【吹奏楽】1975/第23回全日本吹奏楽コンクール 大学・職場・一般の部

吹奏楽
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1975年度コンクールは秋田県民会館と北海道厚生年金会館の2会場に分かれて、別日程で開催されました。大学の部と一般の部は秋田で、職場の部は札幌で行われました。

この年の課題曲は前年度の「全部門共通」から、それ以前の「中学校の部」と「それ以外」の区分に戻り、、各々2曲(うち1曲はポップス系)の中から各々の団体が選択する方法に変わりました。1974年度以降の課題曲の対象、選定についての試行錯誤が続いています。

初出場は、九州芸術工科大学、近畿大学、大分県庁職員吹奏楽団、松山市民吹奏楽団、郡山吹奏楽団、長岡市吹奏楽団、白子ウインドシンフォニカ、金沢吹奏楽研究会の8団体でした。

また、前年度まで5年連続金賞を受賞した関西学院大学と蒲郡市吹奏楽団が特別演奏を行ないました。

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第23回(昭和50年度、1975年)全日本吹奏楽コンクール

開催日時 大学の部、一般の部 1975年11月2日 職場の部 10月25日
開催場所 秋田県民会館(大学の部、一般の部)北海道厚生年金会館(職場の部)
課題曲
課A : 吹奏楽のための小前奏曲 (郡司孝)
課B : ポップス・オーバーチュア「未来への展開」 (岩井直溥)
課C : 吹奏楽のための練習曲 (小林徹)
課D : 吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標 (河辺公一)
この年より課題曲の参考音源として連盟よりプロの吹奏楽団の演奏による参考演奏のカセットテープの発売が開始されています。

出場団体(自由曲、指揮者)と審査結果一覧

大学の部

01 東海代表 三重大学 指揮 : 沖公智 🥈
課C : 吹奏楽のための練習曲
三つの夜想曲 より 第2楽章 祭り :ドビュッシー/シェイファー
02 東北代表 岩手大学 指揮 : 桜和幸 🥉
課C : 吹奏楽のための練習曲
プレリュードとフーガ :ネリベル
03 北陸代表 金井学園吹奏楽団 指揮 : 畑中好哉 🥉
課D : 吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標
ファンファーレとセレモニアル :ワーグナー
04 東京代表 駒澤大学 指揮 : 上埜孝 🥇
課D : 吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標
バレエ組曲「火の鳥」より :ストラヴィンスキー/上埜孝
05 西部代表 九州芸術工科大学フィルハーモニー管楽アンサンブル 指揮 : 大倉安幸 🥈
課C : 吹奏楽のための練習曲
歌劇「ローエングリン」 より エルザの大聖堂への行列 :ワーグナー
06 関東代表 神奈川大学 指揮 : 松崎明 🥈
課C : 吹奏楽のための練習曲
ディエス・ナタリス :ハンソン
07 関西代表 近畿大学 指揮 : 麻中勉 🥇
課C : 吹奏楽のための練習曲
組曲「惑星」より 木星 :ホルスト
特別演奏
兵庫県 関西学院大学
フローレンス行進曲:フチーク、グリーンスリーブス:イングランド民謡/A.リード、楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」より第一幕への前奏曲:ワーグナー

職場の部

01 東北代表 新日本製鉄釜石製鉄所吹奏楽団 指揮 : 二瓶彰記 🥉
課D : 吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標
スラヴ行進曲 :チャイコフスキー
02 北海道代表 新日鐵室蘭吹奏楽団 指揮 : 村田清治 🥈
課C : 吹奏楽のための練習曲
戴冠式行進曲「王冠」 :ウォルトン
03 西部代表 大分県庁職員吹奏楽団 指揮 : 中野幸和 🥉
課D : 吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標
シンフォニック・プレリュード :A.リード
04 東京代表 ヤマハ吹奏楽団東京 指揮 : 高倉正巳 🥈
課C : 吹奏楽のための練習曲
吹奏楽のための哀歌 :兼田敏
05 中国代表 電電中国吹奏楽団 指揮 : 佐藤正二郎 🥇
課C : 吹奏楽のための練習曲
交響的舞曲第3番「祭り」 :C.ウィリアムズ
06 東海代表 ヤマハ吹奏楽団浜松 指揮 : 原田元吉 🥇
課C : 吹奏楽のための練習曲
吹奏楽のためのカプリス :保科洋
07 関東代表 日本電気玉川吹奏楽団 指揮 : 小沢一郎 🥉
課C : 吹奏楽のための練習曲
歌劇「ローエングリン」より エルザの大聖堂への行列 :ワーグナー
特別演奏
福岡県 ブリヂストンタイヤ久留米工場吹奏楽団
「レオノーレ」第3番:ベートーヴェン、組曲「展覧会の絵」より プロムナード、古城:ムソルグスキー/日下部徳一郎

