この記事は2020年11月、2021年2月の記事に追記したものです。
いつもこのブログ「音楽徒然草」をお読みいただきありがとうございます。
2020年11月25日、山中惇史さんと高橋優介さんのピアノデュオ176(アン・セット・シス)のコンサートが開催されました。
プログラムはオーケストラではお馴染み、超定番のレスピーギのローマ三部作といわれる交響詩3曲(ローマの噴水、ローマの松、ローマの祭り)で、当初は3月31日に予定されていたのですが、中国ウイルスの影響でこの時期に延期されたものです。
三部作のうち「噴水」と「松」についてはレスピーギ自身によるアレンジがあるものの「祭り」はなく、このデュオによって新たに編曲されました。2019年7月に山中さんの地元岡崎で初演されています。今回は「噴水」と「松」についても、お二人によるアレンジが使用されています。
今回はコンサートの模様とピアノデュオ「176」にお話していきます。
2021年2月24日にコンサートのダイジェスト動画が公開されました。
(「3.ダイジェスト動画をYouTubeで公開!」から直接ジャンプすることができます)
また、2021年6月3日には「ローマの松」全曲の紀尾井ホールでのライヴ演奏が公開されました。
コンサートを聴かれた方には当日の興奮が蘇るとともに、聴いておられないみなさまには大サービスなのではないかと思います。
「4.「ローマの松」全曲をYouTubeで公開!」から直接ジャンプできますので、ぜひご視聴ください。
コンサートの概要
日時:2020年11月25日(水)19:00〜
場所:紀尾井ホール
〈プログラム〉
レスピーギ/山中惇史・高橋優介編:
交響詩「ローマの噴水」
交響詩「ローマの松」
ー休憩ー
交響詩「ローマの祭り」
コンサートの模様
公演前のつぶやき
ツイッターから事前のつぶやきを拾ってみました。
高橋優介さんとのピアノデュオ“176”の演奏会ご案内。
1年半かけて2人で推敲を重ね編曲しました『レスピーギ/ローマ三部作(二台ピアノ版)』
今後、様々なピアニスト達のレパートリーになる様にと願っています。
是非、是非、聴きにいらして下さい!
(高橋くんいつの間にTwitter始めたんだ?!) https://t.co/xpcbE9SKY6— 山中惇史 | Atsushi Yamanaka (@ginyamagin) October 28, 2020
↓です。
既に楽譜が出来上がっている安心感が凄いです(いつも演奏会ギリギリまでやっているので)。楽しくて楽しくて、曲が素晴らしくてしょうがないです。相棒・高橋優介とのデュオはどこまでもいけそうな高揚感があります。
興味のない方も騙されたと思って是非いらして下さい。 https://t.co/8Z9rhIel7i— 山中惇史 | Atsushi Yamanaka (@ginyamagin) November 10, 2020
【ローマ日記⑨】
遂に、、楽譜が出来ました😄
5月1日にカワイ出版から出ます。(少し遅れました)
「ローマの祭り」の2台ピアノ版は世界初です。嬉しい!皆さん是非弾いて下さい!! pic.twitter.com/0CYZKkWIwr— 山中惇史 | Atsushi Yamanaka (@ginyamagin) April 10, 2020
指揮者の飯森範親さんにアドバイスをいただいたそうです。
今日は山中敦史さん、高橋優介さんのピアノDUOを聴かせて頂き、ローマの三部作を指揮してきた経験から少しヒントを差し上げました。でも、既に2人の演奏は高みに達しており、アドバイスなんてあまりなかったのですが…笑
演奏会は25日に紀尾井ホール!是非多くの皆様にお聴き頂きたいピアノDUOです‼️ https://t.co/M0jGRvRUNa— 飯森範親 Norichika IIMORI Official (@iimoriconductor) November 20, 2020
今回の公演に関するインタビュー記事はこちら(2020年2月5日付):https://www.musicman.co.jp/artist/294366
お二人からのYouTubeメッセージはこちら:https://youtu.be/a-vsPweSivw
コンサートの模様
紀尾井ホールの座席は約半数くらい埋まり、定刻に公演が始まりました。
プログラム各曲の演奏前に、レスピーギ自身による解説コメントを翻訳したものがナレーションされ、演奏への期待が高まります。
グリッサンドやアルペジオなどピアノの特徴を活かしつつ、原曲のオーケストレーションを再現した見事なアレンジ、そして演奏でした。
管楽器のソロの音色や奏法、そしてアンサンブルの響きの違いを的確に表現した上で、全体の響きも丁寧に組み立てられていて、色彩感に溢れたゴージャスなサウンドがホールを包み込みました。トランペットやホルンの奏法についてはピアノっぽく流れることがなく、金管楽器のそれでしたし、マンドリンソロの部分は特に見事なものでした。
それぞれの曲の情景が目に浮かびましたし、その上で4つの曲から構成される交響詩全体が大きな音楽として表現されており、俗っぽいワーディングですがローマを旅行しているような気分に浸りました。
個人的に最も注目していたのはやはり「祭り」ですが、噛み合わせが絶妙な滑舌の良い演奏で、パーカッションを含む難しいリズム、響きを損なうことなく、ピアノならではの音楽に仕上げられていました。二人の息もピッタリで、冒頭のチルチェンセスから「熱」を感じました。緊張感は途切れることなく、主顕祭の素晴らしいフィナーレを迎えました。許されていれば「ブラヴォ」と叫んでいたと思います。お二人も音楽を楽しんでおられたようにお見受けしました(噴水、松も同様ですが)。
アンコールは、同じレスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」のシチリアーナ(連弾)、山中さんの「BonJapon」(連弾)、そしてウイリアムズの「ネヴァーランドへの飛行」(2台ピアノ)でした。
BonJaponは盆踊りをテーマとした山中さんの作品で、どこかで聴いた覚えがあるなと思って調べてみたところ、2017年のラフォルジュルネ東京での丸ビルコンサートで、藝大の江口さんのクラスの皆さんによって演奏されていました。
LFJ江口クラスのコンサート終わりましたよ〜。書き下ろした連弾のための『Bon Japon !』(盆踊りがテーマの曲)楽しんでくれて良かった!誰か再演してくれないかなぁ。
みんな!お客様との自撮り!我らがボスの江口先生、譜めくり!一緒に演奏した片岡君と!@Taaa_Keee pic.twitter.com/rM01m9XhGC— 山中惇史 | Atsushi Yamanaka (@ginyamagin) May 6, 2017
コンサート使用楽譜について
今回のコンサートに使用したスペシャルアレンジは、3曲ともカワイ出版より出版されています。
会場でも販売されていました。
ダイジェスト動画YouTubeで公開!
