【吹奏楽/昭和の吹奏楽/音源あり】秋田県立秋田南高校吹奏楽部 全日本出場おめでとうございます!

昭和の吹奏楽
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いつもこのブログ「音楽徒然草」をお読みいただきありがとうございます。

昭和の吹奏楽、今回は1970年代から驚異的なアンサンブルで新たなレパートリーを開拓、数々の名演奏を聴かせた秋田県の名門秋田南高校です。

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秋田南高校「春の祭典」~日本の吹奏楽’77 〜2006年8月24日

秋田南高校の「春の祭典」、この演奏こそは序奏から始まるのかと思いきや、聴こえてきたのは、Es DurとEs mollの不協和音の行進。

春の萌し(乙女たちの踊り)からいきなり始まったのでした。

誘拐(略奪?)~春のロンド、クラ・ソリの手前でラストにすっ飛んでズバッと終了。

このカットは「池袋ウエストゲートパーク」(CD バレンボイム/パリ管)に収録された部分でもあります。石田衣良さんがこの演奏を聴いてセレクトされたわけではないでしょうけれど。

「誘拐」は高校生が演奏するのは教育上如何なものかという懸念(冗談です、当時そんなこと考えてませんから)を一掃するスピード感溢れる快演。

縦横無尽に飛び回る金管楽器は圧巻で、特にホルンの雄叫びは見事なもので、木管を中心に描かれた「春の萌し」「春のロンド」とのコントラストが活きていました。そして、ティンパニ、打楽器の味付けも非常に良い塩梅でした。

課題曲の「吹奏楽のためのバーレスク」が
曲名を逆手に取って冗談にしてしまったのかと思われるくらい生真面目で整然とした演奏であったこともあり、この自由奔放さは際立っていました。

弘前南高の「エル・サロン・メヒコ」や銚子商高の「ディオニソスの祭」といった名演が続いたこの年の中でも緻密なアンサンブルを基調とした秋田南高の個性は輝いていました。

ところで、突然ピアノの話になりますが
数あるカプースチンのピアノ曲の中でも筆者は面白い曲だと思っている「変奏曲」作品41の主題は「春の祭典」序奏から引用されたということを聞きましたが、真偽の程はどうなのでしょう?

「交響曲」(矢代秋雄)~全日本吹奏楽コンクール 〜2006年10月26日

この曲を初めて聴いたのは、故山本直純さんが司会をやっていた「オーケストラがやってきた」というTV番組でした。

藝大の先輩であった矢代秋雄さんご本人がゲストだったと思います。

古典派やロマン派のピアノ曲漬けになっていた子供の頃の筆者にとって、この曲は閉め切った部屋の窓を開けたときの新鮮な外の空気のように感じました。

その後、ピアノだけではなく作曲の先生についたり、部活動で吹奏楽とオーケストラを始めてその狭い世界から抜け出そうとしていた頃、初めて聴きに行った普門館の全日本吹奏楽コンクールで、秋田南高校によって自由曲として演奏されたこの曲の第4楽章はその「オーケストラがやってきた」以来聴いていないにも拘わらず、古くからの友人に再会したかのような懐かしさを抱いたことを覚えています。

不気味な冒頭のアダージョ、見事なホルンと恐いくらい音程のあったピッコロとファゴット、幽玄さをもった不協和音の美しい響き、例のH-F-Fisで始まるアレグロ・エネルジコからは強靭なアンサンブルとドライブで猛烈な集中力と推進力を持って進み、ラスト直前のファンファーレにも似た輝かしい響きを保ち勝ち誇ったように咆哮する和音、課題曲の浦田健次郎「プレリュード」とのマッチングも絶妙でこの日の白眉でした。

饗宴 バッカナール~題名のない音楽会 〜2009年2月2日

昨日の「題名のない音楽会」は新シリーズ「日本の巨匠」の第一回。やはりこの番組との関わりが最も強い黛敏郎さんが選ばれて、その作品の中でも25歳のときの斬新な「饗宴」(バッカナール)が採り上げられました。前半は指揮者の小澤征爾さん、ご子息の黛りんたろうさんのインタビュー、そして後半は片山杜秀さんの楽曲解説と「饗宴」のノーカット演奏という非常に濃い内容の30分でした。

この曲が作曲されたのは1954年、バーンスタインがアシスタントの小澤征爾を連れてニューヨークフィルと来日したのが61年5月、佐渡さんが生まれたのがそのとき、というのは偶然とはいえ「縁」を感じます。来日公演では「饗宴」だけを小澤さんが振られたそうですが、小澤さんはこのインタビューのときまで、この曲はその来日公演のための委嘱作品だと思い込んでおられたのには思わず微笑んでしまいました。プログラムも画面に出ましたけれど、ベルクの「三つの管弦楽組曲」とかコープランドの「エル・サロン・メヒコ」など非常に斬新なものだったことに驚きました。