一般の部

01 東京代表 瑞穂青少年吹奏楽団 指揮 : 牟田久寿 🥈
吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標
組曲「展覧会の絵」 より キエフの大門 :ムソルグスキー
02 四国代表 松山市民吹奏楽団 指揮 : 永田粋睦 🥉
課C : 吹奏楽のための練習曲
交響詩「ローマの松」より IV.アッピア街道の松 :レスピーギ
03 東北代表 郡山吹奏楽団 指揮 : 菅野悦夫 🥉
課D : 吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標
マスク :マクベス
04 関東代表 長岡市吹奏楽団 指揮 : 浅井政尾 🥉
課D : 吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標
狂詩曲「ジェリコ」 :グールド
5中国支部 島根県代表 出雲吹奏楽団 指揮 : 片寄哲夫 🥈
課D : 吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標
聖歌と祭り :マクベス
06 東海代表 白子ウインドシンフォニカ 指揮 : 正高一朗 🥉
課C : 吹奏楽のための練習曲
ローマの謝肉祭序曲 :ベルリオーズ
07 北陸代表 金沢吹奏楽研究会 指揮 : 金田明彦 🥉
課D : 吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標
クイーン・シティ組曲 より 1.ファンファーレとプロセショナル 2.グラスルーツ :カーター
08 関西代表 尼崎市吹奏楽団 指揮 : 辻井清幸 🥇
課C : 吹奏楽のための練習曲
トッカータとフーガ ニ短調 BWV565 :J.S.バッハ/木村吉宏
09 北海道代表 旭川市青少年吹奏楽団 指揮 : 松浦欣也 🥇
課D : 吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標
組曲「展覧会の絵」 より バーバ・ヤガーの小屋、キエフの大門 :ムソルグスキー/松浦欣也
特別演奏
愛知県 蒲郡市吹奏楽団
序曲「1812年」:チャイコフスキー、ブラジリアン・ファンタジー:ジトー

大学の部は金賞2、銀賞3、銅賞2という結果となり、この年としては偏りなく割れました。課題曲はCが5、Dが2で、Dを演奏した駒澤大学が金賞を受賞しました。自由曲の「火の鳥」は1966年に島根県立川本高校が演奏して以来の演奏で、この駒澤大の演奏以降盛んに採り上げられるようになりました。駒澤大は5年連続金賞受賞となり、翌年は特別演奏にまわります。もう一つの金賞は初出場の近畿大が堂々たる演奏で受賞、以降全日本での活躍が始りました。

職場の部は7団体の出場、金賞2、銀賞2、銅賞3の結果となりました。課題曲はCが5団体、Dが2団体でした。ヤマハ浜松が前年の雪辱を果たして東海代表となり、前年度に続き保科洋のカプリスを自由曲として金賞に輝きました。また、伝統を誇る電電中国(現NTT西日本)がウィリアムスのフィエスタを演奏、佐藤先生の安定したタクトの元初めての金賞を受賞しました。阪急百貨店は関西大会で代表に選ばれましたが(自由曲はメンデルスゾーンのルイ・ブラス)全日本は欠場、関西からは参加がありませんでした。

一般の部は西部以外の各地区の代表が揃い9団体が出場、金賞2、銀賞2、銅賞5という結果となりました。課題曲はCが3団体、Dは6団体が採り上げて、Dを演奏した旭川市青少年が金賞に輝きました。また、関西予選で西宮市吹奏楽団と1票差で代表となった尼崎市吹奏楽団が1972年に続きバッハのトッカータとフーガを採り上げて金賞を受賞しました。

