音源情報を更新しました。
1978年度コンクール大学の部は、北海道1、東北1、関東1、東京2、北陸1、東海1、関西2、西部1と東京と関西の枠が1つずつ増え、計10団体が出場しました。
この年の課題曲も前年度同様全部門共通の4曲となり、曲数の増減はあるものの全部門共通の扱いが以降長く続くことになります。また、連盟創立40年を記念して全4曲が委嘱作品となっています。
初出場は、長野工業高等専門学校、北海道教育大学函館の2団体でした。
第26回(昭和53年度、1978年)全日本吹奏楽コンクール
開催日時 1978年10月13~15日
開催場所 東京杉並普門館
課題曲は4曲全部門共通で各々選択。
課A : ジュビラーテ(ジェイガー)
課B : カント (マクベス)
課C : ポップス変奏曲「かぞえうた」 (岩井直溥)
課D : 行進曲「砂丘の曙」(上岡洋一)
出場団体(自由曲、指揮者)と審査結果一覧
01 関西代表 近畿大学 指揮 : 渡辺励 | 🥈銀賞 |
課A : ジュビラーテ | |
エル・サロン・メヒコ :コープランド | |
02 北陸代表 福井工業大学 指揮 : 武曽豊治 | 🥉銅賞 |
課C : ポップス変奏曲「かぞえうた」 | |
コラール :ネリベル | |
03 東海代表 長野工業高等専門学校 指揮 : 稲垣征夫 | 🥉銅賞 |
課A : ジュビラーテ | |
オセロ :A.リード | |
04 関東代表 神奈川大学 指揮 : 小澤俊朗 | 🥇金賞 |
課A : ジュビラーテ | |
交響詩「海」 より風と海との対話 :ドビュッシー/小澤俊朗 | |
05 東京代表 駒澤大学 指揮 : 上埜孝 | 🥇金賞 |
課C : ポップス変奏曲「かぞえうた」 | |
舞踏組曲より :バルトーク/上埜孝 | |
06 東京代表 亜細亜大学 指揮 : 榊原栄 | 🥇金賞 |
課A : ジュビラーテ | |
スキタイ組曲「アラとロリー」より ヴェレスとアラへの讃仰、邪神チュジボーグと魔界の悪鬼の踊り :プロコフィエフ/榊原栄 | |
07 東北代表 東北学院大学 指揮 : 畑崎典人 | 🥉銅賞 |
課A : ジュビラーテ | |
太平洋の祭り (平和の祭り) :ニクソン | |
08 北海道代表 北海道教育大学函館分校 指揮 : 寺中哲二 | 🥈銀賞 |
課A : ジュビラーテ | |
吹奏楽のための交響曲 より 第4楽章 :ジェイガー | |
09 西部代表 福岡大学 指揮 : 立石弘 | 🥈銀賞 |
課A : ジュビラーテ | |
サンタ・フェ物語 :グールド | |
10 関西代表 関西学院大学 指揮 : 鈴木文夫 | 🥈銀賞 |
課A : ジュビラーテ | |
吹奏楽のための交響曲 より 終楽章 :ゴトコフスキー |
出場した10団体のうち金賞が3、銀賞が4、銅賞が3団体という結果となりました。課題曲別ではAのジュビラーテが8、Cのかぞえうたが2団体で、Cを選択した駒澤大学は自由曲にバルトークを取り上げて金賞を受賞しています。
あと2つの金賞は、小澤先生を指揮者に迎えたベテラン神奈川大学が長い歴史の中で初、そして前年度惜しくもタイムオーバーで失格となってしまった亜細亜大学も嬉しい初の金賞に輝きました。
また、過去順位表彰時代には1位、金銀銅のグループ表彰となって以降は続けて金賞を受賞してきた歴史を誇る関西学院大学は、残念ながら銀賞に止まりました。近畿大学も銀賞となり、東京代表は2団体とも金賞、関西代表からは金賞が出ませんでした。
三重大学の姿が見えませんが、東海地区の代表団体が出場していないこともあり、不出場の背景はよくわかりませんでした。
音源を探る
近畿大学
福井工業大学
神奈川大学
駒澤大学
ポップス変奏曲「かぞえうた」
舞踏組曲より
亜細亜大学
スキタイ組曲より
福岡大学
関西学院大学
吹奏楽のための交響曲 より 終楽章
1978年からCBSソニー(当時)の実況録音レコードは部門に拘らず全団体収録されることになりました。それでも残念ながら全団体の音源を見つけることができませんでした。
小澤先生のアレンジしたドビュッシーの「海」を演奏した神奈川大は、大人版銚子商業ともいえそうな色彩感豊かなサウンドを披露しました。オーボエのメカニックが不安定だったのが残念でしたが(この曲の場合やや致命的かも知れません)、今後にも大いに期待を抱かせるに十分な演奏でした。
亜細亜大はプロコフィエフの「スキタイ組曲/アラとロリー」という新鮮な選曲で、このチームのやや硬質で明るいサウンドを活かした演奏を披露しています。
以上2団体は大変立派な演奏でしたが、この年の駒澤大は別格の完成度で圧倒的でした。やや荒っぽいところがあるのはご愛敬ですが、分厚いサウンドの上でリズム感に溢れ、アーティキュレーションによって細かなニュアンスも良く表現された課題曲はもちろん、バルトークは実はとても繊細な音楽だということを示す説得力のある演奏を披露しています。
まとめ
1978年は関学、駒澤の2強時代から新しいフェーズに入ったことを示した大会でした。中学、高校の部のレベルが上がったことを反映して、大学ならではの演奏が聴かれるようになりました。また、選曲もそれぞれの個性に合った多彩なものに変化してきています。新たな時代の幕開けと言えるのかも知れませんね。
Viva! 吹奏楽!
👋掰掰👋
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