音源情報を更新しました。
グループ表彰制となって2年目の1971年度第19回大会は、会場を大阪のフェスティバルホールに移して開催されました。
課題曲は中学校の部、高等学校以上の部ともに行進曲、邦人作品の書き下ろしとなりました。それでは、高校の部の演奏についてみていきましょう。
第19回(昭和46年度、1971年)全日本吹奏楽コンクール
開催日時 1971年11月7日
開催場所 大阪フェスティバルホール
課題曲
中学校の部 行進曲「輝く銀嶺」(斎藤高順)
高等学校以上の部 行進曲「太陽の下で」(奥村一)
出場団体(自由曲、指揮者)と審査結果一覧
大学の部
団体名 | 指揮 | 結果 | ||
---|---|---|---|---|
自由曲 | ||||
1 | 東京代表 駒澤大学 | 玉城政利 | 🥇 | |
バレエ音楽「春の祭典」:ストラヴィンスキー/上埜孝 | ||||
2 | 関西代表 関西学院大学 | 楠 利夫 | 🥇 | |
太平洋の祭り (平和の祭り):ニクソン | ||||
3 | 東海代表 三重大学 | 沖 公智 | 🥈 | |
劇的物語「ファウストの劫罰」より ラコッツィ行進曲:ベルリオーズ | ||||
4 | 東北代表 岩手大学 | 林 茂生 | 🥈 | |
組曲「展覧会の絵」より キエフの大門:ムソルグスキー | ||||
5 | 関東代表 神奈川大学 | 甘粕敏一 | 🥈 | |
クイーン・シティ組曲:カーター | ||||
6 | 西部代表 福岡大学 | 大倉安幸 | 🥇 | |
第2組曲よりファンファーレ、スケルツォ:ジェイガー |
職場の部
団体名 | 指揮 | 結果 | ||
自由曲 | ||||
1 | 東京代表 ヤマハ吹奏楽団東京 | 高倉正巳 | 🥈 | |
聖歌と祭り:マクベス | ||||
2 | 中国代表 電電中国吹奏楽団 | 佐藤正二郎 | 🥈 | |
サスカッチアンの山 (ワパウェッカ):A.リード | ||||
3 | 関西代表 阪急百貨店吹奏楽団 | 鈴木竹男 | 🥇 | |
ドラマティコ:マクベス | ||||
4 | 北海道代表 新日鐵室蘭吹奏楽団 | 小田才助 | 🥈 | |
歌劇「さまよえるオランダ人」序曲 :ワーグナー | ||||
5 | 関東代表 日本電気玉川吹奏楽団 | 小沢一郎 | 🥉 | |
アレグロ・ジュスト:シェリル | ||||
6 | 東海代表 ヤマハ吹奏楽団浜松 | 原田元吉 | 🥇 | |
シンフォニックバンドのための序曲:兼田敏 | ||||
7 | 西部代表 ブリヂストンタイヤ久留米工場吹奏楽団 | 小山卯三郎 | 🥇 | |
歌劇「リエンツィ」序曲:ワーグナー | ||||
8 | 四国代表 高松市役所吹奏楽団 | 新名宣昭 | 🥈 | |
交響詩「フィンランディア」:シベリウス | ||||
9 | 東北代表 新日本製鉄釜石吹奏楽団 | 西村昌次 | 🥈 | |
交響曲第5番より第4楽章:ショスタコーヴィチ |
一般の部
団体名 | 指揮 | 結果 | ||
---|---|---|---|---|
自由曲 | ||||
1 | 東海代表 蒲郡市吹奏楽団 | 鈴木一夫 | 🥇 | |
スラヴ行進曲:チャイコフスキー | ||||
2 | 関西代表 尼崎市吹奏楽団 | 辻井清幸 | 🥇 | |
リシルド序曲:パレ | ||||
3 | 北海道代表 函館青少年吹奏楽団 | 寺中哲二 | 🥈 | |
組曲「惑星」より木星:ホルスト | ||||
4 | 東北代表 横手市民吹奏楽団 | 小川文男 | 🥈 | |