YouTubeで音源を探る

三重大学

駒澤大学

シンフォニック・ポップスへの指標 駒澤大 全日本吹奏楽コンクール 1975 課題曲
バレエ組曲「火の鳥」より 駒澤大 全日本吹奏楽コンクール 1975

近畿大学

吹奏楽の為の練習曲(小林 徹)
組曲「惑星」より木星 近畿大 全日本吹奏楽コンクール 1975

関西学院大学

フローレンス行進曲 関学大 全日本吹奏楽コンクール 1975 招待
グリーンスリーブス /A.リード編曲 第23回全日本吹奏楽コンクール 招待演奏
ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲 第23回全日本吹奏楽コンクール 招待演奏

電電中国吹奏楽団

交響的舞曲第3番 電々中国吹 全日本吹奏楽コンクール 1975

ヤマハ吹奏楽団浜松

吹奏楽の為のカプリス ヤマハ吹浜松 全日本吹奏楽コンクール 1975

ブリヂストンタイヤ久留米工場吹奏楽団

組曲「展覧会の絵」ブリヂストン吹 全日本吹奏楽コンクール 1975 招待

尼崎市吹奏楽団

トッカータとフーガ ニ短調 尼崎市吹 全日本吹奏楽コンクール 1975

旭川市青少年吹奏楽団

組曲「展覧会の絵」より 旭川市青少年吹 全日本吹奏楽コンクール 1975

蒲郡市吹奏楽団

ブラジリアン・ファンタジー 蒲郡市吹 全日本吹奏楽コンクール 1975 招待

駒澤大の「シンフォニックポップスへの指標」は随所に工夫が見られ、聴かせる演奏。分厚い音でグイグイと大きな波が来るような演奏はこのチームならではでしょう。自由曲も些かのテンポの揺らぎもなくダイナミックレンジも広く、リズムもビシビシと決まって圧倒的な演奏でした。近畿大はよく整理された演奏で、この後聴かれることになるこの団体の堅牢なサウンドが響きました。また、三重大学はドビュッシーの夜想曲を採り上げていて、高校の部の玉川学園の海とともに翌年の大激動の前兆ということになるでしょうか。

また、幸運なことに関学大の特演3曲の音源が見つかりました。関西大会で同じ曲目で招待演奏を聴きましたが、中低音金管の柔らかい音に支えられたサウンドは独特で、当時「吹奏楽でこんな音が出るんだ」と驚いたことを思い出しました。指揮をなさっていた植松さんは、卒業後三木楽器にお勤めで、心斎橋のお店でこのときの話をさせて頂いたとき「そんな恥ずかしいこと思い出さなくて良いから」と言われたのですが、堂々たる指揮でしたし、実際その後も指揮をなさっていたようですね。

職場の部はブリヂストンが特演、阪急が不出場ということでやや寂しい大会となりましたが、電電中国の演奏は新鮮でしたし、ヤマハはやや守りに入ったかなと思わなくもありませんが、手堅い演奏でした。前年度と同じ自由曲で臨んだ、その心の奥に潜むものはヒシヒシと伝わってくる演奏でした。

一般の部では旭川青少年の堂々とした演奏が光っています。課題曲の音源が見つからなかったのがとても残念です。尼崎市はアンサンブルに細かい乱れがあって、フーガの声部が不明瞭になるところもありましたが、全体にはまとまった演奏でした。いつもは積極的な演奏なのに、この年はやや消極的に聴こえたのは少し寂しいところです。

前年度初めて金賞を受賞した瑞穂青少年の音源は見つかりませんでした。ただ、芥川也寸志さんと黒柳徹子さんがMCをされていたNHKの「音楽の広場」に玉川学園とともに出演されたとき演奏した「キエフの大門」は覚えています。せっかくだから課題曲も聴きたかったのに!とあのときは思いました。玉川学園も「バンドのための民話」を演奏したりして、親しみやすい曲ということのなのかも知れませんが、あのときの選曲は未だに「謎」です(芥川さんが「玉川学園のレベルは本当はもっと高いんだ」と何度も仰っていましたし)。

まとめ

一般の部の参加団体が増えてきて、その後に続く発展を感じさせる大会でした。一方で、職場の部が元気がなくなっていくような感じがしました。大学の部では、初出場の近畿大が金賞を受賞したことで、駒澤と関学の2強時代から戦国時代の幕開けを予感させるものがありました。

Viva 吹奏楽!

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