筆者のこの曲との出会いは毎度毎度で恐縮ですが、85年の吹奏楽コンクールで秋田南高校が自由曲として演奏されたときでした。その当時は現代日本音楽の中で三善晃や矢代秋雄(ほかに小山清茂も)の管弦楽曲が採り上げられるようになったときで(それも秋田南高が果たされた功績だと筆者は考えていますが)、少し前に「天地創造」が演奏されたこともあって「黛作品はやらないのかなぁ」とちょうど思っていたところドンピシャの登場(実はその前年に仁賀保高が採り上げておられたのでしたが)となりました。

その演奏を聴いて、音楽の友社から出ていたスコアを購入したところ(お手頃な価格で筆者でも手が届きました)、番組でも触れられていたサクソフォーン5本(ソプラノ、アルト2、テナー、バリトン)やクラスター、大掴みで「響き」を認識しづらい音の構成、おまけに変拍子で手に負えるようなものではなかったのを思い出します。

さて、「題名」では佐渡さんの熱い指揮に大編成のオケもよく応えて、共感度が高くそして密度の濃い立派な演奏を聴かせて頂きました。ブラボーの声も当然かと思います。またシリーズが増えましたが、佐渡さんのお身体がやや心配です。

交響曲のうちの1楽章だけをカットして演奏するということ 〜2019年7月22日

(略)

チャイコの交響曲の中でも第4番の第4楽章は福岡電波高校が1960年代の後半に自由曲として採り上げ、その鮮やかな演奏で第1位を獲得。それを受けてなのか1970年の中学の部では豊島十中、出雲一中、響南中の3校が採り上げて3校とも金賞を受賞しました(当時は各地区の代表は1校のみ)。

演奏そのものは各々立派なものだったと思いますが、へ短調ではなく長2度低い変ホ長調で演奏され、ロンド形式の第1副主題の部分は全部カットか一部カットされていました。

第5番の方は秋田南高校が75年に第4楽章を演奏しています。

こちらはホ長調ではなくヘ長調、ソナタ形式の展開部は全部カットされています。また、職場の部の阪急百貨店が77年に採り上げていて、こちらは変ホ長調で展開部がオールカットされている他、チョコチョコとかなり不自然に切り取られています。

秋田南は銅賞、阪急は銀賞でしたが、秋田南の演奏はガッチリとしたアンサンブルで立派な体躯を誇った演奏で、ちょっとブラバンチックな部分が見え隠れするものの、銅賞というのにはあまりに惜しい、というかちょっと残酷。

悲愴交響曲の終楽章も74年のコンクールで名門蒲郡中が演奏しています。

銀賞の中でも優れていると評価された演奏が収録された「優秀団体編」にも収録されている通り、中学生とは思えないくらいの集中力で「コンクール受けは絶対にしない」曲を見事に演奏しています。

この年の中学の部は激戦で金賞が5団体出たとはいえ、銀賞は勿体ないなと個人的には思ったものです。

さて、いずれの演奏も形はできているのですが、調性が変わっていたり、カットがあったりと、その曲を知るものからすると(知らない人はまずいないから余計に)不自然としか思えませんし、第4楽章だけを演奏するということについても、演奏効果上はとてもインパクトがありますし、盛り上がるのでコンクールにはうってつけ(悲愴を除けば)とはいえ、ただそれだけなの?と思わないでもありません。

特に、悲愴の第4楽章の演奏については「この交響曲の終楽章だけを演奏することの意味」について議論があったことが窺われるコメントも見た覚えがあります(あの当時のレベルでそこまで言われるのは、演奏そのもののレベルは高かったということなので、金賞にすべきなだったんじゃないかとも思いますが)。

(略)

タイトルのようなことは日本の吹奏楽の進化の過程で起きた過渡期の事象と見ればよいのかも知れません。ある意味必要悪とでも言えるのかも。まぁ本質的なところではあんまり変わっていないような気もしますけれど。

個人的には交響曲の一つの楽章を演奏することはありだと思っています。ただし、できればカットはなしで…特に、演奏会でできない部分を切り落とすとか止めて欲しいし、コンクールの自由曲としても作品の構成を無視したカットはあり得ないと思います。

音源など

吹奏楽のための練習曲

チャイコフスキー:交響曲第5番第4楽章

吹奏楽のための協奏的序曲

バレエ音楽「ペトルーシュカ」第4場面

吹奏楽のためのバーレスク

バレエ音楽「春の祭典」より

管弦楽のための協奏曲

矢代秋雄:交響曲より第4楽章

交響三章より第3楽章

JEUXⅢ

吹奏楽と三味線のための津軽じょんがら節

パロディ的な4楽章より第4楽章ルーセル

バレエ組曲「火の鳥」より

変容叙情短詩

饗宴

まとめ

古くは40年ほど前の演奏ですが、斬新な選曲で突き抜けていましたし、徹底して磨き上げられたアンサンブルによる緻密な演奏は、毎年強いインパクトを感じる素晴らしい演奏でした。

現在も全日本コンクールに出場されているのは驚異的で、これもまた素晴らしい伝統だと思います。

コンクールを始め、学校吹奏楽のあり方が云々されていますが、生徒さんたちが音楽の素晴らしさを味わえる環境を大切に考えていただきたいと願っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋

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