では大波乱が起こりました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Viva! 吹奏楽!
👋掰掰👋
コメント
[…] […]