2021年2月24日にこの演奏会のダイジェスト動画がYouTubeで公開されました。
17分程度に編集されていますが、スピード感溢れる熱い演奏を感じることができます。
ローマの祭りの最大の盛り上がり、主顕祭のラストは今聴いても興奮を覚えます。
「ローマの松」全曲をYouTubeで公開!
2021年6月3日、紀尾井ホールにおける「ローマの松」のライヴ演奏がYouTubeで公開されました。
演奏の素晴らしさは格別ですが、チャットをリプレイさせると、山中さんによる楽曲の解説、アレンジや演奏の裏話などを見ることができます。
176のお二人のプロフィール
176(アン・セット・シス un sept six)というユニット名の由来は、ピアノの鍵盤88鍵x2(=176)(をフランス語読みしたもの)とのことです。
種明かしを伺ってしまうと簡単なのですが、一瞬「??」となってしまいますよね。
山中惇史さんのプロフィール
山中さんは1990年生まれ、愛知県岡崎市のご出身です。
東京藝術大学院音楽学部作曲科、同大学音楽研究科修士課程作曲専攻修了。
第18回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲一般の部第3位。
出身地である岡崎市へ楽曲を数多く提供なさっています。
JR岡崎駅イメージソング(2013)
岡崎市立翔南中学校校歌(2014)
祝典行進曲(2016)(岡崎市制100周年記念、岡崎市スクールバンド協議会委嘱)
ピアニストとしては、上野耕平、漆原朝子、 漆原啓子、川井郁子、ゲルノット・ヴィニッシュホーファー、清水高師、ピエール・アモイヤル、寺谷千枝子、三縄みどり、松本蘭の各氏をはじめとする国内外のアーティストと共演、2014年小川響子とのデュオで第2回デザインK国際音楽コンクールにてグランプリ受賞されました。編曲でもクラシックからポップスまで幅広いアーティストに作品を提供しています。
上野耕平さんの楽しいコンサートにおけるピアノ伴奏は定評のあるところです。
2020年3月 東京藝術大学音楽学部器楽科(ピアノ専攻)(作曲科マスター修了後入学)卒業
ピアノは森陽子、山泉薫、菊地裕介、白石光隆、 安野直子、江口玲の各氏に師事されました。
高橋優介さんのプロフィール
高橋さんは1994年生まれ、千葉県のご出身です。
高校から大学までの7年間、上野学園で学んでおられます。
ソルフェージュを佐怒賀悦子、和声学を西尾洋、高畠亜生、室内楽を矢部達哉、今井信子、原田禎夫、村上曜子、彦坂眞一郎、ピアノを齋藤由里子、横山真子、宮本玲奈、横山幸雄、久保春代、川田健太郎、草冬香の各氏に師事されました。
第10回東京音楽コンクールピアノ部門第1位及び聴衆賞受賞。
指揮者の飯森範親、梅田俊明、円光寺雅彦、大友直人、下野竜也、高関健、山下一史の各氏と、ヴァイオリンの前橋汀子、矢部達哉、ヴィオラの今井信子、メゾソプラノ歌手の波多野睦美、クラリネットの谷尻忍、サクソフォンの上野耕平、彦坂眞一郎、ピアニスト・作曲家の山中惇史の各氏と共演されています。
まとめ
このお二人の「ローマの祭り」は2019年7月に山中さんの地元岡崎で演奏されています(その模様は以下ツイッターでご覧ください)。
終演。
最高の相棒、お客様、スタッフの皆さんと共に、こんなに幸せで真に価値のある時間を過ごせて胸いっぱいです。音楽やってて良かったと心から思いました。名残惜しいです。
レスピーギ/ローマの祭り(山中・高橋編)4.主顕祭 から少し動画をどうぞ。 https://t.co/J2mjkdwusu pic.twitter.com/1w3QWdiq7G— 山中惇史 | Atsushi Yamanaka (@ginyamagin) July 13, 2019
僕もその当時から「東京でもぜひ公演を」と願っていたので、2020年3月に実現することになって喜んだのも束の間、延期されてしまいました。それだけに今回の公演は心待ちにしていたものです。
長い間の「お預け」を一気に解消してくれる本当に楽しいコンサートで、おかげさまで幸せな気分に浸ってホールをあとにしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
👍 🎹とともに 🎼とともに 🤞
👋掰掰👋
コメント