交響曲第5番より第4楽章:チャイコフスキー | ||||
5 | 東京代表 公苑会吹奏楽団 | 八田泰一 | 🥈 | |
呪文と踊り:チャンス | ||||
6 | 中国代表 山口高等学校OB吹奏楽団 | 増田 弥 | 🥈 | |
サスカッチアンの山 (ワパウェッカ):A.リード | ||||
7 | 関東代表 船橋吹奏楽団 | 武藤英明 | 🥈 | |
交響詩「ローマの噴水」:レスピーギ |
1971年も、1970年度と同様、3部門の出場団体の数が拮抗していることは特筆すべきでしょう。職場の部が、大学の部、一般の部と比べて出場団体が最も多い状況も続いています。
大学の部ではプログラム1番の駒澤大学がいきなりストラヴィンスキーの「春の祭典」を演奏しています。このときはアレンジされた上埜先生ではなく学生指揮での出場ですが、聴き手の度肝を抜いた見事な演奏を披露しました。駒澤大学の快進撃はこの年から始まります。また、関西の雄、関西学院大学も斬新なニクソンの作品を採り上げています。
職場の部ではいわゆる当時の「3強」が、各々の個性を活かした選曲での競演。ヤマハは兼田敏の(邦人)作品を、オーケストラの響きを指向するブリヂストンはワーグナー、そして阪急百貨店はマクベスの新作を採り上げて、いずれも金賞に輝きました。
一般の部では代表がない支部があるという状態が続いています。職場の部を潰してまで枠を作ってしまった現在では想像できないですよね。優れた安定したレベルを誇った蒲郡市吹奏楽団と当時若手指揮者として登場した辻井先生の尼崎市吹奏楽団が金賞を受賞しています。
音源を探る
駒澤大学
関西学院大学
太平洋の祭り
ヤマハ吹奏楽団東京
聖歌と祭り
阪急百貨店
行進曲「太陽の下で」
ドラマティコ
ブリヂストン久留米
歌劇「リエンツィ」序曲
ヤマハ吹奏楽団浜松
蒲郡市吹奏楽団
行進曲「太陽の下で」
スラヴ行進曲
尼崎市吹奏楽団
リシルド序曲
駒澤大学、プログラム1番でこの演奏を聴いたら唖然とするしかないですね。それこそ演奏の生贄にされてしまいそうです。関学も細かいところまで丁寧に演奏しています。
職場のブリヂストンのリエンツィは我慢の曲ですが構成もサウンドも見事でした。当時販売されていたイーストマンの演奏と比べて下手くそとかと口の悪いヤツが言っていたのを覚えていますが、そういうことは言うものじゃないですよね。また、阪急百貨店の課題曲はユーフォニアムのオブリガートがビンビンで阪急らしさが出ています。自由曲も堂々の演奏です。
一般の部はベテランの蒲郡市、新進気鋭の若さ溢れる尼崎市と両方のチームの良さが出た演奏でした。緻密なアンサンブルの蒲郡、豪快に鳴らした太いサウンドの尼崎と好対照だったと思います。
まとめ
この年も職場の部が元気があって嬉しい限りです。金賞受賞団体が各々の方向性を示しているのも素晴らしいですね。阪急百貨店の落ち着いた、その中で熱さを感じるドラマティコは個人的には最も印象に残っている演奏です。
そして、この年は何と言っても駒澤大学の春の祭典が衝撃ですね。この年を起点として。ローマの祭り、ハーリヤーノシュ、火の鳥と続いていくのですよね。それも上埜/駒澤でないとできない演奏で、もう他の団体がどうこうということは関係ないという突っ走り方だったように思います。今年の駒澤は?来年は?と演奏を楽しみにしていたものです。
さて、翌1972年はかつての聖地普門館での全国大会となります。
Viva! 吹奏楽!
コメント
職場の部、新日鐵室蘭の成績は銀賞です。
> なっち提督さま
ありがとうございます。
修正させていただきました。
[…] […]